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青春18勇者  作者: 天川 榎
第1章:始まりの地 ラサマ
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第07話~旅立ちは痛みと共に~

 一夜明けて、受付前。

「いや~昨日はどうなるかと思いましたよ、ほんと」

 私が欠伸混じりに呟く。

「まさかアタシもこんなことになるとは思って無かったわよ」

 セレジアは手を胸の前で組み、肩を伸ばしている。

「確かに、この世界に来たその日に、コミュ障同士が出会って偶然パーティ組むなんて驚きですよね」

「ほんと、世の中分からないわね・・・・・・」

 そんなボヤキを聞いてか聞かないかは知らないが、偽幼女受付嬢がスウッと近づいて来た。チュッパチャップスを舐めている。

「そうさ、長い間生きていると色んなことが起こるんじゃ」

「出た!年齢詐欺師!」

 そう言い放った瞬間、偽幼女の掌から光の玉が発射され、天井まで突き飛ばされた。

「これらから最近の若者は・・・・・・」

 幼女はチュッパチャップスを舐めながら呟く。

「ところで、何かミッションとか来てませんか?」

 セレジアは私に目もくれず、話を再開する。

「ああ、そういえば、近くの街で久しぶりに魔物が出たってさ」

 幼女から渡された紙には以下の様に書かれていた。


お仕事票

場所:マギルカ周辺

内容:魔物討伐(Lv.10相当)

詳細:ドラゴン族系の魔物です。おそらく街の近くに巣があると思うので、それもお願いします。

報酬:10万イェン


「レベル10相当か・・・・・・頑張ればいけるかな?」

 セレジアはお仕事票を見つめ、俯き思案する。

「いや、まだお主の実力じゃ、レベル7もいくかどうかじゃろう。そこの少年もレベル3相当と見た」

 幼女はチュッパチャップスを口から取り出し、見事に爆発させた。

「一瞬でやられるのがオチじゃ」

「そう、ですよね。アタシ達じゃ、無理ですよね」

「まあ、そう言わずに、ほれ!」

 受付カウンターの書類ボックスから幼女はおもむろに、何か取り出した。

「パーティ募集票じゃ。マギルカなら魔法の都故、手練れの魔法使いがわんさかおるじゃろ」

「なるほど、メンバー増強で乗り切るということですね」

 私はようやく天井から舞い戻り、意識を取り戻した。ついでに幼女からチュッパチャップスを奪おうとするが、あっかんべーをされてしまう。いい歳こいてあっかんべーはないだろう・・・・・・

「もちろん、メンバーを入れるにもそれ相応の実力や加入者の目的に適うパーティでなくては入ってもらえんぞ」

 確かに実力はどうしようもないとして、このパーティは利用するに値する価値があるのかといったら、微妙なところである。コミュ障2人、しかもまだまだ経験は浅い。やはり高望みして相当の手練れを引き込むのは諦めて、私達のような馴染めない者を探すしか無い。

 リストとにらめっこしたところで、結論は出ない。善は急げ。

「おばあちゃん、このリスト貰っていって良いですか?」

「・・・・・・誰がおばあちゃんじゃ?」

 幼女は私の眼前に掌をちらつかせる。

「わ、わ、わかりました。お返しします」

「どうせ向こうにも同じものがある。一応募集サロンというのがあるから、受付の者に訪ねてみるが良い」

 そう言って幼女は、私達に通行証と馬車使用許可書を差し出した。

「頑張りな、お二人さん」

 ついでにチュッパチャップス(マーブル色)も貰った。

「あ・・・・・・ありが・・・・・・」

「なあに、わしの砲撃を耐えた褒美じゃ」

 感謝を述べようとしたが、被せられた。


 幼女に軽口を叩かれ、受付を後にし、入り口を出ると既に馬車が用意されていた。

「しがない村長から、ささやかなプレゼントだ」

 ヒゲダルマ村長が気を利かせて馬車を手配していたのだ。

「こんなものまで・・・・・・」

「まあ、これを使って沢山手柄を立ててくれ!この村の為にも頼む!」

 村長にお辞儀をされた。こういう頼まれるとか、プレッシャーには弱いんだよな。

「わわわわわかっりました。せせ、精一杯頑張ります」

「なに、緊張してるのか?」

「ききき、緊張してないです」

「分かりやすい奴だな」

 セレジアに頬を人差し指を突かれた。

「なんだお前達、一晩でそんなに仲良くなったのか?若いっていいねー」

「やや、やめて下さい村長!!冗談にも言って良いことと悪いことが・・・・・・」

 セレジアは、みるみるうちに紅潮していった。

「まあ、二人とも達者でな」

 私達は村長とその取り巻き数人に見送られ、この街『ラサマ』を後にした。



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