日除け者の小唄
掲載日:2014/04/27
私は影だ。
私は光には成れない。
私が作られた理由は姉の代換品。
姉の才能をコピーした、感情を与えられただけの入れ物。
価値はない――姉がいる限り。
意味はない――姉がいる限り。
生まれながらにして死んでいる。
それが私。
でも姉を憎むことはなかった。
むしろ恋焦がれてすらいた。
それは、私の手の届くところにいないって分かってたから、なおさら。
人は光に眼を灼かれながらも太陽を夢見る。
毎日毎日、落伍者として太陽に焦がれながら生きる。
それでよかった。
それでよかったのだ。
自分の成れないものを恋焦がれる。
それはよくあること。
最後は、届くはずのない太陽に手を伸ばしたイカロスのよう。
急転直下に落ちていくはず――だった。
だけど世界はあざ笑う。
……姉は事故なんていう、つまらない現実に押しつぶされた。
死ぬなら落伍者である私であるべきなのに。
だけど、そういう《現実》に押しつぶされて
人は簡単に死んでいく。
どうしようもないほど――よくある話。
人が一人死んだからといって、世界が止まることはない。
その人のいた痕跡を残しながら――その痕跡を風化させながら世界は回っていく。
私は今《姉》として生きている。
それは《あるべき》姿。
入れ物として――何一つ間違いのない《あるべき》姿。
だけど、嗚呼――。
やっぱり私は光に慣れない。




