第48話~Nothing's Gonna Change~
ミツキを探していたサイジとセレジアは、ついにミツキを探し当てた。
サイジの姿を見たミツキは、膝から崩れ落ち安堵の溜息を漏らした。
「もう・・・・・・遅いよぉ」
時を同じくしてサイジとセレジアが手をつないでいる姿を目にするミツキは、状況の整理が追いつかずしばし沈黙の後口を開いた。
「そ、そうだよね。なか、仲間だもんね、て、手つなぐ位あ、あたりまえだよね。ヘヘ」
その言葉に我に帰ったのか、二人の手は磁石が反発するかのように離れた。
「おや?おやおやおや?お仲間さん?」
事態を静観していたネムが口を開く。
「もしかして、あなたがネム?」
「そのと~り!ご名答!」
それを聞いた瞬間、セレジアの目つきが鋭くなった。
「そう・・・・・・あなたがミツキをさらったのね!」
腰に付けているムチを取り出し、いつでも攻撃が出せるように構える。ネムはそれを見ても一切動じない。むしろ相手がどのように攻撃を仕掛けてくるのか、じっくり見てやろうといわんばかりだ。
「ナメた態度取れるのも今のうちよ」
「大丈夫安心してノープログレム!負けることはあり得ないからね」
ネムはそう宣言すると、手元のリモコンを操作し始める。周りのロボットが一斉に動き始め、三人を次々と襲う。あるロボットはパンチを、そしてあるロボットはミサイルを、さらにあるロボットは剣で戦いを挑んでくる。
「どう?どうどうどう?絶対死ねるでしょ?ねえ?どんな気持ち?今どんな気持ち?」
ネムの甲高い笑い声がロボットの駆動音に掻き消されず、耳を侵略してくる。
「アンタ、こんな事して何が楽しいの?魔法なんて、科学があれば何の価値も無いのに?」
「違うよ!全然違う!科学は全てが論理付けられたいわば空想の余地の無い不毛の大地。それとは違って魔法は、人のイマジネーションを直接具現化出来る画期的な高度文明なんだよ?当たり前に使ってるけど、キミ達にその価値分かる?」
セレジアに剣を持ったロボットが襲いかかる。眼前まで迫った剣の柄をムチで上手く絡め取り、ロボットから剣を奪い去る。
「そう。でもそれを理由に人を傷つけて良い理由にはならないでしょ?!」
セレジアから叫ばれたその言葉を、ネムは鼻で笑う。
「科学は常に人の研究から始まる。科学の発展には尊い実験台は必要不可欠だよ。実際のメカニズム明らかにしないと、使い物にならないでしょ?」
その言葉に遂に我慢ならなくなったのか、サイジがついに『サンパリーツ』を抜き、こう言い放った。
「それが科学というのなら、そんなもの、この世には要らない!!!」
『サンパリーツ』が真白にかがやき、辺りを激しい光で包んだ。




