第27話~ガトリング受付嬢~
二人に連れ出された果てに着いた先は、勇者案内所であった。
「いかがしました?」
出迎えてくれたのは、例によって幼女だった。
「もう騙されないぜ」
私はハッキリと覚えていた。インパラジオ協会と幼女がセットになった瞬間、幼女は老婆に化学変化することを。そして、とても痛い目に遭うことも。
「どうしたの?」
セレジアが、いきなり及び腰になった私に振り向き、手を取る。
「いや、あの・・・・・・前、ほら、痛い目に遭ったからさ、か、体が竦むんだよね」
「何言ってるの?目の前に居るのは只の可愛い受付嬢だよ!ほら、しっかりして!」
私の後ろに回り込み、セレジアは私の尻に思いっきりムチを入れた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「これで落ち着いた?いくら人が嫌いだからって、小さい子にまでビビってたら、生きていけないわよ」
セレジアが僕の正面に仁王立ちし、ドヤ顔で睨み付けられる。
「だめだめだめ、ムチで叩かれても無理なモノは無理」
体に刻み込まれた痛みが全力で私の動きを止める。
「まだ駄々こねるつもり?」
もう我慢ならないと、セレジアが二発目のムチを構えていると、突如として幼女が警報音を口で叫び始めた。
『警告。警告。受付前で暴動発生。直ちに沈静フェーズに移行します』
幼女はそう告げると、右腕をガトリング銃に変形させ、私たちに銃口を向けた。
「いやいやいや、それはさすがにシャレにならないから!!」
私とセレジアは一目散に逃げ出した。しかし、ミツキは何故かその場に留まり、ステッキを構え始めた。
「おい!なにやってんだよ!撃ち殺されるぞ!」
するとミツキは微笑し、こう言ってのけた。
「大丈夫。まかせて」
そのままミツキは詠唱をし、光をステッキの先に集中させた。やがて目が潰れんばかりの光を凝集させ、それを受付ロボットに向けて一振りした。
杖から光が離れ、一直線に受け付けロボットに突き刺さり、その刹那、耳の中をかき回すような轟音と共に爆発した。
「どう?すごいでしょ?」
「いや、ドヤ顔で言われても、辺り全部燃えてるし」
案内ロボットの辺りは、燃えた破片が飛び散り、延焼してしまっている。
「ぎゃあああああ!!」
「早く水の魔法で何とかできないの?」
「えーと、えーと・・・・・・水の魔法、呪文・・・・・・」
ミツキは魔法書を取り出そうとしたが、手元が狂ってポケットからこぼれ落ちてしまった。その場所が運の悪いことに延焼していた場所に落としてしまったために、あっという間に魔法書は燃えてしまった。
「おいおいおい」
私は降り注ぐ火の粉を必死に払いのける。
「もうおしまいだぁ」
ミツキはその場にへたり込んでしまった。
「ていうか、折角話を聞きに来たのに破壊してどうすんの!!」
セレジアが声高らかに叫ぶ。




