第34話~変態と遊ぼう~
シャリオットはあえなく電撃の虜となり、我々三人の後を追うストーカーと化した。
「ちょっと、付いてこないでくれる?」
セレジアがムチを取り出す。
「ハヒィ・・・・・・いつでもどうぞ」
シャリオットは瞬時に四つん這いになる。
「気持ち悪いからどっか行ってよ」
「ありがとうございますもう一度その言葉お願いしても良いですか?」
シャリオットに笑顔で迫られる。セレジアがまるで汚物を見たかのような表情を浮かべる。
「ホントに勘弁してよ!」
我慢できなくなったセレジアはムチを反射的に取り出し、シャリオットの尻に叩き付ける。
「ハヒュウゥゥゥゥッゥゥ!!!」
「あっ」
後悔の念がセレジアの口から漏れ出す。
「もっとくださいお嬢様ぁあああああ!!!!」
シャリオットは更に勢いづき、セレジアの膝に擦り寄ってくる。
その光景に見かねたミツキは、例のラップ魔法でシャリオットの身動きを封じようと試みる。
しかし、先ほどはうまくいっていた魔法であったが、精細さに欠け、あろう事かセレジアとシャリオットを二人丸ごとくるんでしまったのである。
「あわわ、ご、ごめんなさい!!」
ミツキが慌てふためいている。
「ちょっと!何考えてるのミツキ!」
「わ、ワザとじゃ、ないんだよ?」
動揺しているミツキは只闇雲にステッキを振るだけだ。
「ハァ、ハァ、グッドスメルだお嬢さん。もっと近くで嗅がせておくれぇ」
シャリオットがセレジアの脇に鼻を摺り寄せてくる。
「いい加減にして・・・・・・ひゃっ!」
シャリオットの鼻息が腋をくすぐる。意図せず官能的な溜息が漏れる。
それを見かねた私は、持っている『サンパリーツ』を抜こうとするが、ミツキに制止される。
「だめですぅ!セレジアさん!これはアタシがなんとかします」
元はといえばミツキの魔法だ。解除方法も当然知っているのだろう。
魔道書から必死で解除魔法を調べ、呪文を唱える。すると、セレジアとシャリオットを覆っていた膜が溶けて無くなった。
セレジアは膜が無くなると即座にシャリオットと距離を取る。
「我が輩が華麗な紳士だからって、謙遜しなくて良いんですよ」
シャリオットの柔らかな眼光がセレジアに向けられる。
「いや、そういうのではないので。近寄らないでもらえますか?」
「全く・・・・・・照れ屋さんですね」
シャリオットは股間を弄りおもむろに出したバラをセレジアに差し出した。
「そんな汚い花要らないわよ!」
ムチでシャリオットごと成敗した。
そんな気持ち悪い応酬をしている間に、段々辺りに悪臭が漂うようになってきた。
「なんか臭くない」
臭いに感づいたセレジアは咄嗟に鼻をつまむ。
「そうですか~?ラフレシアでも咲いてるんじゃ無いですかぁ?」
といいつつポシェットからガスマスクを取り出し装着するミツキ。
「一体どこから臭ってるんだ?」
臭いがより強い方向へ私は足を運ぶ。もしかすると、相手側の村長がその臭いの元凶かも知れない。こちら側の村長もとてつもない悪臭を放っていたことは記憶に新しい。相手もその可能性であることは十分に考えられる。
歩を進めるたびに鼻を焦がすような強烈な臭いが襲いかかる。
「これ以上は、無理だ・・・・・・」
あまりの悪臭に、遂に私は気を失ってしまった。