ホムンクルス
こんにちは。淀川さん。あれから再び、いろいろのことがあったにしても、結局、南極基地の夢ばかり見ます。わたしの頭には穴があいている。だからね、パラシュート付きの心臓をゆっくりと降ろしてきてね、兆候群の中心を目がけて。淀川さん。結局、南極基地の夢ばかり見るのです。あれから再び、いろいろのことがあったにしても、実物なんてない。実物なんてない。実物なんてない。リアルじゃない。机の上で考えられたようなことばかり。ぼくは机の下で考える。ぼくは机の下で考える。ぼくは地震の瞬間に考える。思考が地震だ。
恐怖。じゃあ、何だというんだ。腐った知性のやつばっかりじゃないか。呪詛か。ならばクソったれ、アホウドリ、ブタクサ、馬小屋野郎。この馬小屋野郎が。かかって来いよ、馬小屋野郎。馬小屋野郎のくせに、えらそうにしてるんじゃないよ。高層ビルは折れる。高層ビルは折れる。クレオパトラの鼻は折れて歴史が変わる。夢が変わる。北極基地の夢だ。ぼくたちにはホムンクルスがあるんだ。隕石が落ちてきたら、精神的に良いということに。ちがう、ちがう。粉だ。パンを焼いたみたいにスカスカ。こーんぽたーじゅをたっぷり吸いこんで呪詛だ。くそが。『シン・ゴジラ』とか『MGS5』とか、全然興味無い。全然興味無い。ヨネツゲンジとか、伊藤計劃とか、全然興味無い。クソだと思う。肛門だと思う。いや、大腸だと思う。いや、小腸だと思う。いや、胃だと思う。いや、歯だと思う。いや、舌だと思う。いや、食べ物だと思う。つまりクソだろが。
いっとくけどな、私、懸垂百回できるぜ。人工筋肉のスーツを着て、それからとにかく皮を剝がれている。もう深層webだ。どこに行っても「empty」、でも見えなかったんじゃなくて、今までは鏡で遮断されていただけなんだ。こんにちは。でも、淀川さんじゃないね。名前なんていらない。名前なんてつけないでくれ。名前なんていらないんだ。つらい思いをさせたね、と言うんだ、君が、名前のない君が、名前を捨てた君の名前が、名前は、いらないんだ。