第47話~Everything in Its Right Place~
シャリオットとセレジアは、檻を脱出しミツキの捜索を始める。
「サイジ、あれで良かったの?」
セレジアはさすがにサイジがいたたまれないと思ったのか、シャリオットに尋ねる。
「なあに、多分ひとりで何とか出来るさ。肩の外し方も教えたし、それに本当の勇者ならこんな危機、楽勝で切り抜けるハズだ」
シャリオットの表情からは、根拠はあるのか分からないが自信に満ちたものを感じた。
「そ、そうね。当然よ、ね」
歯切れの悪い言葉が思わず紡がれる。
「まさか、仲間を信用していないのか?」
「そんなことは・・・・・・ないハズ」
そんなセレジアに対し、シャリオットは彼女の両肩を掴み耳元で囁く。
「大丈夫って、キミが思ってなきゃ。仲間だろ?仲間なら信用してあげなきゃ」
生暖かい息が耳にかかってこそばゆい。
「ちょっと、気持ち悪いんですけど」
「安心して。この空間には2人しか居ないよ」
「それが問題だって言ってるの!」
セレジアはシャリオットが肩を掴んでいる両腕を放そうと押し返すがー鎖や檻を破壊する程の腕力の持ち主だーセレジアの力などあってないようなものだ。か弱い抵抗は何も無かったように打ち消される。
「放してよ!」
「嫌だって言ったら?」
シャリオットの顔が段々近づいてくる。顔に鼻息が掛かって気持ちが悪い。息が出来ない程の苦しさを胸に感じる。
「ちょっと、なにするつもり?」
「何って、分かっている癖に」
シャリオットの唇がまさにセレジアを襲おうとしていたその時。
「待て!!!」
遠くから叫び声が聞こえる。この声には聞き覚えがある。
「サイジ!」
異変を察知したのか、サイジが駆けつけた。
「あれ?鎖はどうしたの?」
あっさりとシャリオットはセレジアから離れる。
「いや・・・・・・嫌な予感がして、急いで勢いでひねってみたら切れた」
「そう」
それだけ言い残し、シャリオットは奥の部屋へと消えた。
「大丈夫だった?」
サイジはセレジアに駆け寄り、手を取る。仄かな暖かみを感じる。
「うん。そっちこそ、よく鎖切ったわね」
「なんだろう・・・・・・火事場の馬鹿力ってやつ?」
「いつもそれぐらい頼り甲斐があれば良いのに」
「うるさい」
二人は清純な微笑みを浮かべ、手をつないだままシャリオットとミツキの陰を追い始めた。




