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第1話:本日未明までレベルアップ会議

どもども、連載も書いておりますが

こちらは短編予定、4話まで。

何というか、短めのコメディーが書きたいんじゃあ~ってことでね。

多分、4月中には全部書き終わる予定。

「そんなの無理に決まってるじゃないですかぁ~!」


「いやいける! いけるって、気持ちの問題だって」


「何で、ゴブリン5匹倒しただけで、スキルが6つも上がるんですか。 どう考えてもおかしいですぅ、説明できないですぅ。」


「おまっ、声っ声でかいから。 分かった、よぉ~~くっ聞けよ!。」

「まず最初だ、森の中で円陣を組んで周囲を警戒するゴブリン、当然やつらは血肉に飢えて視野だけでなく嗅覚も過敏だ。 何人もの( 家畜の )血を啜ってきた奴等は歴戦の猛者。 しかも、俺の見立てでその中の1匹が魔王ゾルバルダークの親戚の子供の可能性すらあるという所、ここまではいいよな?」


「はぃ……そこまでは分かりますぅ」


「だよな!? だから奴等を先に見つけ出して攻撃を加えた俺が【鷹の目】のスキルが向上するのは可笑しくない! その上でだ、あの夜目すら届かぬ暗い森の中で俺は遠距離からブーメランで奇襲をかけた! これは間違いなく【投擲】スキルの資格があると言えるっ」


「でも今は昼ですぅ……」

涙ぐみながら反論する女神に俺は、これだけは言いたくなかったと首を振って答えた。


「外れたときに言い訳っぽくて言いたくなかったんだけどな、森にはどうやら暗闇の魔法がかけられていた。」


「暗闇の魔法が!?」


「ああ、それこそがゾルバルダークの親戚の子供が居ると思った理由なんだが、あの森の視界は予想以上に悪く、俺は殆ど視線の通らないままブーメランを投げざるを得なかった。 だが見事に術者のゴブリンに奇襲をかけて術を解いたんだ。」


「それは、それは凄いですけどぉ……」

よし、風向きが変わった、俺は舌なめずりをして更に饒舌に説得を開始し……


え──? 今、凄くいいところなんだけど、何だよ説明? は?


何をやっているかって? そりゃお前、レベルアップの交渉に決まってるだろう。

え、それは何かって? お前、レベルアップしたこと無いの? 異世界? 美味しいの?


まぁいいや、何か女神も 時が止まったように動かないから説明してやる。

俺が今やっているのはレベルアップの交渉だ、んー、そうだ。

お前の世界ではレベルアップってどうするのよ? 成長だよ成長。


うんうん……? 例えば毎日走ってたらいつの間にか足が速くなる?

本を読み続けてたら、自然と頭に入ってきて回転が速くなる?

それ、どうやって分かるの? 本当に成長してるのそれ?

相手から成長度合を聞かれたら、ステータスカード見せるの? え、無いの?


はぁ、詐欺師には良い世界かもしれないな。

(俺に言われたくないって顔してるな)

まぁいいや、俺の世界ではレベルアップは神様にお願いするもんなんだ。


毎日の生活や、一つの何かを乗り越えるたびに

自分の行いによって神様が能力を成長させてくれるんだ。


勿論、神様が相手だから嘘はつけない。

走ってないのに走力は上がらないし、本を読まなきゃ知識も増えないだろうな。

神様がその努力を認めてくれて、初めて能力は成長できるんだ。


じゃぁさっきのは何かって話だよな、まぁアレは神様との協議だな。

経験とか努力ってのはさ、基本的に自分から行動を起こすもんだよな。

さっきの例で言えば本を読んだとして、

それが【魔術】の為か【医学】の為かは本人の目的次第だから、神様はそこまで分からないわけだ。

その誤差を埋めるために、

特に経験が多岐に渡りやすい冒険者などは神様と交渉を行うことがある。


俺がやってたのはそれ、まぁ交渉って言っても相手は神で主導権は相手側だ。

怒らせたら成長できないわけだから、レベルアップ交渉なんて精々が10分程度だな。

もういいか?

これ以上、話してると俺の武勇伝を忘れちまうからよ、じゃあな。


─────────2時間後─────────


「くすん、くすん……ステンさんの、【鷹の目】【投擲】【大盾】【片手剣】【盾】【魔法】【ハイド】スキルの上昇を認めますぅ」


や り き っ た


夕方前に始めた交渉も、日はとっくに落ちて階下では騒がしい酒場の喧騒が聞こえてくる。


ベッドに大の字に横になる俺の横で、女神が目を腫らしてぶつぶつと呟いている。


「おかしいよぉ、おかしいよぉ、こんなに強くなるはず無いのに絶対におかしいよぉ」

何処か闇を背負っている表情で焦点があってない彼女だが同意の上だ、問題ない。


「仕方ないって女神様。 人間ってたまにこういう急成長を見せるもんなんだって」


「"たまに"って昨日も、村に泊まっただけで【料理人】【商人】スキルがあがってるじゃないですかぁ! スキルってのは、その人の限界を見せてや~~~っと上がるものなのにぃ」


「それはもう納得したじゃないか、彼らが俺の【レーベ村の旨煮】を食べた顔を見ただろ?」


「……何とも言えない顔をしてましたけどぉ」


「その後にこう言った、「これは言葉に出来ない」。 だから俺は間髪居れずありがとうっ!と答えた」


「……そういう意味じゃない気がしますけど」


「商人スキルだってあの遠いランド村への馬車をほぼ無料で乗り継いだ。 依頼を受ける前で当然、財布もすっからかんだから最悪、役人に突き出される状況でだ!」


「……最悪、働いて返そうとか思ってたんじゃないですかぁ?」


女神様の言葉に俺は後ろを向き、斜め45度の角度で彼女の足元に視線を落とす。


「……どうしたんだよ女神様……そんなに疑われたら俺……自分の努力を信じられなくなっちまうよ。 俺は常に、これっぽっちの努力で女神様が認めてくれるか、不安を押し殺して相談しているのに」


「む~~……む~……仕方ないです」


女神は大きく息をつくと納得したのか膝を払うとやっと笑顔を見せた。

「明日はこうはいかないです」

そう言って女神様の姿がすっと消える。


ふぅ、今日は中々に手ごわかったぜ。

俺は確かに向上しているスキルカード眺めて、にやにやと笑うと階下へ、遅い夕食を食べに行った。


ご愛読ありがとうございます。

新人なんで、感想とか書いてくれてもいいのよ(チラッチラッ)

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