第71話~長いようで短い~
「とりあえずその格好やめてよ、アンタらしくない」
セレジアはサイジから顔を背けた。
「何言ってるの?これは・・・・・・」
「我が輩から説明しよう」
シャリオットがサイジの口を手で塞ぎ、セレジアの前に現れる。
「アンタ、サイジに何したの?」
「彼は、モンスターになるという勇者の宿命から解放すべく立ち上がったのだ」
「は?モンスターに変えてるのはアンタ達でしょ?」
「何も知らない事を恥じぬことは、若さの特権だよ。ハハハ!サイジの口から説明したまえ」
サイジはシャリオットから伝えられた情報をそのままセレジア達に話した。
「そんな・・・・・・嘘でしょ?」
「これが真実だよ、諸君」
まるで狙い澄ましたかのように、背後から大勢の軍勢が押し寄せてきた。甲冑を身につけて、身体ほどある大剣を背負った屈強な戦士達だ。
「発見した」
集団の一人が他の人に呼びかけ、サイジ達をぐるりと囲むように配置についた。無数の目線がサイジ達に注がれる。
「こいつがそうか?」
インパラジオ協会の人間が誰かに呼びかけている。
「そうだ。早くモンスターにしろ」
その呼びかけに応えたのは、あろうことかシャリオットであった。
「どういうことなの?」
そうセレジアが言葉を発したのも束の間、目の前で何かインパラジオ協会の人間が呪文を唱え、あっという間にサイジの仲間達がモンスターに変わってしまった。見た目も可愛い、巨大ゴリラ。
「貴様達は、今から勇者達の手によって処刑される。我が輩を倒せぬ勇者など、無価値だ」
「ウホッ!ウホッ!」
人間の言葉を喋れなくなった仲間達は、インパラジオ協会の人間達に捕らえられ、各々檻に入れられた。
「どういうことだ!シャリオット!全然話が違うじゃないか!」
「勇者を救うなど、我が輩が何時口にした?」
「シャリオットォオオオオ!!!!!」
サイジは腰に差していたサンパリーツを抜き、喉元へと突き立てようとするが、寸前で捌かれ、地面に転がされる。
「全く、駆け引きというのがなっていないな、貴様は」
シャリオットは、不敵な笑みを浮かべサイジに呟く。
「デスペラート」
瞬間、サイジの身体から意識が抜け、その場に倒れ込んでしまった。