prima prima:02 汐里
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すぐさま叫ぼうと思ったら口を押さえられてそれすらできなかった。
もうなにがなんだかわからなくって、涙を流してえぐえぐいっていたら、近づいてきていた足音が遠のいていくのがわかったが…
このひとはいったい…
「大丈夫かしら…?」
女のひと…?
「あなた…なんだかつけられてるみたいだったから…」
あっ……このひと
「ありがと…ございます…」
助けてくれたんだ…
いつの間にか止まってた涙もまたどわっと溢れでてしまった──
「うっ…ぐ」
「わわぁ─ちょ、ちょっと…
泣いちゃったよ…」
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あれ…どこだろ─ここ…
目が覚め視界に入ったのは白で統一された綺麗な部屋だった──
今自分がいるのは…その部屋のベッドの中
「──ん…ここは…?」
「あら、目がさめたのね」
「え…?あれ?えと…どうして…?」
「あなた覚えてないの?」
あれ…もしかして…
「あ!!すみません!!
ご迷惑かけました!!えっと…」
「いいのよ、いいのよ──
危うく知らない男に
襲われそうだったわね…
もう怖くないからね──
安心しちゃったのね」
「ごめんなさい…」
「そんなことより…
おうちの人とか大丈夫?
ひとりぐらしかしら?」
「あ、大丈夫です…
家は大学遠いので…アパートに…」
「そう…じゃぁ、良かったら
泊まっていきなさい──
あたしは彩香─久木 彩香よ」
あたしも軽く頭を下げながら
三木 汐里…とつぶやいた…
結局、あたしはお言葉に甘えて
泊めてもらうことにした。
女同士だし…と思ってだ。
そのあとは、酔いがまだまわっているみたいですぐに寝てしまった。