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『永遠少女と刹那少年』  作者: 雨夜 紅葉
『刹那少年』
4/10

何かが始まった金曜日

わかってたんだ。

目を覚ます。すると、そこは自分の家だった。といってもマンションの一室に一人暮らしなわけだから、自分の“部屋”と言うべきかもしれないけれど。


「あー、」


肘をついて起き上がり、そこがソファの上だということに気がつく。どうやら、ベッドにも行かずに眠ってしまったらしい。不本意ながらいつものこと、だ。要因?それも、わかってはいる。

話がずれるが、僕は片付けという作業が出来ない。そんなに物はない筈なんだけれど、何故かすればするほど散らかるのだ。その原因の大部分は、というか殆どは、


「またかよ……。」


大量の画用紙一杯に書き込まれた落書き、みたいな絵。これだけは、どうしたって片付けられる気がしない。そしてこの絵の量産が、僕がほぼ毎日ソファで眠ってしまう理由である。

悪い癖だ。毎晩毎晩飽きもせず、くだらない絵を描きなぐって。そうしているうちに力尽きて、ソファに埋もれるように眠って。気が付いたら朝、という間抜けな展開。今まで何度も策を練って止めようと思ったけれど、全て無意味な失敗に終わっている。そこから何も学べない失敗、だった。本当に無意識ってやつは怖いーーーー


「何処までが有意識で何処からが無意識かはわからないけれど、癖というのは大体が無意識下でおこる動作だからね。」


まぁ、それは置いておいて。

何気無く拭った頬には、べったりと絵の具がついていた。頬だけ、ではない。よく見れば、髪にも服にも手にも色とりどりの模様が出来上がっている。どんな描き方したんだよ、僕。自分をパレット代わりにでもしてたのか?

いや、僕自身はまだいいとしてだ。さっきから見当たらない絵の具やら筆やらは一体全体何処にあるのだろう。紙の群れの中に紛れていることはほぼ確定的だけれど、床とかを汚していたらそれはもう悲劇としか言いようがない。朝っぱらから雑巾掛けは勘弁して欲しい、切実に。

でもとりあえず、そんな悲惨な事態には陥っていないと信じておいて、まずはやるべきことを先に済ませることにしよう。


「とにかくシャワー、だな。」


そう、今日は登校日なのである。しかも13日の金曜日ーーいや、僕には平日って意味でしか無いんだけれど。


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