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24 暗黒魔術師キリヤ2

 アーサーは、ある家の前で立ちすくんでいた死霊に近づいた。


 なぜか彼にはやるべきことがわかった。




 死霊の前に出て、扉の前で家の中に向かって大きな声で告げた。




「すいません。領主のアーサーです。みなさんが御無事なことを確認させてください。」




 死霊が、彼のすぐ後ろに体をかくしたことを気配で感じた。




 扉が開いた。


 中から、若い善良そうな夫婦が出たきた。




「領主様、私達は大丈夫です。御自ら御確認いただきありがとうございます。」


 夫が答えた。




 その時、小さな子供が母親の足の後ろに隠れて、こちらを見ていることにアーサーは気がついた。


 かわいらしい男の子だった。




 その子はアーサーを見るのではなく、アーサーの後ろが気になっているようだった。




 そして何かに気がつき、それが誰だかわかったようで微笑んだ。




 最高にかわいらしい笑顔だった。




「あの、立ち入ったことを聞きますけど、他の御家族はいないのですか。」


 アーサーの質問に母親が答えた。




「今は家族3人ですけど、半年前までは私の母親が同居していました。母親はこの子をとてもかわいがって、毎日この子の笑顔が耐えませんでした。しかし、急な病で亡くなってしまいました。」




 小さな男の子は、もう完全に体を前に出してアーサーの後ろの存在を笑顔で見ていた。




 全てわかった。




「ありがとうございました。これからも注意して、扉を死霊がたたいても絶対に開けないでください。」




 その家の扉が閉められたとともに、アーサーは後ろを振り返った。




 死霊と目があったが、死霊はアーサーに丁寧なおじぎをした後、たくさんのきれいな光りの玉に変わり空に上がって消えていった。








 暗黒騎士のキリヤは、自分の魔術で縛っている全ての死霊と感覚がつながっていた。


 そして、気がついた。




「いた―― 英雄だ。」


 ところが、次の瞬間、その死霊との感覚は完全に切断された。




「感覚が切れた。いや違う、この世に残した未練が亡くなり昇天したのだ。英雄はどんな力を使ったのか。まあいい、英雄は今たった一人で外にいる。全死霊を使い攻撃しよう。」




 そして、死霊達に強制的に命令した。




「おまえ達と違い、光り輝く生者あり。その者を呪うのだ。今からその者に近づき、自分が持っている呪いを全て投げて殺すのだ。」




 死霊といえども、呪いを投げると何倍の呪いが自分に返って、永遠に苦しまなければならなくなるが、冷酷なキリヤは全く気にしなかった。








 アーサーはクラリス達が宿泊している家に向かって、州都ハイデの大通りを歩いていた。




 すると、異常な気配を感じた。


「あっ!!! 」




 信じられないスピードであちこちから死霊が現われ、アーサーを取り囲んでいた。




 そしてたくさんの死霊達は無気味な色に輝き始め、その光りがアーサーに向かって放射された。




 無気味な色の光りがアーサーに届こうとした瞬間、彼の体が緑色に光った防壁でおおわれた。


 クラリスが彼に渡した呪符の魔術が発動したのだった。




 そして、その緑色の光りはだんだん大きくなり、アーサーを取り囲んでいた死霊達にも届いた。




 すると、死霊達が輝いていた無気味な色は消え、死霊達は同じ方向に向かって歩き始めた。




 ハイデの外の墓場に帰ろうとし始めた。








 ちょうどその頃、丘に立ち州都ハイデを見渡していた暗黒騎士キリヤは背後にとても強い視線を感じ、その視線がビームのように背中に痛みを感じさせた。




「いたたたた! 誰だ! 」




 キリヤが後ろを振り向くと、魔女が立っていた。


 その後ろには背の高い侍女も控えているようだった。




「死んでからも苦しんでいる人々の魂をもて遊ぶなんて、ひどいことをしますね。」




 夜の闇の中でも輝く黒い髪に美しい青い瞳、その魔眼は強い光を放っていた。




「どこの魔女かは知らないが、お互いに魔術を信奉しんぽうするという意味では同じ仲間。私が今行っていることを邪魔しないでいただきたい。」




「あなたのような魔術師の行うことを邪魔しなければ、いつ邪魔する必要あるのですか。魔術を汚す最低な魔術師ですね。」




「言い方に気をつけてもらいたい。私の魔術は長い間の努力の末、苦しんで身につけたものだ。そして私は決めたのだ。私の魔術は自分のやりたいことのために、冷酷に使うのだ。」




「そうですか。なら、私とは正反対ですね。魔術は自分のためではなく、他人の、他のものの幸せを守るために使うものです。」




「もう議論は無用だな。黙ってもらおう。私の魔術は強いから、永遠に黙ることになるかもしれないが。禁呪、この世で作られた最大の呪い、行け、そして永遠にあの者に留まれ。」




 暗黒騎士キリヤはクリスタに向かって、右腕を突き出した。




 すると、右腕からは多くの影が飛び出し、クリスタに向かって放射された。


 影には顔が現われ、苦しそうにもだえていた。




 それを見た瞬間、クリスタの青い瞳の魔眼は一瞬、強力に光った。




 その光りは自分に向かっていた多くの強力な呪いに届き、呪いの根源をあばき解呪した。




 その結果、多くの強力な呪いは存在意義を無くし消滅した。




「何をした! 」




「何をしたって――私にできることをしただけですよ。多くの強力な呪いの存在を消すことができました。心から感謝申し上げます。」




「おまえは何者だ! 」




「魔王アスモデウスは教えてくれなかったのですか。私は魔女の女王クリスタの娘。真実に至る魔女を継ぐ者クラリスです。美しき心を映す世界の守護者でもあります。」 

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