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青春18勇者  作者: 天川 榎
第5章:火山の街 ドンガマク
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第58話~だれか居ますか?~

 ドンガマグに到着したが、一向に街の人間に遭遇しない。

「おかしいな・・・・・・人の気配が全然ない」

 サイジは辺りを見回す。住宅らしきものはあるが、物音一つしない。

「もしかして、噴火があってどこかに逃げちゃったとか?」

「確かにそれはありそうだけど、そうならなんで火山灰とかが積もってないんだ?」

 噴火が起こっていれは噴石や火山灰がそこら中に積もっていてもおかしくないが、そのようなモノは確認できない。しかし街全体は溶岩石によって構成されている為、それが正しい考えかは疑問符が付く。

「建物を溶岩が覆ってこういう街の風景になったとか?」

 ネムが家の外壁を擦ってみるが、本物の外壁らしきモノは現れない。

「噴火が最近起きたわけじゃないみたいだね~」

「ならなんで人が全然居ないの?」

 セレジアが試しに木製の家の扉を一つ開けようとするが、鍵が掛かっているらしく、家の中の様子を窺うことは出来ない。

「ダメね・・・・・・」

 嘆息を漏らすセレジア。どうにかこの意味不明な事態を打開できないか思案する。

 今までの冒険で、何が一番頼りになったか。もちろんパーティの助力が大きなところだが、最初の頃に旅の指針を与えてくれたのはインパラジオ協会だった。そもそもこのセカイに連れてきた張本人だ、ヒントを要求しても罰は当たらないハズだ。

「こういうときは、インパラジオ協会に聞いてみよう」

 セレジアに提案してみるが、反応は芳しくない。

「本当に当てになるの?」

 確かに過去の事例を振り返るとどうしようもない妨害を散々受けて来た気がする。

「いやいや、今度こそは頼りになる、はずだから」

「なにその歯切れの悪い言葉・・・・・・」

 とは言いつつ、手掛かりは全くないのでセレジアは渋々同意し、インパラジオ協会に向かうことにした。


「嘘、でしょ?」

 一行が藁をも掴む思いで尋ねたインパラジオ協会であったが、他の建物と同様にもぬけの殻であった。辛うじて建物の中には入れたが、人の気配は全くない。

「そんな、インパラジオ協会まで・・・・・・」

 サイジが受付のカウンターテーブルを手で軽く触れる。指の先に白い埃がべっとりと付いた。

「人が居なくなって大分経ってるみたいだね」

「インパラジオ協会までこの有様なんて、一体何が起こったの?この街で」

 セレジアはまだ諦めきれないらしく、部屋の隅々まで何か手掛かりになるモノはないかを探し始めた。

「そんなに血眼で探さなくても、何も出てこないよ」

「いや、絶対に何かあるハズ」

 そう宣言し、カウンター裏の書類棚の中を漁ると、ノートのようなものをセレジアは発見した。

「何かしら、これ?」

 試しにノートの中身を覗いてみる。すると、異変は既に1ページ目から起きていた。

「『はやく、にげろ』?」

 ノートの1ページ目には、血文字でそう書かれていた。

 



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