初めてのおつかい(+α)
門番さんと別れて少し歩いた後。
「さて、じゃあ案内頼むよ」
「任せなさい!といっても、このまま道をまっすぐ行ったら山に入るからそこで採取するだけだけど」
「それって歩いたらどれくらい?」
「う〜ん...分かんない」
「だ、大体2時間くらいです」
ライラが教えてくれた。ライラの方がしっかりしてるんだろうか?ってゆうか2時間....ッ!?長いかな!
「飛行魔法でいかないの?」
「そんなの使えるわけないじゃない。あれを使えるのは相当高位の魔法使いだけよ」
「ギルドのAランク冒険者さんが使えるって聞いたことがあるんですけど....私たちは使えません」
ふむ、流石に2人を抱えながら飛ぶのは少し面倒だな。
一応移動用の道具も村にいる時作ったのだが、アレは僕とルナの二人乗りだ。3人は乗れない。仕方ない、歩いて行こう。
対策を考えておかないとな。うん、ホントに。大体30分くらい経ったかな。ほとんど変わり映えしない景色に飽きてくる。しかも初対面のため上手く会話が広がらない。
右を見ても左を見ても草原で、遠くに木々が見えてくるくらいだ。何か....何か会話をっ!
「そういえば、なんで2人とも冒険者になったの?」
適当に思いついた話題を聞いてみる。
だがレイシアは少しだけ険しい顔をしたのちこう答えた。
「お金よ。私はお金が必要なのよ。....軽蔑した?」
「えっ?いや別に?思ったより子供らしい理由でいいと思うよ?」
「えっ?」
「それに俺も同じ理由だし。ギルドで言ったろ?俺は妹のためにお金を稼ぐ!」
そもそもお金を稼ぐ以外の理由があるだろうか?いやまあ『冒険者がカッコよかったですから!』とか『街の役に立ちたいから!』とかあるかもしれないけど、根っこはお金だろ?
もしも僕が『うん、軽蔑した』って言ったら相当性根が腐ってるぞ。
「ふふふっ!」
と、思っていたらライラに笑われた。何故に?
「そんな理由で冒険者になるなんて人初めて聞きましたっ!」
「そうなん?家族のために!とか普通にいるだろ?」
「まぁそうなんですけどね。お姉ちゃんだってそうだし」
「ちょ、ちょっと!恥ずかしい事言わないでよ!」
「え、なに?もしかして複雑な理由でお金が必要なの?む、無神経なこといっちゃった!?ご、ごめん!」
そりゃそうだよね!ちょっと怖い顔してたもんね!くそぅ、ラノベで似たような展開はあったはずなのにどうして気がつかないんだよぅ。
「ただ家族を養っていきたいだけよ。そんなんじゃないわ」
「そっかぁ。偉いなぁ」
「そう?普通じゃない?」
「いやぁ、2人ともまだ子供でしょ?子供のうちから親を楽させてあげようってのは本当に偉いと思うよ」
「うーん、やっぱりここじゃ普通よ。それに貴方だって子供じゃない」
「ここじゃ普通なの?へぇ、大変だね」
地球じゃまだまだ養ってもらう側だからねぇ。バイトをする人もいると思うけど、大抵自分の趣味とかに使っちゃうイメージがある。
「じゃ、じゃあソラさんが住んでたところでは違ったんですか?」
「うん、今頃みんな勉強しているだろうね」
なんか自分だけ学校サボってるみたいな気分になった。いや僕は悪いことしてないけども。こう…微熱で学校を休んだ時みたいな。
「まあとにかく!勉強してるよりは身体を動かしてたいかな」
「そうですか?私は…危ないことなんかやめて勉強してたいです。…はは、ダメですね。こんな弱気じゃ」
「そうか?まぁ隣の芝生は青いとかなんとかいうし。そもそも、どっちも悪いことじゃないだろ。平和に生きたいっ!自由に生きたいっ!…人間なんてそんなもんさ」
「あんた難しい考え方してるのね」
想像力豊かで道徳心に溢れる日本人ですから。…まぁ日本は変態王国ともいえるけども。
「ぇと、慰めてくれたんですよね?ありがとうございます」
「別に慰めたわけじゃないけど。それに仮に僕が慰めてたとしてもそれを指摘しちゃダメだろ。せっかく格好つけたのに」
「あっ、えと、ごめんなさい?」
「何故に疑問系」