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93話

* * *


「三日ですか?」


ジオが大きく頷いた。


両頬には悲しみと悔しさが溢れていた。


どんな背景か、どんな種類かによって分かれるが、シナリオ入場は大抵ランダムに行われる。場所も時間も全て違っていた。


ルンルンララ手を繋いで一緒に入っても、目を開けてみれば私は北、あいつは南に落ちているという笑えない状況がほとんど。


時間の方はもっと酷かった。(運が良ければ同時に入ることもあるが)短くて数秒差から、長くて数ヶ月差まで出る場合もあった。


シナリオ内での時間の流れが違うからこそ可能なことだった。


聞くところによると、仲間と会うまでに何年もかかる人もいるとか。


バベルも良心はあるので、老化のように塔の特殊性によるものは後で全部リセットされると言うが、それも塔を出た時に可能な話。


会えなくて、待ちくたびれて老い死んだという怪談のような噂が全くないわけではなかった。


「お兄さんは今いらっしゃったみたいですね(クソ野郎)……」


「あ、はい……」


「いいですね(いいのか、クソ)……」


「…….ジオ、何を考えているか声に出ていますよ」


吹雪がいくらかましな洞窟の前。


ペク・ドヒョンは携帯用ヒーターをジオの方へもっと近くに寄せた。ぶるぶる身を震わせたジオが、やつれた顔で睨みつける。


「学校だって……制服を着るって、売店でマスタも奢ってくれるって全部嘘っぱち……」


「それは、コホン、ご存知のように最近世の中の変化が本当に早くて追いつけなくて」


「卑怯な言い訳……嘘つきドヒョンがこの世に残す言葉はそれが全部?」


今まで楽しかったよ、回帰者。純粋なキングジオを騙した罪、あの世で懺悔しろ。アディオス。


ごそごそと魔弾の銃を取り出そうとしたジオが、はっとした。しまった。


「お兄さん……聖位スキルが発動しないことも言ってなかったな?本当に黄泉の川の前で1回目のペク・ドヒョンと再会したいのか。3回目を始めてみる?うん?」


経験したことのない酷寒と過酷さ。


三日間の野生体験でひどく荒っぽくなったモグリジオが目をむいた。その後ろでハイイログマも一緒に唸っている。


「ちょ、ちょっと待って。誤解です。それは確かに言いました!9区間は聖位の力が制限されるステージだと!」


「いつ!」


「蔚山でも、昨日電話でも!」


「何言ってんだ……!」


「「魔の9区間」は違います。9区間はバベルの影響力が相当な階です。その階層のラストステージみたいなものだからです。9区間では聖位の力さえ制限されます。」


「……は、ないじゃん。うう」


ジオが鼻をすすった。寒かった。


それでも本当にスキルまで使えないとは思わなかったとぶつぶつ言う鼻声。


よく見ると鼻先も赤くなっている。じっと観察しながらペク・ドヒョンが言った。


「メッセージさえ送れないから言うまでもないでしょう。無闇に魔の9区間と呼ばれるわけではありません。ところで……とても寒いですか?ひどく震えていますが」


「う、ううん。違う」


「あ、そうですか?もしかして……」


「ただ私がアフリカゾウくらい寒がりで、シベリアヒグマみたいに暑さに弱くて、熱いものは大嫌いで、冷たいものは骨まで凍みる普通の人間なだけ」


まあ、平均だよ。人が生きるってそんなもんでしょ?ハハ。


キングジオがぼんやりと鼻をすすった。歯をカチカチ鳴らしていて、もっと可哀想に見えた。


「……何だ?この陶器人形は?」


一般人より倍は敏感な体質に言葉を詰まらせるのも束の間。ペク・ドヒョンは慎重に口を開いた。


「いや……温度調節魔法があるじゃないですか?」


それは本当に基礎中の基礎、基本中の基本だった。


魔法使い系列でなくても、魔力を少しでも操れる奴らは、魔協で売っている基礎キットとYouTube講座さえあれば全部習得できるほど超簡単魔法。


「まさか……」


「もしかして、面倒くさいから基礎は全部すっ飛ばして、深化だけを習得した……?」


「……」


「……本当に?」


「……」


温室育ちのマンチキン(特:魔法使い界隈のトップ)がぎこちない人工知能ロボットのように視線を避けた。基礎……。


「重要なのか……?そもそも魔法使いとは、まあ、よく飛び回って武器さえ上手く使えればいいんじゃない」


「概念からして全然間違ってるじゃないか」


浪人生活三浪の根本的な原因を目撃したようだ。


魔法は複雑な探求の領域。全ての魔法使いが天才ではないが、秀才ではない魔法使いはいない。


その賢い奴らの中でもトップである方が、なぜ三浪もしているのかいつも疑問だったが……今、長年の疑問が解けた。


「基礎を捨ててしまったのか……!」


ペク・ドヒョンはぎこちなく笑った。


「それでは本当にとても寒かったでしょうに……色々苦労されましたね」


はあ、ちょっと。今それを言うか?


三日間の野生サバイバルを思い出すジオの瞳が潤んだ。


「えええ。クソ、何これ。学校はどうした?ペク執事!おい、ペク・ドヒョン!よくもまあ、キングジオを騙したな?ハッ、寒、寒……!」


メンタル崩壊した雪国入場から。


「……マ、マッチ売ります。マッチ買います。誰かマッチ売ってくれ……。火はあるのにどうして燃やせないんだ……」


マッチ売りの少女、キョン・ジオを経て。


「いっそ隕石を落とすか……?あ、違う。私ったら何を言ってるんだ。しっかりしろ、キョン・ジオ!本当にこのまま悪役ルートを歩むつもり?」


黒化寸前まで行って、後ずさりして。


「クオオオオ!」


「……」


「クオオオ?」


「……」


ぽつん、ぽつん。


反応がない。死んだようだ。


「クオオオオ!」


「……いや、ちょっと待って。こんなことする必要ないじゃん。えっ。私も知らないうちに死んだふりしてしまった。だからテレビは人を馬鹿にするんだってば。何見てんだ、このクマ野郎!パシャ!」


ついにジャイアントヒグマとの運命的な出会いまで。


ヒューン、激しく吹く吹雪に木が揺れた。


反射的にヒグマがジオを抱き上げる。体をすっぽり包む毛皮。暖かかった。ペク・ドヒョンと目が合ったジオが、さっと親指を立てた。


熊の毛皮ですか?殺さないでください。ただ連れて歩いてください。


「うちのテディに挨拶して。姓はテディ、名前はベア。こいつ、こう見えても本当に言葉をよく理解するんだ。賢いんだってば。場合によっては人よりマシ」


「あ、はい……」


「もちろん最初は少しばかり躾が必要だったけど。ちょっとの間だよ、まあ。いつからか食べ物も自分で調達してくるし、(これは秘密だけど)私を何かの小熊みたいに勘違いしてるみたいなんだ。ハハッ、誠意がすごい」


「熊が現実逃避をした」


小さな人間に殴られる現実を受け入れられず、自ら自己暗示を終えてしまった動物型怪獣。


ペク・ドヒョンが妙な同情心を感じようが感じるまいが、頓着せずにジオは冒険談を続けた。


「とにかく塔の悪名を実感したというか。テディがいなかったら本当に……」


【私は?】


はっ。ジオが少し肩を震わせた。


慣れたと思った途端に、相変わらず不意に聞こえると体が先に反応した。不可抗力の存在感だった。


「……何をしたって言うんだ」


【毎晩お前の耳元で囁いていた子守唄を忘れたのか。この三日間、誰が苦労して寝かしつけてやったのかもう忘れたとは】


【可愛いと言うべきか、寂しいと言うべきか。ん?】


「お星様、黙っててください」


彼の言うことは当たっている。


ライブラリは開かないし、寒いのはめちゃくちゃ寒いのに、習得した魔法は全部戦闘関連だし。


噂に聞いていたヘル級難易度にびびった万レベルの初心者を、ずっと宥めすかしたのがまさに聖約星。


この過酷な大自然よりも偉大な、キョン・ジオの星だった。


多くを教えてはくれないが、バンビ状態くらいは可能だと言って、毎日無事だと知らせて、目を開けて眠るまで隣で囁いて……。


風が吹く。


ジオは自分の頬に触れて消える無形の感触をそのままにした。続く笑い混じりの囁き。


【私の猫。】


「……ジオ?」


「何?」


「いえ……急に笑ったので」


「私が?」


そんなはずはない。ジオは平然と熊に背を預けた。何事もなかったかのように、いつもの気だるそうな表情で。


吹雪が少し収まった。


動くなら今がいいだろうと、ペク・ドヒョンが道を急いだ。視界がきちんと確保されるだけでも、行動範囲が大きく変わるから。


「どうやらメインシナリオである上に、スケールや状況もそうだし……何かのストーリーがあるはずです。それならまず人に会わなければなりません」


人に会って話を聞かなければならない。それが攻略を開く最初の順番。そしてその道に当然らキョン・ジロクもいるはずだから。


ザク、ザク。


ずぶずぶと埋まっていた数時間前とは違った。軽い足取りで雪の上を歩いていたペク・ドヒョンが後ろを振り返った。


「道が険しいせいか、何もないですね。もっと暗くなる前に泊まる場所から探しましょうか?」


「……」


「ジオ?ジオさん!何か問題ありますか?」


「……すっ、ううん?」


ひょっこり。ふかふかの熊の懐からジオが顔を出した。寝ぼけているのか目がとろんとしている。


「呼んだあ?ふあー」


「……」


じっと彼を見つめる熊の眼差しが痛い。まるで何かあるのかは私に聞いてみろ、コノヤロー、と言っているかのようだった。


ペク・ドヒョンはぎこちなく片手を上げた。おお、そうだ。テディ……ご苦労。


「何だよ。何か見つけた?」


「いえ。日が暮れて大変そうです。この辺で一旦……」


その瞬間、音が止まる。


ペク・ドヒョンが言葉を止め、ジオもあくびを引っ込めた。目が合う。


二人とも分かった。


「殺気」


キイ、キッ……。


息を殺した笑い声だったが、こちらにはそれだけで十分だった。ペク・ドヒョンは冷静に形勢を把握した。


数は大体六、七匹。中型怪獣。


地形は不利だ。四方が開けている。いつどんな方向から襲いかかってきてもおかしくない状況。


ペク・ドヒョンは下に腕を下ろした。虚空を静かに掴むと、彼の手に召喚される剣一振り。


視線は正面。後方は心配する必要はない。そこまで心配すると傲慢だということをペク・ドヒョンは知っている。


「守勢は整った。来い」


そのままひたすら数十秒が過ぎる。後ろから苛立ち混じりの呟きが聞こえた。


「……何、味見係か?様子見ばかりしてなぜ来ない」


思わずペク・ドヒョンが失笑した刹那。


ト、トドク。


敵は思ったより狡猾だった。音にぎょっとしたペク・ドヒョンが反射的に崖の方を見上げた。


「雪崩……!」


崩れる雪崩。キョン・ジオの真上だ。


「ジオ!」


キャア、キアアアック!


ペク・ドヒョンが叫ぶと同時に四方から襲いかかる怪獣たち。ジオがシニカルに笑った。


「分かってる。誰を心配……!」


ずぼっ。


……。


「ジ、ジオさん!」


クオオオ!


我先に逃げていくジャイアントヒグマ。


そして……白い雪の中に逆さまに突っ込んで二本足だけが見えている魔法使い王。


突然起きた、正確には怯えたヒグマがぶち壊しためちゃくちゃな状況に、ペク・ドヒョンの思考さえぼうっとなった混沌のその瞬間。


ファアアア-


「光よ!」


本当に、光が現れた。


「……ジオ、ジオ様?」


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