第31話~それぞれの作戦~
一方、マンキニ軍勢は一体何をしているのかというと・・・・・
戦況の悪化を伝えに、本陣に兵士が駆けつけた。
「大変です!我が軍の半数がマンキニを失ってしまいました!!!」
「なんと!」
ゴールデンマンキニに身を包んだ敵の村長が、身を乗り出して兵士に近づく。
「どうしましょう、もうマンキニ隊では対抗する手段がないかと」
「うむ・・・・・・やむを得ん、最終手段じゃ」
「最終手段、ですか?」
「わしらの勇者を使うのじゃよ。呼んで参れ」
「ハッ!」
兵士は命令を受けると同時に、部屋の奥へと消えていった。
「やつらめ、今に見ておれ」
ゴールデン村長は股間をまさぐりながら悪態をついた。
所変わって、ブーメランパンツ軍勢はあまりの圧勝ぶりに、既に宴を始めていた。私たちも、村長のお招きに預かり、宴に参加することとなった。
「もう私たち要らないんじゃないんですか、この有様じゃ」
私は村長の面前で、鳥の肉を貪りながら言ってのける。
「こら、村長の前ではしたない」
セレジアは、私の鳥の肉を持っている手を叩く。
「いや、これ結構いけるよ、ほら」
「ちょっと食べかけをアタシに押しつけないでよ!」
私から鳥の肉の試食を勧めるが、見事に手をはね除けられ、拒否される。まあ、歯形のハッキリ残った唾液たっぷりの鳥の肉なんて食べたくないよな、普通。
「ほっほっほ、げんきよのお」
村長は、椰子の実を手刀で割り、中の汁をすする。
「うわあ、すごいですね村長。昔なにかやられてたんですか?」
「そうじゃな、昔は武術を少々・・・・・・」
「本当ですか?是非私にもご教授願えませんか?」
「いやあ、人に教える程のものでもないのでな」
「いやいや、またまたご冗談を」
みかねたセレジアが遂に口を出した。
「もう二人ともいい加減にしなさい!!話が一向に進まないでしょ」
「「ごめんなさい」」
ようやく話が止まり、次の作戦についての話題に切り替わった。
「次は、君たちが直接敵の本拠地に攻め入って欲しいのじゃ」
「え?あの武器群があれば、私たちが出る幕はないんじゃ」
「いや、実は奴らも勇者を雇っている話があってな、そやつには武器が効かんというのじゃ」
「何ですって?!アタシ達も武器使ってるから、力になれないですよ」
「何を言っておる?君たちには『魔法』があるでおろう」
私とセレジアは、目を合わせ、ミツキに視線を向ける。ミツキは全く話しを聞かず、ドングリの丸焼きを懲りずにかぶりついている。
「こらミツキ!聞いてんの?」
「ん?何の話?」
「やっぱり聞いてなかった・・・・・・今回、アンタが作戦の主役になるかもしれないっていってるの!」
「え、ほんと?!やったー!!遂にミツキが主役だ~わ~い」
ミツキはその場で飛び跳ね、両手を挙げて喜んでいる。
「本当にこんな感じの子ですが、大丈夫なんでしょうか?」
「問題ないじゃろ。腕は確かじゃ、きっと」
「なんたるアバウト・・・・・・」
結局、ミツキを前面に出して相手の本拠地に攻め入る事以外何も決まらず、作戦決行となった。全く作戦とは言えないんですが。