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青春18勇者  作者: 天川 榎
第5章:火山の街 ドンガマク
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第66話~ニンゲンモドキ~

「あたしのことはどう思ってたの?」

 ミツキの隣に腰掛けた途端、口を開いた。

「どう思ってたっていってもな・・・・・・まあウザったいぶりっ子くらいには思ってたよ」

「それってほとんど嫌いって言ってるのとイコールじゃん」

「ってか、ミツキってそんな喋り方だったっけ?」

「あ、ああ~そういえばサイジの前じゃ初めてだよね。こういう感じ」

 心なしか、ミツキの表情に大人びた憂いが帯びている気がする。

「初めて会った時は、カッコいいなって思った。お世辞無しに」

 はにかんだ笑いを見せてくるミツキ。

「その頃はあたしの中には何のとりえも無くて、ただ世界を彷徨ってた。無意味に時間を過ごしてた。でもね、あの日、あなたに会って、あなたのパーティに入って、人生が変わった。今まで落ちこぼれだったあたしに、あなたは生きる意味をくれた。あたしにとってあなたは大切な人なの」

 不意に手を握ってきた。その手は少しばかり汗で湿っている。

「た、大切な人って・・・・・・」

「だから、あなたのことが好きなの」

 上目遣いでボクに迫る。顔が眼前に迫り、頬を吐息が撫でる。

「今更なんだよ、パーティからも離れて、どの口が言ってるんだよ」

「あたし、本気だよ」

 ミツキの瞳は涙で潤んでいるように見える。

「本気って言われてもさ・・・・・・無理だよ」

 ボクはミツキから顔をそらし、両手で突き放す。

「なんで?」

「ごめん、それは言えない」

 その場を立ち去ろうとしたその時、ミツキに手首を掴まれた。

「ねえ、ちゃんと話してよ。わたしに」

「話してどうなる」

「わたしからもう逃げないで」

 ミツキはボクの背後から抱きつき、体を密着させてきた。

「よせよ」

 ボクから無理矢理体を引き剥がそうとするが、ミツキは強い力で離れまいと抵抗する。

「もしかして、まだ言ってないの?」

「何を?」

「セレジアにまだ好きって伝えてないんでしょ?」

 その言葉を聞いた途端、全身が火を付けたように熱くなった。

「な・・・・・・な、な、何を言ってんだお前は!!!」

「いや、普段の行動見てればバレバレだし」

 ミツキはボクの慌てっぷりを見て、ボクの体から離れた。

「好きなんでしょ?セレジアのこと」

「・・・・・・はい」

「なら、早く伝えなきゃ」

「いや、でも」

「でも、じゃない!」

 ミツキはボクの両手首を掴み、目の前で叫んだ。

「いつ死ぬか分かんないのに、想いを伝えないでどうするの?わたしだって、勇気振り絞って出来たんだよ。出来ないわけないよ。いつまでも同じところで立ち止まってたら、進むものも進まないって!いい?今度こそ成功させるのよ?分かった?!」

 ミツキの唾がボクの顔に掛かるほど力説されたら、動かないわけには行かないだろう。

「ああ、分かったよ」

「よし!そうと決まれば魔王城へレッツゴー!」

「え?ちょ、ま・・・・・・」

 ミツキが取り出した睡眠薬を染み込ませた布で、ボクはあっさり意識を失ってしまった。


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