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青春18勇者  作者: 天川 榎
最終章
72/75

第72話~Out of Blue~

 ここは一体どこなのか、見当がつかない。

 目を開ければ、真っ暗な闇の中に居た。音もしないし、何も見えない。何の生の香りすら無い。

 そうだ、シャリオットに眠らされて、それから・・・・・・どうしたんだっけ?特に移動した覚えも無い。シャリオットも近くには居ないようだ。

 そういえば、セレジア達はどうなったのだろうか?そう頭で思い浮かべた瞬間、目の前に映像が現れた。そこにはセレジアと思われるモンスターが勇者達に追いかけられている姿があった。周りの風景にも見覚えがあった。この風景は最初に縛り上げられて連れてこられた、そしてセレジアと出会った街、ラサマだ。

 勇者達がみるみるうちにセレジアを囲む。総勢100人程度といったところか。暗がりの中から見ている事しかできないのか。

 唇を噛みしめ、ジッと堪えていると、目の前に見覚えのある剣が姿を現した。これは、あのドラゴン退治以来冒険を共にしてきた相棒『サンパリーツ』だ。

 剣を抜き、両手で目前に構える。その剣は再びまばゆい光を放ち始める。

 いつも希望を切り開いてきたこの剣に、全ての行く末を託す。この暗闇から抜け出し、早くセレジアの所へ駆けつけたい。そして、今まで言えなかった事を、今度こそ話したい。

 目に見えぬ速さで駆けた希望の光は、サイジを覆っていた闇を切り裂いた。闇を切り裂き現れたのは、まさに今まで見ていたラサマの光景であった。

 剣の衝撃波がセレジアを取り囲んでいた勇者にも伝わったようで、全員その場に腰を地面についてしまった。

「一体何なんだ?」

 何が起きているのか理解ガ出来ていない、きょとんとしている勇者が呟く。

「お前ら、寄って集って何やってるんだ!」

 サイジは、おもむろにセレジアの前に立ちはだかる。

「勇者なんだから、モンスター倒すのなんて当然だろ?」

「こいつは、仲間なんだ。これ以上攻めないでくれ」

「バカ言ってんじゃねえよ!こっちはインパラジオ協会から話を聞いて来てんだ。お前こそ何だ?モンスターの味方するのか?裏切り者!」

 腰を抜かした勇者達も次々と立ち上がり、サイジ達に剣を向ける。

「お前らこそ、何の為にモンスター狩ってるんだよ」

「は?それはみんな元の世界に帰るために決まってるだろ?」

「魔王を倒せば戻れるって話だろ?そんなのインパラジオ協会のでっち上げだろ」

「お前こそ何知ってるんだよ?何処の回しモンだこの野郎!!」

 話していた勇者は激昂し、サイジに斬りかかって来た。サイジは『サンパリーツ』で応戦する。

 堂々巡りの問答を続けていると、セレジアがサイジに近づいてきた。

「ブ、ブヒー」

 ただ、豚になってしまって何を言っているかが全く分からない。

「あー、分かった分かった。ありがとう」

「ブー」

「おい、モンスターと何話してるんだよ。やっぱり内通者か?」

「こいつは元は人間で、インパラジオ協会と魔王にモンスターに変えられたんだよ」

「確かに、俺たちが囲んでも、全く襲ってこなかったからな、この豚・・・・・・」

 勇者達も状況を察したのか、次々と剣を収め始める。

「だから、アタシは豚じゃないブヒー!」

 いつの間にかセレジアの姿が戻っていた。

「語尾が豚になってるぞ、セレジア」

「そんな事無いブヒ」

 何で戻ったかは分からないが、とりあえずセレジアを元の姿に戻す事が出来た。

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