表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

戦闘




僕ら、というか僕は森の中を歩いていた。二人(ルナと親父)は、僕が一人でどこまでできるか審査するために、遠くから見てるらしい。どこにいるのかはわからん。


村の武器屋、防具屋の親父に作ってもらった剣や盾、投擲用のナイフや調合したポーション類を装備し、極力音を消しながら歩く。僅かな呼吸の音で居場所がバレないか心配だ。ビビリではない、慎重なだけさ。


なんせ、この世界のゴブリンは魔法を斬るからね。この世界に冒険者が居るかどうかは知らないが、クラスメイトはみんな当たり前のように倒しているんだろう。

だが、あいつらにできて僕ができないのは悔しい。僕だって成長した。行けるはずだ。


「っ!」


しばらく森の中を歩いていると見つけた。ゴブリン3匹が隊列を組んで歩いている。バレないようにしながら隙を伺う。

何やらハンドサインで隊長らしき個体が支持を出しているようだ。少しするとバラバラになり、果実を採取し始めた。


チャンス!


ゴブリンの死角からいっきに接近し、鼻の少し上を短剣で刺す。テレビとかで見た、人を即死させる場所だ。コ○ンで見た。ぱっと見では人と同じ構造をしているので通用するかと思いやって見たが、声を上げさせることなく仕留めた。


「グ?ッ!グギャグギャ!」


ちっ!気づかれた!


素早くナイフの投擲と共に加速。避けられるが隙を作れる。肩に装備している剣を上段から振り下ろすが、ゴブリンが盾で受け止める。


その間にもう一匹のゴブリンが斬りかかってくるので、即座に離脱。やはり強い。


「水弾よ【ウォーターバレット】蹴散らせ【ウォーターボム】」


随分とはやく詠唱できるようになった呪文で攻撃する。

ゴブリン達はウォーターバレットは避けるが、範囲の広い魔法は避けられないと踏んだようで1人が受け止め、もう一人が盾役に隠れてやり過ごした。ふつうに人間並みの知能がある。

だが!


「【ショックボルト】!」


放つのは生活魔法。かなり強い静電気くらいのものだが、相手はびしょ濡れだ。電気をよく通す。


「「グ!?」」


放たれた電気が予想以上に強かったため驚いたのだろう。

その隙を逃さず片方は投擲で仕留め、もう片方は剣で首を断つ。


「ふぅー」


いつのまにか緊張していたのだろうか。いっきに身体中の力が抜けた。手汗がすごいな。


しかし、初めて生物を殺した。感触が少し気持ち悪い。だが、逆にいえばそれだけだった。自分が思ってるより冷たいな、僕。


…さて、どうしよう。もうこれで試験終了でいいのだろうか?



…お迎えが来ない。え、なに?まだなんかあんの?ゴブリンだけじゃダメってか。

しょうがない。もっと奥の方に行こう、ついでに調合に使える薬草も拾って行こう。





奥に進み始めて、薬草やゴブリンを数匹狩った。ゴブリンの相手もだんだんと慣れてきて、さっきは気づかれる前にまとめて三匹倒せた。それでも迎えは来なかった。


さらに奥へ進む。

お、これはなかなか質のいい薬草だ。あ、また。こっちにもある。ヒャッホウ!取り放題じゃないか!

僕はルンルン気分で薬草を採取しまくった。



今になるとそれがいけなかったんだろうか。こんなことになったのは。


「やっべ」


目の前には僕の身長の大体倍くらいあるだろうゴブリンがいる。気付いた時にはゴブリンがこっちを見ていた。同時に目が合った。


急速に加速したかと思うと剣を振り上げているのが目に見えた。慌てて体をずらして避けるが振り下ろした剣を斬り上げてきた。バックステップで躱しつつ、腰につけているナイフを投擲。そして剣を抜く。


「強い…」


思わず呟いてしまうほどに今までのゴブリンとは格が違う。上位種、ボブゴブリンか?


「グギャッ」


「くっ!」


地面すれすれを駆け抜けて接近し、足を狙ってくるゴブリン。またもバックステップで躱す。


「なに!?」


2本目の剣が襲いかかる。盾でガードするが、力が強すぎるため腕をもっていかれ、バランスを崩す。ヤバイと思った時にはすでに剣を振りかぶりながら笑うボブゴブが目に入る。


「甘い!」


剣を地面に突き刺し、3本目の足とし、ジャンプして浮かび上がる。そのまま左足でボブゴブの顔面を蹴る。


「グキョ!」


…気持ちいいくらいに綺麗にはまり、ボブゴブが吹っ飛ぶ。そのままナイフを3本ほど投擲。さらに、攻撃力の高い【ファイアーランス】を文字詠唱魔法で放つ。火事にならないように水魔法で、攻撃しながら消火する。

倒しただろうか?


っ!!!


斬撃が飛んできた。スキルか!?1つ目の斬撃を躱し、2つ目は避けきれずにガードした。だが、ひと息つく暇もなく、ボブゴブが斬りかかってきた。

それからは、何度も斬り合っていた。僕が足を狙い、それをジャンプで避けられそのまま飛んでくる剣を必死で受け流し、一度距離をとって魔法を放つも飛ぶ斬撃で撃ち落とされそのまま飛んでくる斬撃を避け、斬りかかり……。


お互い息が切れている。肩で息をしながらも斬りかかってくるボブゴブ。この時ーーー


「うおっ!」


僕の足が木に引っかかり後ろ向きに倒れかかる。それを見たボブゴブはいっきに距離を詰め、斬りかかるが


「グッ!」


「フッ!」


僕は倒れる勢いのままバク転し、上段から振り下ろされる剣の握り手を蹴り飛ばす。ボブゴブが驚いたような表情をする。そしてその流れを切らずに次の行動へ。着地した後地面を蹴り、剣を構えて突進する。剣がボブゴブの心臓あたりに突き刺さる。


「グ、グフッ」


「はあ、はあ!」


か、勝った…勝ったぞー!あぶねー超ギリギリだった。ゴブリンつえー。怖かったマジで。最後のバク転からの蹴り、外してたら死んでたよ僕。

しっかし強くなったなー僕。うん、努力の成果だな。


《マスター。おめでとうございます》


ーーーああ、うん。ありがとう。


《しかしマスター。私を使ってくださればもっと有利に戦闘が動きましたよ》


ーーーまあ、そうだけどさ。なんというか、スキルに頼らない自分で積み上げたものだけでやってみたくてさ


《そう、ですか…。けど、次は使って欲しいです。今まで役に立てなかった分を挽回させてください》


ーーーおう。


なんていうか…少し拗ねてる。確かに危なかったな。よし、次からスキルはどんどん使うことにしよう。

メニューもスキルも僕の力だ。


ーーーなあ、二人とも来ないんだけど。


《確かにこれだけのことをしたなら、合格として見てもいいと思いますが…》


ゴブリン倒しただけだけどね。

二人の気配を探ろうとしても、僕なんかじゃ集中しても半径50メートルくらいしか分からない。それも遠くになるほど薄れていくので、50メートル程にもなるとほとんどわからなくなる。


ーーー気配を察知できるスキルとか覚えようか。


《はい。察知系のスキルはいくらあっても困りませんし必要になると思います。取得した方がいいかと》


そうだな。

えーと、これかな


ーーーーーーーーーーーーーーー

【気配感知】


範囲内の気配を感知することができる。精度と範囲は保持者とレベルに依存。

【害意感知】や【危険感知】の統合、上位交換。


ーーーーーーーーーーーーーーー


習得っと。


早速オンにする。おおぉ!なんだろう、ボヤけていたのがモザイクがとれたみたいに、いっきにクリアになった。


これは凄いな、レベル1でこれだけ凄いとは。あっ、そうだ。


ーーーお前と同期させた方がいいか?


《はい。その方が私も状況を理解できますし、私が必要のない情報をカットすることができるのでさらに制度が上がるかと》


よしなら早速……出来たっぽいな。感覚だけど。うん、ピントが合ったみたいでさらに分かるようになった。

さてと、二人は何処にいるのかなっと。


…え?


《マスター…》


村が燃えている?









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ