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青春18勇者  作者: 天川 榎
第3章:魅惑の森 ジャモリスカ
29/75

第29話~ジャングルの覇者~

 何とか場は落ち着いたが、余りにも悲惨な状態になったので、ドラゴン退治で得た金の一部で、インパラジオ協会の受付の改修費を出すことにし、その日は部屋に帰った。


 翌朝、私たち三人はドアのノックの音で目が覚めた。

「大変だ!大変だ!」

 ドアの外から野太い声の音が、ドアを揺さぶる振動と共に伝わり、体を眠りから覚まさせた。

「なんだよ朝から騒々しい」

 私は寝ぼけ眼を擦りながらベットから体を起こし、ヨタヨタ歩きでドアまで歩き、開いた。すると、待ってましたとばかりにドアを強引に押し開け、部屋に入ってきた。私はその反動で床に押し倒された。

「いってぇ」

「すいません」

「朝から何の用?」

「奴らが、・・・・・・奴らが攻めてきた」

「奴ら?」

「マ、マンキニ族だよ!こっちの村に奇襲を仕掛けてきやがったんだ!!!」

「今、奴らはどこに居るんだ?」

「ちょうど村の門で足止めしてる。早く助けてくれ!このままじゃ持たない」

「分かった。40秒で支度するから、建物の前で待ってろ」

「うっす」

 村の若者はおとなしく部屋から出て行った。

「ちょっと、朝からなんなの」

 セレジアがようやく目を覚ました。布団からこっそり顔を出してこちらの様子を窺っている。

「なんかマンキニ族が攻めてきたってさ」

「え?それホント?」

 訝かしげな目でセレジアは私を見つめてくる。

「ホント、のはず」

「はず、って何よ」

「いや、村の住人が突然入ってきて、そいつからの又聞きだからさ」

 その言葉に嘆息し、舌打ちする。

「分かったわ、とりあえず外の様子を見に行きましょ」

 セレジアは気怠そうに上体を起こし、外に出る支度を始めた。ミツキは相変わらずこんな状況なのに、まだ夢の中だ。

 見かねたセレジアは、ミツキの布団を引っぺがし、頬を往復ビンタし始めた。

「いつまで寝てるのミツキ!いつもいつもこういうときにアンタはもう・・・・・・」

「にゃ、にゃんにゃー」

 ミツキは招きネコのポーズを取り、寝ぼけているのかネコの振りをしている。

「ネコの振りしてもダメ!早く起きなさい!」

「なんか、セレジアってお母さんみたいだな」

「うるさい!」

「にゃー」

 今度はミツキはセレジアに抱きつこうとしてきた。セレジアはミツキの頭を手で押さえつけ、近づかないよう必死に制止させようとしている。

「いい加減にしなさい!!!」

「いいじゃないかにゃー」

 それに乗じて私もネコになってセレジアに近づく。

「そうにゃーわるくないにゃー」

「アンタ、一体なにしてるの?」

「別になにもしてないにゃー」

 セレジアに問答無用でムチを打たれた。ミツキも同様に、清々しいまでの破裂音と共に最高の目覚めをお届けした。


 朝っぱらからボケ倒した後、建物を出て、村の若者と共に前線基地に移動した。既に、門の前におびただしい数のマンキニ族が押し寄せていた。

「ホントに居たんだ、マンキニ族・・・・・・」

「わしが嘘をつくとでもおもったかい?」

 村長が私にそっと語りかける。歯茎が腐っているのか、とても息がくさい。

「はは、そ、そうですよね、村長であらせられる方が嘘をつくハズがないですよねグボッ」

 臭いに耐えられなくなり、むせてしまった。

「だいじょうぶですかな?」

 村長は善意からか私に手を差し伸べてくる。

「だ、だいじょブブゲボッ」

 先ほどからの様子を見かねたセレジアが私に近づいてくる。当然村長の息が届く範囲に入る事になる。

「ホントに大丈夫?・・・・・・って臭っ!!!」

 やはり我慢ならず、叫びを上げてしまった。

「おや?すまぬ、夕べはフライドオニオンだったのでな」

「多分そういう問題じゃないと思います」

 すかさず私がツッコミを入れる。

「とりあえず、本題を話しましょう」

 現在の状況としては、マンキニ族が門の前まで押し寄せてきている。勢力はばらけておらず、1カ所にまとまっており、軍勢はおよそ200人。

 武器は弓と投石、そして槍。聞くからに、練度が低くあまり命中確率は高くないようだ。

 相手のボスの名前は、ドン・マンキニ。黄金のマンキニを穿いているという。

 一方、こちらの軍勢は500人。武器も銃に剣、大砲など、近代兵器が揃い踏みだ。

「ならこちらが勝つのは火を見るより明らかじゃないですか」

「いや、アイツらには秘策があるのじゃ」

 そう、奴らにはとっておきの秘密兵器がある。それは・・・・・・

「脱ぎたてのマンキニじゃ」

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