第33話~ふたりとひとり~
「必殺スメルロマンス!!」
シャリオットが突然目の前から姿を消した。
「どこにいるんだ?」
「こちらですよ、お嬢さん」
セレジアの呼びかけに、シャリオットは顔面に股間を近づけて応えた。
「ヒィィィィィィィィ!!!」
思わずセレジアは腰を抜かしてしまった。
「ほらほら、どうしたんですか?お楽しみはこれからですよ?」
セレジアにシャリオットは手を差し伸べる。
「ちょっと!!これ以上近づかないで!!!」
「口がそう告げていても、貴女の体はそうとは言っていませんよ」
そうシャリオットが呟いた通り、セレジアの体が意思に反してシャリオットの方へ導かれる。
「え?何これ?」
「我が輩のボディの虜になってしまったのかな?良いんだよ、体の求めることに素直になっても」
体を這いずらせ、セレジアは腰を8の字に回すシャリオットの方へ引き寄せられていく。
「ダメっ・・・・・・ダメだと思っても、か、体が」
「ちょっと!そんなへんたいに惑わされちゃだめですぅ~」
ミツキはステッキを振り回し、セレジアの変態の呪縛から解き放とうとする。
「恋の魔法はすぐには解けませんよ」
シャリオットがミツキに向かってウインクをする。しかし、ミツキはそれを受けても微動だにしない。
「な、なんだと?」
「そんなことしても、女の子はおとせないよ!」
ミツキがセレジアに駆け寄り、体に触れる。すると、セレジアに掛けられていた変態の呪縛は一瞬で解かれた。
「そんな馬鹿な!!」
「これ以上、お前の好きにはさせない」
セレジアは押さえきれない憤りをムチに込め、低い姿勢で構える。
「ホウ、SMプレイをご所望かな?」
「SMプレイよりもっとキツいかもよ」
セレジアはミツキに目配せをする。その視線に微笑みミツキは体を宙に少し浮かせ、シャリオットの背後に回る。
「くらえ!ヘンタイ!」
ミツキが呪文を唱え杖を振ると、杖の先が太陽のように光り、シャリオットを見えない膜で包み込んだ。
「なんだこれは!?窒息プレイか?」
シャリオットの体に合わせピッタリと覆った膜は、身動きの自由を奪い、呼吸ですらも満足に行えないものであった。
「いつの間にそんな魔法を・・・・・・」
「毎晩練習した成果だよ」
セレジアが親指を立ててうれしそうに笑う。
「なら、こっちだって!」
私は『サンパリーツ』を抜き、気合いを溜める。
「ちょっと、何するつもり?」
「え?何って、シャリオットにトドメを刺そうと思って」
「大丈夫。アンタの出る幕なんて、もう無いわ。アタシ達でなんとか出来るもの」
セレジアは、剣を抜こうとする私を制止し、ムチを空高くまで振り上げた。
「喰らえ変態!サンダーウィップ!!!」
そう叫ぶと、ミツキがセレジアのムチに雷の魔法を掛けた。そのムチをシャリオットに振り下ろす。
「ギュアムロオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
シャリオットは電撃を含んだムチに悶え苦しみ、絶頂を迎える。
「叫び声もおぞましい・・・・・・」
セレジアは後ずさりを始め、その場を立ち去った。
「まったくこれだから、へんたいさんは」
ミツキはシャリオットに張った膜を取り除く。シャリオットはとても幸せな顔を浮かべ、気絶していた。
「もう、いらないかもな」
私が居なくとも、戦闘で勝てるようになっている。セレジアとミツキだけで立派に戦闘をこなせるようになっている。二人は日々技を磨いていたのだ。
私は一体、今まで何をしていたのだ?『サンパリーツ』を手にして、調子に乗っていたんじゃないのか?もうこれさえあれば、敵を倒すのなんて余裕!なんて思ってたんじゃないか?
本当に、勇者になれたのか?