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19 傲慢のブルクハルト

 クラリスとララは亜空間を抜けて、特別な時間と空間にある魔女の国の門の前に着いた。


 門には顔が浮かんでおり、クラリスが来たことにすぐに気がつき質問してきた。




「偉大なる『真実に至る魔女』の娘、今日は何の用だ。あなたは魔女の国には入れない。偉大なる『真実に至る魔女の』が作られた掟おきてからな。おや、もう1人は魔女ではないな。」




「魔女の国の入口を守る強き門よ。この娘は、英雄アーサーと私クラリスに運命が交差するララ。不運に陥った時を魔王アスモデウスにつけ込まれ、暗黒騎士にされました。」




「それでは美しき心を映す世界を守る『真実に至る魔女』の敵ではないか。」




「彼女は暗黒騎士にはされましたが、悪しき心には完全に支配されていません。美しき心が残っています。『真実に至る魔女』にお願いし、彼女にかけられた呪いを解いていただきたいのですが…… 」




「わかった。しばし待たれよ、『真実に至る魔女』に聞いてみる。」




 そう言うと、門は目を閉じ交信しているようだった。


 やがて、それが終わったようで門はクラリスに告げた。




「『真実に至る魔女』からお許しが出た。暗黒騎士の娘に魔女の国に入ることを許す。その娘を門の前に1人で残し、クラリスはすぐにここから立ち去るようにということだ。」




「母様はこのような時でも私と会ってくれないのね。仕方がないわ。ララ、ここで待っていてね。私は立ち去るから。」




「姉様。ありがとうございます。ご恩は一生忘れません。」




「いえいえ、気にしないでください。あなたは苦しんでいた。私はそういう人を助けることができて、とてもうれしいのです。」








 悪しき心を映す世界は暗闇に包まれていたが、魔王城のバルコニーから見ると小さな光りのようなものがあちこちにあり、完全な暗闇ではなかった。




「人間の魂がたくさん流れ込んでいる。死して生前の悪しき心に支配された人間。もう考えることもなく、ただこの悪しき心を映す世界の光りになるだけか。」




 魔王アスモデウスが人間を哀れむように言った。


 その瞬間、魔王は気がついた。




「ララの心と触れることができなくなった。どうやら、私の呪いを解いた者がいるな。そんなことができるのは『真実に至る魔女』だけだが。」




 魔王のそばに暗黒騎士の2つの影が現われた。




「おまえ達か。美しき心を映す世界とは、やはり正攻法で戦いしかないようだ。おまえ達の力であれば、まだ覚醒していない英雄と戦っても勝てるぞ。」




 2つの影のうち、1つが言った。


「御意。殺してしまってもよいと。」




「そうだ。」




 もう一つの影が言った。


「その方が簡単ですから。」








 アーサーはゴガン州の州都ハイデに戻った。


 ある日、アーサーは相談役のショウに聞いた。


 


「ショウ。城塞都市として、このハイデの復旧工事に取りかからなけなりません。でも、住民達に労役を課したくないのです。どうすればよいのでしょうか。」




「王子様。統治する者は、統治される者からさまざまなものを徴収しなければなりません。そうしなければ全体の幸せを守ることはできないのです。労役を求めるのも仕方がないのです。」




「そうですか。しかし。ただでさえ生活が苦しいハイデの住民達が、労役に時間を使わなければならなくなると、働く時間を削りさらに生活を苦しくさせてしまいます。」




「確かにそうですね。それならば、もうすぐ着任する第3国軍1万人に対して王子様が号令を出し、復旧工事にたずさわせるしかありません。」




「誇り高き国軍の騎士や兵士に、戦うのではなく工事を行えと言わなければならないのですか。それもまた、厳しいことになりそうですね。今日はここまでにしましょう。また議論につき合ってください。」




「はい。王子様、あなたが幼い頃からあなたが背負う重荷を少しでも取り除き、心を少しでも軽くすろことが私のつとめです。」




「ありがとう。ショウ。」








 その頃、空に空間の裂け目ができ、ハイデの近郊の荒れ地にビームが放射された。


 そして、そこに1人の暗黒騎士が降り立った。




 白髪で相当の長身、細身の顔に鋭い小さな目、見方によっては骸骨に目がついているかのようだった。




「英雄はどこだ! 英雄はどこだ! 俺様の強さに恐れをいだいて逃げ出したのか! 」




 暗黒騎士は前方を見て、ハイデの城塞が前方にあることを確認した。




「いかん、いかん。早とちりしてしまった。英雄はたぶんあの町にいるのだな。」




 暗黒騎士はハイデに向かって歩き出した。


 そして、ハイデの城門に続くメインロードに出た。




 そこには多くの住民達がさまざまな物資を運ぶため、行き来していた。


 暗黒騎士は住民達に向かって、大きな声で告げた。




「おまえ達、町の中にいる英雄を連れてくるのだ。我は暗黒騎士『傲慢のブルクハルト』、一騎討ちで俺に敗れるためここに来いと。勝つチャンスは全くないぞと。確かに英雄に告げるのだ!!! 」




 暗黒騎士の声は人間が出したとは思えないほど大きく、自信満々で強い意思がこもっていた。


 住民達は非常に驚いて、急いでアーサーがいる領主の館に急報した。




「暗黒騎士ですか。英雄を連れて来いと言っていますが、たぶん私のことですね。一騎討ちを望んでいるのなら行きましょう。」




 その言葉に、回りの家臣達がとても心配した。


 メイナードが進言した。




「王子様お一人で行かれるのはリスクがあります。私もお連れください。まず最初に私が戦い相手の力量を探りましょう。」

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