1つの黒歴史
「やっときたか、おせーぞ」
「ごめん」
「おう、寝てたのか?なんかあったのか?」
「うい!?いや、その、まあね」
「うん?ルナ何があった?」
ノルドさんがニヤニヤしながら尋ねる。や、やめろー!
「うん。あのねあのねーーー」
ルナは嬉々として話し始めた。
「そうか、、、」
「う、うぅ、もうやだ。何でルナはそんなに嬉しそうに話すんだよぅ」
「えへへ、兄さんが私に悩みを話してくれたのが嬉しくって!」
「ほう」
ぐうぅ、恥ずかしいぃ!
「タイガ、お前は俺のことが嫌いか、、、?」
「え?」
「いや、その、なんだ、お前俺のことちゃんとよんだことねぇだろ」
っ!、、、確かに僕はちゃんと呼んだことはなかった。心の中ではさん付けだし。でもーーー
「、、、確かに呼んだことない。でも!それは嫌いとかじゃなくて!なんて呼べばいいか、その、分かんなくて…。ごめん」
「あぁ、なるほどな。けど、前も言った通り俺たちは家族だ。だから別に迷惑だとか考えなくていいし、俺のことなんか親父で十分だ」
「そうだよ兄さん。お父さんなんかお酒飲む時、『息子には『親父』って呼ばれたい』って言ってたし」
「うおい!それは言わなくていいだろルナ!」
「お父さんの剣術全部教えるんだよね」
「う、ぐぐ、その通りだが、、、。最近お前セレナに似てきたな、、、」
「セレナ?」
「うん、お母さんの名前」
「つまり、お、親父はいつもセレナさんに尻にひかれていたと」
「あははは」
でもそんな風に思っててくれてたのか。嬉しいな。
「よし!親父!これからもう遠慮なんてしない!親父の剣術全部盗んでやる!」
「お、いうようになったじゃねえか!それならこれからはビシバシ行くからな!ルナの回復魔法もあることだしな!」
怖いこと言うな!つまりあれだろ?切っても治せるからやっちゃおう、ってことだろう。
「ふわははははは!望むところだ!」
「兄さんが変な風になった…」
そりゃもう開き直るさ!
「おうお前らとりあえず飯だ!じゃないと明日から持たんぞ!」
そうして、お腹いっぱいにご飯を食べーーー
ーーーお腹を壊した。
☆★☆★☆★☆★☆
次の日の朝。
あれから、食べ過ぎたせいでお腹を壊し、深夜遅くまでトイレの中で過ごし、そのまま力つきるようにして眠った。
おかげでお腹がペコペコだ。多分2キロくらい痩せたんじゃないか?体重計がないからわからないけど。
「おはよう」
リビングにいき、すでに起きていた親父とルナに挨拶をする。ルナはもう朝ごはんを作り始めており、親父はそれを見ながら座っていた。
「おう。ってお前大丈夫か!?」
「大丈夫って何が?」
「に、兄さん顔がガイコツみたいになってるよ…」
言われて顔を触ってみる。
おぉ、ほんとだ。僕の柔らかいお肉がほとんどない。うん、なんか面白い。
「よっし、ならバンバン食えばいい話だな!」
「ガハハハ!その通りだ!食事が終わったら早速修行だぞ!タイガ!」
「よっしゃ!やったるわ!」
「お行儀よくしてね二人とも」
「「はい」」
ルナに笑顔で高密度の魔力を発せられ素直に謝る。めちゃくちゃ怖い。魔力がうっすらと見えるくらい濃い魔力なんだもん。
というか親父。父親がそんなのでいいのか?…うん、お兄ちゃんである僕が言えたことではないですね。スイマセン。
娘(妹)に従ってしまう情けない僕らはいったい…。
ま、まあ親しみやすいお兄ちゃんって事で!
この後、ご飯を3杯食べ早速訓練を始めるのだった。