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試合…?



私は受付嬢という職業に就いている。何故かと言えば給料がいいから。


ここでは依頼を発注し、それを冒険者と呼ばれる人たちが解決する場所だ。命がけのものもあるとはいえ、とても報酬が魅力的だ。


なので、時折くるのだ。


「ギルドに登録したいんですけど」


こういう人が。



☆☆☆☆☆☆☆☆



とうとう試合をする事になってしまった。いや、私も言ったけどこんな事になるなんて思わなかった!そもそもあの子が悪いんですよ!ギルドの皆さん全員を相手にするなんてできるわけないじゃないですか!


はあ、でもランクの高い人がほとんど居なかったのが幸いでしょうか?いえ、いたらこんな事にならなかったかもしれませんね。


それに、あの子も一度痛い目を見たほうが将来のためでしょう。


「はい、僕の方はいつでも…」


まずは男の子の方から試験をします。そもそも言い出したのが男なんですから、似てない妹さんは関係ないでしょう。最初はナメくさったカップルかと思いましたが……。


「後悔しても遅いからな!」


「試合始め!」


試合開始の合図をし、そしていつでも制止をかけられるように笛をくわえる。


『ウオオオオオオオオ!』


その瞬間野太い雄叫びが上がり、戦士たちが迫ってくる。男の子は何も構えずに突っ立っている。


ああ、きっと今更ながら自分のしでかした事を後悔してるんだろうな。


「オラああ!」


1人目の戦士が斧を振りかぶる。私がが笛を吹こうとする。


「もらっ…グゴア!!」


戦士の斧が当たるかと思えたその瞬間、男の子ではなく戦士の方が吹き飛ぶ。


『……え?』


私を含めた全員の口から戸惑いの声が上がる。


「俺は少しばかり怒ってるぞ…?」


『っ!!?』


男の子の口からさっきまでの丁寧な口調とは違う言葉が出てくると同時に凄まじい寒気がして、笛を落としてしまう。一人称も変わっている…?


『う、うおああああああ!』


再び雄叫びを上げ、攻撃を開始するがなんと武器も使わずに半分の冒険者を吹き飛ばしてしまう。


「お前たちはさっきまでのクズどもとは少し違うみたいだな…」


『………』


残った人たちは大半がCランク以上の冒険者たち。その全員がゴクリと唾を飲み込み、汗がにじみ出ている。()は何者なんだろ…?というかやっぱり口調が違う!


「いくぞ!」


『ハアアア!』


さっきまでとは違い、ある程度は連携のとれた動きを見せる冒険者たち。しっかりと前衛、後衛が分かれている。


彼も何処からか剣を取り出し、装備する。アイテムボックス持ちだったのか!しかもなんて上等なものだろう…!今まで冒険者たちの武器を見てきたからある程度わかるけど、かなりの業物だ!


今までとは違い、威圧感がここまで漂ってくる…。気を抜けば腰を抜かしてしまいそうだ。


「ヌウううん!」


大楯を持ったディフェンス役の人が突進して行く。


「シールドバッシュ!」


シールドバッシュは盾術の技能(スキル)でも一般的なものだ。

大きな盾に身を隠しながら相手にぶつかるというもの。どう避けるのだろう?


「ふっ!」


彼が腰を落とし、手のひらを大楯に向けたかと思うと思いきり盾にぶつけた。えええぇ!


避けるなんて思っていたのになんと正面から返り討ちにしてしまった。どんなステータスをしているのか気になる。だけど、今のを見る限りパワータイプだろうか?


「【ファイアーアロー】!」


「レインアロー!」


私と同じ考えに至ったんだろう。後衛の人たちが数で押し切ろうと球数の多い魔法や技能を使うここから見ると壁が迫ってくるみたいだ。


きっとこれは防げないだろう。回復魔法の準備をしなければ。


なんでいまだに思っていた私が間違ってましたよ。


彼はチラッとこちらを見ると剣を構えて……


「ハアアア!」


なんと全ての攻撃を防いでいる。目にも留まらぬ速さで剣を振り、全ての攻撃を撃ち落としているのだ。二つも三つも残像が見える。


あれだけのスピードがあれば簡単に避けられるような気もするけど……。もしかして、後ろに立っている私を気にしてくれたんだろうか…?


またも彼がチラッと振り返る。い、今目が合った!?何故だか私がドキッとしていると彼の口が少し歪む。

……?………っ!!?


ズガガガガ!と弾が飛んでくる。振り返ると丁度私の身体を形取ったような形で矢や、魔法の矢が刺さっていた。きっとさっきドキッとしたのは身の危険を感じたのだろう。


私が心臓をばくばくさせていると状況が変わる。MPと矢が尽きたらしい。次は近接戦闘が開始される。


斧、片手剣、大剣、槍など様々な攻撃が彼に飛んでいくが涼しい顔で攻撃さ避け続ける。流石に剣で弾いたりしてるけど、はっきり言って以上だ。


しばらく攻防といってもいいかわからないけど、攻撃が止む。みんな肩で息をしている。ヒーラーの人たちも身体に傷が無いので出番がない。


すると彼がこちらを見る。チラッとではなく、ずっとこちらを見ている。また心臓がバクバクと鳴り出す。ま、また何かされるのだろうか?


「これで良いですよね?早く笛を鳴らしてください」


「へ?あ、ああ!はい!試合終了です!お疲れ様でした!」


言われてやっと思い出す。すっかり忘れていたけど、それほど魅入っていたのだのかな?


とにかく、とんでもない新人が入ってきたぞお!これから楽しみだ!




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