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青春18勇者  作者: 天川 榎
第4章:機械都市 セインテール
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第49話~完璧に無くして~

「これで終わりにしてやる」

 サイジは辺りに居るロボットに、『サンパリーツ』の光の先を当てる。すると、周りを取り囲んでいたロボットたちは何の音も立てず跡形も無く消え去ってしまった。

「なにこれ?」

 ネムは驚嘆し、口をあんぐり開けたまま突っ立っている。ネム以外も、一体何が起きているのか整理が付いていないようだ。

「これだよ、ずっと求めていたんだよ。こんな力をさ!!!」

 サイジは覚醒した『サンパリーツ』を食い入るように眺め、悦に浸っている。しばらく沈黙した後、サイジは再びネムに刃を向ける。

「ねえ、今どんな気持ち?うれしい?それとも、かなしい?」

 かの鳴くような声で話しかける。ネムはその言葉に苦虫を噛んだような表情を浮かべる。その様子をサイジはジイッと見つめ、昂ぶる興奮を抑えきれず恍惚の表情を浮かべる。

「終わりにしよう」

 一瞬にして無表情に戻ったサイジは、ネムの懐に飛び込む。しかし、冷静だったネムに目線を読まれ、瞬時にロボが差し向けられ行く手を阻む。光の刃はジリジリとロボの体を焼き切り、胴体が千切られる寸前にまで達している。

「そこまでして殺したいの?」

 ネムがサイジに対し呼びかける。だがサイジは何も反応を示さない。

「ならこっちも、奥の手があるのよね!!」

 そう言い放つと、ネムはリモコンのボタンを先程とは全く違う順番で押した。すると、屋上が真っ二つに別れ、無数の機械の手が延びてきた。あちらこちらから、サイジの体を捕らえようとモーター音を鳴らしながら迫ってくる。機械の手といっても素材は金属のように光沢があるのだが、触れるとまるでゼリーのように柔らかい。その無数の手がサイジの足を捕らえ、床に引き倒す。

「さーて形勢逆転、どうしちゃおっかな?」

 既に四肢を機械の手に捕らえられ、身動きが取れなくなったサイジ。手足をジタバタさせて呪縛から逃れようとするが、抵抗する動きに合わせ機械の手が力を相殺するため、全くもって行動の意味をなさない。

「どうしよっか?まずは手から分解していこうかな?」

「やめて!これ以上サイジを痛めつけないで!!」

 サイジが捕らえられ蹂躙される姿が見るに堪えなかったのか、セレジアがネムの眼前に飛び出してきた。

「ちょっと!邪魔しないでよ」

 大の字になってネムとサイジの間を遮るセレジア。それに苛立ったネムは再びリモコンに手を掛ける。しかし、その動きをいち早く察知したセレジアは瞬時に剣を抜き、リモコンだけを斬り捨てた。その斬りつけるスピードは凄まじく、目視では到底確認することが出来ない程で、唯一分かったのはその斬りつけた際に出た凄まじい風圧だけであった。

 斬りつけられたリモコンはネムの手から離れ、床に落ちた時にはキレイに真っ二つになっていた。それと同時に機械の手達も動きを止め、元の場所へと帰っていった。

「ありがとう・・・・・・セレジア」

 機械の手から解放されほっと溜息をつくサイジ。セレジアはサイジにそっと手を差し伸べて立ち上がらせる。

「当然でしょ。パーティだもん」

 心なしか顔が赤らんでいるのは気のせいであろうか。

「おやおや?もう終わってしまったのか。つまらないなあ」

 事が終わったのを見計らって入ってきたのは、シャリオットだった。

「つまらないなって・・・・・・それってどういう意味?」

「そのままの意味さ。分からないのかこの低脳が」

 変態紳士たるシャリオットから想像も着かない言葉が吐き出される。

「なんですって?!あなたもパーティの一員でしょ?」

 怒りのボルテージがますます上がっていくセレジア。だがシャリオットの表情は何一つ変わらない。

「違うよセレジア。我が輩のパーティの一員なんだよ、君たちは」



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