表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春18勇者  作者: 天川 榎
第3章:魅惑の森 ジャモリスカ
26/75

第26話~疑問は尽きないボスの件~

 村長の譲位宣言に呆気に取られた一同は興奮冷めやらぬ中、従者にインパラジオ協会が取り仕切る宿屋を紹介され、そこで一泊することとなった。

 ジャングルの中の宿なので、てっきり葉っぱと木の枝で出来た、原始的な宿なんだろうなと勝手に妄想していたが、ここは例外のようで、都会にあるような洋風のホテル仕様になっている。これはこれで周辺から浮いているので困る。


 宿の部屋にたどり着き、今までの緊張が解け、私から会話の口火を切った。

「やばいよ、勢いだけで言っちゃったよ」

 私は、ふと考えた。戦いに勝利すれば村長の座を戴くことは確約できた。しかし、その村長は誰がやるのだ?私がやるのか?いやいやいや、無理だろこんな引きこもりに政治とかそういうのは無理だから!第一ろくにコミュニケーション取れないのに生きている事すら奇跡みたいな私に、そんな大役は無理だろ絶対!

「アンタ、本当に村長やるつもりなの?」

「いや・・・・・・やれないでしょ」

 セレジアが嘲笑する。

「ならあたしがやるぅ!」

 ミツキが勢いよく右手を挙げる。

「いや、それは無いわ」

 セレジアはミツキの手を無理矢理下げさせる。

「どうしようか、ほんと。これから旅も続くし、ここに留まるわけにはいかないし」

 私は頭を掻きむしり、地にひれ伏す。

「ならいっそ、村長にそのまま続けてもらうってのは?」

 セレジアが切り出す。

「まあ、それも考えたんだけど、それって『ボスを倒した』ってことにはならないんじゃないかな、と思って」

「確かに、『ボスを倒す』っていう定義からは、もしかしたら外れるかもしれないわね」

「参ったな・・・・・・こんなケースが存在するなんて、聞いてないよ」

 その言葉に手がかりを得たのか、セレジアの表情が明るくなる。

「そうよ、聞いてみればいいのよ。インパラジオ協会に!」

「ああ、そういえば」

 すっかり忘れていた、勇者(自称)には頼れる存在、インパラジオ協会。ここなら魔王攻略についてなら、情報を把握しているハズだ。

「もう待ってられないよ!聞きにいこう!」

 セレジアが私の手を取り、部屋から引きずり出そうとする。

「いてててて!引っ張るなって!!」

「アンタがダラダラしてるからでしょ」

 肩の辺りに痛みが蓄積する。右腕が引き千切れそうな感覚に苛まれる。

「わたしもいっしょにひっぱりますぅ!!」

 ミツキがセレジア側に加勢し、さらに痛みが増す。

「分かった分かった。分かったから、行こう、一緒に」

 正直人に尋ねることが苦手である私は、あまり乗る気では無かったが、二人に半ば強制的に部屋から引きずり出され、インパラジオ協会の窓口に強制連行されることとなった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ