目覚めて
妹が欲しい。
どれくらい経ったのだろうか?目がさめると同時に体中がバキボキとなった。そりゃこんな地面で寝てたらそうなるか。
「あ!兄さん!やっと起きた!」
「ん?あぁおはようルナ」
「おはようじゃないよ!いつまで寝てるの!?もう…起きないかと…」
「ちょっと待って。僕はどれくらい寝てた?」
「…3日」
「3日!?」
はあ!?そんなに寝てたのか!?
「そう言われるとお腹が空いてきた」
グゥ〜とお腹がなってしまう。
「もう、これ食べて」
そう言ってルナがくれたのはリンゴのような何かだが、味も見た目もリンゴなのでこれからもリンゴと呼ぼう。
「ありがとう」
シャキッと心地よい音がして甘みが口の中に広がる。
「うまい」
いや、本当に。体が栄養を求めているのかどんどん手が進み、すぐに食べ終わってしまった。
「ありがとうルナ」
「ふふ、どういたしまして」
なんだか少し恥ずかしいな。
「とりあえず村に戻ってみないか?生き残ってる人もいるだろうし」
「そうだね」
「よし、じゃあ行くか」
…村ってどっちだ?
《西です》
おお、サンキューメニュー。そんな機能あったんだな。
《メニューですから。レベルも上がり機能が増え、性能も上がりました。マップ機能、イベントリなども使えます》
マジか。知らないうちに高性能になってる。
ーーーじゃあマップを表示できるか。
《はい》
そして目の前に半透明のプレートが表示され、森の地図が映し出された。なるほどなるほど。
「こっちだな」
そうして森の中へと入っていった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ついたぞ…」
「………」
かつて村があった場所は崩れた家や燃えた後のある畑が広がっていた。改めて見ると目頭が熱くなってくる。短い間だったけど、本当に楽しかった。けれど、もう戻せないんだなぁ…。
「あ!おーい!タイガとルナちゃんか!?」
「え?」
何処から僕たちを呼ぶ声が聞こえてくる。
「ゲイルさん!」
「ゲイルのおっちゃん!生きてたのか!」
鍛冶屋の親父、もといゲイルだった。
「簡単には死なねえよ!はっはっは!」
よかった…。もう誰もいないんじゃないかって…。そんな最悪な想像が時折頭をよぎってたから。
「お!タイガ!もしかしてないてんのか!?」
「ばっか泣いてねーよ!」
そういって殴りかかる。
「うおおお!?あぶねえ!お前レベルが上がって強くなったんだろ!?気をつけろよ!」
そうだった。急に強くなってまだ実感がわかない。
「はははは!まあなんだ、元気そうで何よりだ!」
「あの、ゲイルさん以外に人は…?」
「おう、結構いるぞ!みんな固まってる。俺が様子を見に来ただけだしな!」
「そ、そうか…!」
「よかった…」
ルナがとても安心したような声を出す。
「それで、お前たち2人はどうするつもりだ…」
ゲイルがふいに真剣な表情で話し始める。
「タイガ。お前にはやる事、したいことがあるんだろ?」
「………」
「いい機会なんじゃないのか。村のことは心配要らない。腐ってもこの村の人間だぞ?」
「兄さん…」
「…うん。そうだな!僕はまだこの世界を楽しんでいない!辛いことがあったんだ!だったら幸せなことがあったっていいだろう!」
「そのいきだ!」
「ありがとうゲイルさん!急だけどやりたいこともあるし…やらなきゃいけないこともある。だから、お世話になりました!」
「おう!それじゃあ気をつけていけよタイガ!」
「………」
「それじゃあ行ってきます」
「ああ、じゃあな」
ここで僕は力を手に入れた。力に溺れるつもりはないが、この力を使ってできることはかなり増えただろう。だから…僕は僕のやるべきことをするさ…。
「いってらっしゃい…」
ルナが僕を送ってくれ……
「「え?」」
「え?」
「る、ルナちゃん。一緒に行かないの?」
「い、いいいい一緒に行ってくれないのか?」
「え?一緒に行っていいの?」
「「………」」
しまった。ルナの気持ちを考えてなかった。しかし、多分、いや絶対僕はルナがいないと僕は生きていけないだろう。
「ルナ。僕はお前がいないと生きていけない。お前は僕が生きる理由の一つなんだ。だから一緒についてきてくれないか…?」
「!!は、はい!」
「そうか!ありがとう!」
そうして、僕たちの冒険が始まった!
一章完。
「なんかしまらねえな!しかも、最後の最後でいちゃついて行きやがった!」




