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青春18勇者  作者: 天川 榎
章間:強くなりたい道半ば
38/75

第38話~努力・友情・勝利的な何か~

「え?突然どうしたの?」

 私の問いかけに呆気に取られた表情を浮かべるセレジア。

「いや、だから、剣術を教えてください」

「あれ?そんなキャラだったっけ?柄にも無い事すると体壊すよ~」

 私の貧弱なボディを見て鼻で嘲笑う。

「・・・・・・から」

 今にも消え入りそうな声で囁く。

「え?何?」

 セレジアが気怠い目つきで私を見つめる。

「セレジアとミツキが、強くなってたからさ、私も強くなりたいって思ったから。ほら、シャリオットの時に、ミツキと組んで技を喰らわせてたでしょ。ああいう風、とはいかないけどに敵を抑え込めるようになりたいなって」

 それを聞いてセレジアは笑いをこらえきれず吹き出す。

「どうしたの?いきなりそんなに真面目になっちゃって」

「だって、このまま使えない『主人公』なら居る意味無いかなって」

「そんなことないよ。アンタには『サンパリーツ』があるじゃない」

 やはりそう言われるのかと身構えていた私は、嘲笑気味に口を開く。

「あの剣は気まぐれなんだ。いつ使えるのかも分からない、博打みたいなモノなんだ」

 そんな私にセレジアは、私の両手を取り、私の眼を見つめて真剣な面持ちで言い放った。

「それならアタシ達がその剣が使えるようになるまで戦うよ」

「なんで?」

「決まってるよ。アタシ達パーティだもん」

 その不意な言葉に、私は心が救われた。今まで独りで戦うことしか考えていなかった私には、青天の霹靂であった。そうだ、得意不得意を補ってこそ『パーティ』だ。

「もちろんアンタがその剣が無きゃ、ものすごく弱いことも知ってる」

 するとセレジアは私の背後に回り、私と共に手を重ね合わせて『サンパリーツ』を握った。

「だから、独りで無理しないでみんなで強くなろう、ね!」

 私に見せたその笑顔は、まるで天使のようだった。


 セレジアに上手く丸め込まれたのかは正直良く分からないが、結果的に剣術を教われることになった。それと併せて、私とセレジア、ミツキと合同で連係プレーの練習も始めた。

「ミツキ、行くよ!」

「まかせて~」

 セレジアの掛け声に、ミツキの間の抜けた応答が聞こえる。模擬戦ということで、相手はシャリオットに務めてもらった。

 まずセレジアがシャリオットに斬りかかる。セレジアはわざとムチを大振りにし、シャリオットが攻撃を避けやすくする。丁度避けようと体重移動している際に、私が攻撃を加える。

 バランスを崩したシャリオットに、ミツキの魔法が直撃する。動きが鈍れば、それだけ魔法攻撃が当たる確率が高くなるのだ。

「はふぃ!!!!!!!!!!!!!」

 シャリオットがミツキの魔法を喰らい、絶頂に達している。

「よしっ!上手くいった」

 セレジアは白い歯を見せ、ガッツポーズを決めた。

「サイジも剣に慣れてきたんじゃない?」

「セレジアの御陰だよ。ありがとう」

「そんな真正面から感謝されるなんて・・・・・・照れるな・・・・・・」

「なにイチャついてるんですかぁ~」

 その光景を見て、ミツキが私に飛びついてきた。

「あっ!!隙あらばサイジといちゃつくんだから!人のこと言えないでしょ」

「あらぁ~?嫉妬ですかぁ?」

「うるさい!黙れ!!」

 セレジアが激高し、ムチを取り出し始めた。

 それを見たのかは分からないが、絶頂から戻ってきたシャリオットが体を起こし、こう言い放った。

「そのムチはミツキでは無く我が輩にお願いします。罵倒されながらのムチは最高に気持ちが良いので」

 セレジアは満面の笑みを浮かべ、シャリオットが気絶するまでムチを喰らわせ続けた。

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