prima prima:04 汐里
--------------------
リビングへと出ると、昨日の久木さんがソファに寝ていた。
──しかし彼女の足にかろうじてかかっていた毛布はおちかかっていて、
彼女の身体はほぼ何もかぶっていないのと同じようなものだった。
急いで毛布をかけなおしたが──遅かったみたいだ。
くしゅん───と小さなくしゃみが耳をかすめた。
「──くしゅん…」
「あっ…えと…」
慌てて何とかしようとしたが、ええいの一声でどうにかなる問題ではなかった…
どうしたものか…
とりあえず──彼女のおでこに自分の額を近づけた…
「わぁ、凄い熱いです…」
くっつくまえからもう彼女が熱いのに気がついた…やはり熱があるようだ。
──けほっ…けほっ……
さっきのかわいいくしゃみとは違って、かわいたせきとともに、久木さんがむくりと身体を起こした。
「あの…大丈夫ですか…?」
「ああ…けほっ…うん、、なんか風邪…かなぁ…ごめんね…けほっ…けほっ」
───────────
「けほっ…けほっ…
えと…汐里ちゃん…よね…」
「あっ…はぃ」
「ごめんね…あなた大学生よね…
学校は…」
「学校は大丈夫です!!
それより久木さん…熱が…」
「うふふ…いい歳こいて
熱出ちゃっ…けほっ…けほ…」
あっ…いけない、お水!!
「ちょっと待っててください!」
キッチンから適当なグラスに水をそそいだ──
「あの…お水を…」
「あぁ…ありがとう…」
水を口に含むとまた久木さんは瞳を閉じたが…
「こんなとこに寝てたら風邪治りませんよ…えっと、あっちで寝ていましょ…?」
「えぇ…」
「ごめんなさい…あたしが昨日…あんな…」
「いいのよ…あたしがそうしたかっただけだから」
そう言うとまた久木さんは瞳を閉じた…
それから私もベッドの横に座ってしばらく眠ることにした…