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青春18勇者  作者: 天川 榎
第5章:火山の街 ドンガマク
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第65話~美しい仕打ち~

 空は再び紫色に染まった。

 魔王に対する何の手掛かりも持たず、セレジアはアジトを飛び出してしまった。もうシャリオットは仲間では無く敵であることは、頭では理解しているつもりだ。だが、体が言うことをを聞かないのだ。まだどこかで躊躇いがあるんじゃないか、と思ってしまう。

 シャリオット自体、あまり人を傷つけることを良しとしない人だったような気がする。男には頼もしい戦士に、女からは変態紳士として見えていたことだろう。

「なんでだよ」

 口から不意に出た言葉がそれだった。

 ここでシャリオットを仲間として止めに入るべきか、それとも魔王として駆逐してしまうべきか。だが、今はいずれも手段も私は行使出来ない。今『サンパリーツ』を持っているのはセレジアだ。私は完全なる無力だ。

 なら、シャリオットを探さなくてもいいんじゃないか?どうせシャリオットに遭遇しても回避するだけで、何の抵抗も出来ない。行ったところでどうしようもない。邪魔者だ。

 このままじっと待っていようか。だがそれはそれでどうなのだろうか。曲がりなりにもパーティメンバーが戦いに出ているのだ。参加しないでどうする。パーティでいる意味が無い。役割を果たさなければパーティからあっという間に追い出されてしまう。

 ・・・・・・でも、私の役割って一体何なんだ?

 ただ逃げ惑っているだけの引きつけ役でしかない。相手に致命的なダメージを与えられる『サンパリーツ』が無ければただのニンゲン。そんなもの、パーティに居るのか?そもそもセレジア達がそんなものを欲しているのか?

 やっぱり、パーティに要らない存在じゃないか?

 思案に耽り、日も沈んだ頃彼女は再び私の前に姿を現した。

「久しぶりぃ~」

 この語尾には聞き覚えがある。

「ミツキ?!」

「せいか~い!」

 そう叫ぶと、私の胸へ飛び込んできた。思わず再開を喜び抱きしめてしまった。

「今まで一体何してたんだよ!」

「なんにもしてないよぉ」

「そうなんだ。今まで通りだな」

「今まで通りってどういうことぉ~?!」

 ミツキが私の背中をポコポコと可愛く叩いてくる。

「ハハ、嘘だよ。十分活躍してたよ。でも、なんでパーティ抜けたの?」

 その言葉を発した途端、突如としてミツキの顔から笑顔が消えた。

「え?分かんないの?近くで見てたのに?」

「そんな言われたって、分かる訳ないよ。自分のことさえ、いまだに分かんないっていうのに」

 ミツキはその言葉を聞いて鼻で笑った。

「あ~あ。だからこうなっちゃったんだ。どちらにしろダメだったんだよね」

「何のこと言ってるんだよ」

 多分阿呆みたいな顔を浮かべて居るんだろう、きっと。また人の気持ちを理解できなかった。何について苛立っているのだろうか。優柔不断なところだろうか。

「とりあえず。色々話そうか」

 嘆息を大きくつくとミツキは、近くの岩場に腰掛け手招きしてきた。

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