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27 10の国々に起きる災厄

 永遠の闇の中に、後悔をしている人間の魂が光る悪しき心を映す世界だった。




 魔王城に、再び暗黒騎士が集められた。




 13人いた暗黒騎士は、英雄と魔女により、

 3人が魔王アスモデウスの呪いを脱し、その数は10人になっていた。




 ところが、魔王は自信満々で言った。




「英雄でアーサーと真実に至る魔女を継ぐクラリスのおかげで、私は3人の暗黒騎士を失った。しかし、その間もおまえ達の強大な力で私の勢力は拡大を続け、多くの人間が私の支配下にある。」




 魔王が手を差し出すと、そこには球体の映像が映しだされた。


「見せよ! 」




 魔王の言葉ともに、その球体は世界のさまざまな場所の様子を映し出し始めた。




「見るがよい。持てる者はさらにむしり取ることを考えている。全く他人のことを考えない人間がなんと多いことか。天秤は傾いた。悪しき心が美しき心を壊滅させる―― 」




 10人の暗黒騎士全員から大きな拍手が起きた。








 クラリスは、父親のヘルムート公爵の城の中にある丸太小屋に戻っていた。


 ある夜、彼女はたくさんの悪夢を見てうなされながら眠っていた。


 


 そして、あまりの悪夢の連続に耐えきれず、彼女は目をさませ、美しき青き瞳の魔眼を開けた。




「お嬢様。だいぶうなされていらっしゃいましたね。たくさん見られたのですね。」


 侍女のメイはいつもほとんど眠らず、クラリスの警護をしていたのだった。




「メイ。私は世界の大災厄の始まりを全て見てしまいました。正確に言うと予知無です。それは10の国で始まるでしょう。」




「お嬢様。戦われるのですね。」




「はい。それが『真実に至る至る魔女』を継ぐ私の宿命です。そして英雄になるアーサー王子様の宿命でもあります。このままで10の国の人々が全て魔族になってしまいます。」




「王子様にお話に行かれますか。」




「明日すぐに、アーサー王子様にお会いします。」








 アーサーは毎日誰よりも早く起床し領主の館を抜け出し、馬を走らせて広い州都ハイデの様子を確認するのが日課だった。




 今日はなぜか引きつけられるように、門から外に出た。




 すると、遠方に見えていたランカスター公爵領と境の峠を越えて、白い飛行物体がぐんぐん近づいてくるのがわかった。




 それは、胸が白い巨大なムナジロカラスでその上にはクラリスが乗っていた。




 やがて、アーサーのすぐ手前にゆっくりと降りてきた。




 ムナジロガラスからクラリスは降りて、アーサーに挨拶した。




「アーサー王子様。こんな朝早くから馬を走らせているのですか。」




「はい。私が通ると住民達が気を使わなければならなくなりますので、人通りが少ない朝、ハイデの中の様子を確認しています。ほんとうは、みなさんが動いている日中の様子も知りたいのですが。」




「良い御領主様なのですね。ところで、今日はアーサー王子様にお会いするために参りました。お話があります。」




「なんで、こんな早い時間なのか。王子様は疑問をおもちですよね。」


 すらっとした美しい人間の姿になったメイが、アーサーの気持ちを代弁した。




「メイ。余分なことを言わないでください。」




「お嬢様は心配なのですよ。昨夜からの引き続きで、王子様が誰かとベッドで寝ていないか。王子様がお一人で眠っていらっしゃるのかと。」




「メイ。それ以上は言わないでください。」




「私は夜遅くまで、ふらふらになるまで書物を勉強していますので、疲れ切って眠ってしまします。ですから、それから誰かのお相手をするようなことは絶対ありません。」




「わかりました。もういいです。――ところで、大切な本題がすっかりそれてしまいました。今日は英雄になるアーサー王子様に、真実に至る魔女を継ぐ者としてお願いがあって参りました。」




「どのようなことでしょうか。いや、聞くまでもなく答えはイエスです。」




「ありがとうごさいます。でも、重大な事情があるので説明させていただいてから、もう1回お聞きします。」




「私が美しき心を映す世界の守護者であることは御存知だと思います。守護者として、反対の世界である悪しき心を映す世界とのバランスは常に正確に感じます。」




「クラリスさんの大変なお役目ですね。そのような重い役目を背負われているクラリスさんのことを私は心の底から尊敬しています。」




「昨日、私は悪夢を繰り返し見ました。その内容はとても恐ろしいことに10の国々に大きい災厄が


起され、それらの人々は完全に悪しき心に支配されます。」




「悪しき心に支配された人々はどうなるのでしょうか。」




「人間らしい美しき心を完全に捨ててしまいます。結論から言うと魔族になってしまいます。」




「えっ!!! 人間が魔族になってしまうのですか!!! 」




「そのとおりです。何もしなければこの世界の人間のほとんどが魔族になってしまいます。既に天秤が悪しき心を映す世界に傾いているのです。」




「『何もしなければ』ということは、抗う方法があるのですね。」




「はい。たった1つだけ、災厄を退ける方法があります。それは、英雄になる者が真実に至る魔女を継ぐ者と協力して、10の国々それぞれを救うのです。」




「わかりました。ここにその2人がいるわけですね。この世界の人々のために私は全力を尽くします。」




「ところで、これまでもこの人間の世界のため、英雄になる者と真実に至る魔女を継ぐ者が協力して大災厄に立ち向かったのでしょうか。」




「長い長い人間の歴史の中で、何回も立ち向かい大災厄を退けてきました。」




「あの―― 大災厄を退けた後、過去の何組もの2人はどうなったのでしょうか。」




「どうなったとは? 」




「結ばれて結婚した2人はいるのですよね。」




「はい。全組、結婚したそうです。」


(アーサー王子様、うそかも知れませんがお許しくださいね。)

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