飛んで行こう
魔物との戦闘を何回かしてやっと絶壁へと辿り着いた。
結構な数の素材が手に入ったな!途中から魔法が効かない相手やめちゃくちゃに硬い魔物も出てきたし。それなりに苦戦した。
ここまでは順調だった。だが、それからが大変だった。親父か見つけたって言う抜け道が全く見つからない。困った。
「兄さん。飛んでけばいいんじゃない?」
そうでした。飛べるんだった。でもなー難しいんだよなー。
【フライ】
主に重力魔法を使って空を飛ぶ魔法だ。似た魔法として【バタフライ】があるが、あれは空中に浮くだけだ。それだけでも十分だと思うが、【フライ】は『浮く』のではなく『飛ぶ』。龍との戦闘が可能になる。ただ、その分制御が難しい。気圧や風圧などを考えて重力を制御し、さらに空間を感知しながら移動しないといけない。処理しなければいけない情報が多すぎるのだ。
まあ、できないわけじゃないけどめんどくさい。
ーーーメティス。ステータスポイントをMP、魔力操作技能に振った場合簡単に行ける?
『はい。MPに振った後、細かい魔力操作は私におまかせ下さい。マスターのイメージ通りに飛べるようになるかと』
ーーーマジで!なら頼むわ。
『はい!』
すっげー!メティス有能だな!あれだ、秘書みたいな。
「うん。飛んでこうか」
「分かった」
「「【フライ】」」
呪文を唱える。ちなみに無詠唱スキルを持ってるので詠唱は必要ない。
地面から足が離れ、宙に浮く。そして一気に空へと飛び立つ。
うおおおぉぉ、やっぱり【フライ】は慣れないうちはキツイな。こう、僕の僕がヒュンってする感覚……分かるかな?ほら、ジェットコースターに乗った時みたいな感じの。わからないか。
みるみるうちに地面から離れていく。
「気持ちいいね!兄さん!」
「ああ!ホントだな!」
今まで魔法の制御に手一杯で楽しむ余裕なんかなかったからなぁ。今ではメティスがほとんどカバーしてくれるのでとても楽だ。想像するだけで行ける。
ーーーああ、メティス。僕はお前なしでは生きていけない身体になってしまったよ。
『ま、紛らわしい言い方をしないで下さい』
ーーーははは、可愛いなぁ。
メニューから進化してから感情豊かになった気がする。こう、もうちょっと機械みたいだったのがクーデレみたいな感じになった。
『落としますよ』
やめなさい。
ーーー悪かったって。メティス、視界の右上に簡単なマップを出してくれ。
『本当に反省してるのでしょうか』
そう言いながらもちゃんと仕事してくれるメティスが可愛い。
視界の右上にマップが出てくる。これサポート無しだと木の葉っぱまで詳しくなってたり砂ぼこりとかまで写しちゃうので頭に負荷がかかる。しかも視界いっぱいにマップが出てくるし。サポート無じゃとても使いづらい。
「どっち道があるか分かるか?」
「ごめん、わかんない」
「別に謝んなくたっていいって。じゃ、だいたいMPが三分の2になるくらいまで飛んで探すか。マップに村とか街があると嬉しいんだけど」
そこで僕らが召喚された国を聞いてみよう。
……ん?あそこの国の名前ってなんだっけ?
ポイントありがとうございます!
びっくりしました!