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59話

* * *


首脳会談のような高位級会談。


このような大きな集まりが予定されると、苦しむのは下の人々だけだった。


普通、大物たちが一堂に会する際は、数日間の準備期間を設けるのが普通だが。


今回は誰かの癇癪のせいで、日付まで急に変更。


我々側のトップの決定だから文句も言えず……〈バビロン〉は、文句を言う暇もなく慌ただしく動いていた。


「きゃあ、ダメ、ダメ。ヘタ大長老は桃アレルギーがあるの!あの怪物が会議場をひっくり返すのを見たいの?すぐに片付けて!」


「司監様!座席の配置はどうしましょうか?前回のように喧嘩になったら大変です……。」


「今回は黎明側が不参加だから、その可能性は低いわ。どうせ、私たちがここに座ってくださいと言っても、自分たちの好きなように座るだろうし。それでも念のため、ヘタとD.I.は隣同士にしないで、銀獅子の両隣に。」


「セキュリティチーム、ラスト、会議室をもう一度念入りにチェックしてください。以前、黎明で録音機が出て、彼らがどれだけ恥をかいたか、みんな覚えているでしょう?」


「なんだ……?」


この火花散るスパークは。


ジオはぼんやりと壁を指でなぞってみた。元々綺麗だが、今は恐ろしいほどクリーン。


お客さんが来る日は、家の中のものが変わると言うが。


ギルドも特に変わらない。いや、五大ギルドだとか何とか、互いにプライドがあるから、もっとひどいのかもしれない。


「ジオさん!これ、ちょっと会議室に持って行ってくれる?」


「はーい。」


ジオはのっそりのっそりと歩いて行った。


現在時刻、正午。


〈バビロン〉の準備は、そうして最終段階に入っていた。


そして、時計の針が半分を過ぎると、微妙に変わる雰囲気。


適度な緊張感が漂う。


「うう、こんなに早く大物たちを見ることになるとは思わなかった……。」


隣でスレギが足をがくがく震わせていた。


「大げさな。いつもキングオブキングの大物を見てるじゃん。」


「え?ああ……ギルド長のことですか?そうじゃなくて……バンビ様もいつも見ているわけではないし……。」


ふむ。顎を突いたジオが、ガラスのフェンスにもたれてロビーを見下ろした。


こちら側だけではない。


他の事務職の職員たちも、三々五々手すりに集まってきて、見物客のポーズを取っていた。


大会議は徹底した非公開で行われる。


したがって、ギルドの人々でも、訪問するハイランカーたちを見る機会は、こうして遠くから、彼らが会議室に移動するのを見るのが全てだろうから。


そして……。


「来た。」


「わあ、ジョン・ギルガオンだ。」


「いつもコーヒーのCMでしか見たことなかったけど、実物初めて見た。本当にハンサム。画面よりいいね。」


ランウェイを歩くように、ファッションモデルのオーラで通り過ぎた(D.I.)を筆頭に。


「あら。ちょっと、チェ・ダビデ、あの髪の色を見て。完全にアイドルだわ。アイドル。」


「今日、ハ・ヤンセさんもいらっしゃるの?」


黒と白のスーツをセットで着こなした〈ヘタ〉の二人の女性。


「ソゴン様だ。ソゴン様。」


「隣は虎様……あれ、ちょっと。こっちを見てるような……。」


ぴたりと止まる足取り。


薄青色のブロンズ色の髪が揺れる。顔を上げた虎が、正確にジオがいる場所を見上げた。


目が合うと、見えるか見えないかほどに浮かぶ笑み。


「相変わらず勘が良いな。」


今日は存在感をさらに消しているのに。


ジオは顎を突いた姿勢のまま、指を一度パチンと鳴らしてやった。


そうして〈銀獅子〉まで。


一箇所を除いた、韓国五大ギルド全員集合。コリアハンター首脳会談の始まりだった。






* * *


「……ということは、前回の『9区間』よりも危険になる可能性があるということですね。」


会議場の雰囲気は、誰もが予想していたよりも重かった。


この集まりの開催者、〈バビロン〉のキョン・ジロクが今話したことのせいだった。


無表情なハ・ヤンセが呟いた。


「『ディレクター』か。」


「……」


「情報の出所は?」


「それは申し上げにくいです。信頼できる、程度に思っておいてください。」


「そうですか……確かに。このような情報を無償で教えてくれるだけでも、あなたは十分すぎるほどです。ありがとうございます、バビロンギルド長。」


どういたしまして。キョン・ジロクが肩を一度すくめて答えた。


ふてぶてしく座っていたチェ・ダビデが、ドーン!とテーブルを叩きつける。


「くそったれ。なんか嫌な予感はしてたんだよな。チュートリアルウィークにゲートが大量に開いたりよ。めっちゃ嫌な予感がしてたんだよ、この俺は。」


「しかしこれ……思ったより『無塔』の無国籍者たちのレベルが結構高いようですね。」


顎を撫でたジョン・ギルガオンが、ニヤリと笑った。


「塔ごとに難易度が違うとはいえ、50階突破……興味深いですね。その『インターリム試練』というもの、通過基準については知らないんですよね?」


キョン・ジロクの方をちらっと確認した虎が、呟いた。


「多くは知りませんが……。」


「ああああ!もういい!知りたくもない!ややこしい話は全部なし!とりあえず死ぬ気で走りまくらなきゃいけない、ってことだろ?こんなことしてる場合じゃない、すぐに出発しようぜ?」


「そんな無茶苦茶なやり方で解決できる問題なら、わざわざ時間を割いて集まったりしませんよね。」


「なんだと?無茶苦茶?」


「あちゃちゃ。聞こえちゃった?失礼。」


「このドラマオタク野郎が!」


隣で騒がしかろうが何だろうが。


一人で何かを考え込んでいたハ・ヤンセが、キョン・ジロクに声をかけた。


「バビロンギルド長。」


「はい。」


「今回の39階は、あなたが主導で行くことが既定路線のようですが。考えている人数は何人ですか?」


「最大で20人です。」


「中間ですね。」


多すぎず、少なすぎない人数。


塔攻略の際、10人以上入らないバビロンの性格を考えると、キョン・ジロクもかなり気を遣っているという証拠だった。


「構成は各ギルドの精鋭でしょうし。」


もちろんだ。


そもそも悪名高い『魔の9区間』。


そこでの犠牲を減らすため、各ギルドの精鋭メンバーを選抜して連合攻略しようというアイデアを出したのも、ハ・ヤンセが最初だったのではないか?


当然のことを繰り返す様子に、キョン・ジロクが眉を上げた。


訝しげな様子。


「実は。」


その疑問を解くように、ハ・ヤンセが口を開いた。


「今日は、謝罪をしに来た。」


水を差すように、一瞬にして静まり返る場内。視線が一斉に彼女に集まる。


ハ・ヤンセは落ち着いて言葉を続けた。


「うちのヘタは、現在、精鋭を選抜するほどの余力がない。」


「……おい、ハ・ヤンセ!」


「内部の派閥争いの結果、核心戦力が門派から離脱したの。」


「ああ、マジかよ……。」


勢いよく立ち上がったチェ・ダビデが、うんざりしたため息とともに再び座り込んだ。


「おい、このクソ野郎ども、お前らこれ、外で言いふらしたら、マジ私は死ぬし、お前らも死ぬし、みんな死ぬからな。分かったか?」


「ダビデが心配するような状況だ。」


「……」


「一つの集団の長として、このようなデリケートな話を外部に発信するのは、正しい行動ではないかもしれない。」


「……」


「ただ、単なる競争相手ではなく、共に戦場を経験し、また経験していく戦友たちだから、信じて話すのだ。」


「……」


「私の決定の理由を知り、あなたたちがここまで理解してくれることを願う気持ちで。」


……ちょっと、何の話だ?


頭を下げて聞いていたチェ・ダビデの視線が上がり、みんなの顔に疑問符が浮かぶ刹那。


〈ヘタ〉の大宗主、ハ・ヤンセが宣言した。


「今回のバベルの塔39階攻略、ヘタからの選抜人数は一人。」


「……」


「私、ハ・ヤンセが参加する。」


動揺が完全に広がるまでには、少し時間がかかった。


「……こ、この狂った。」


チェ・ダビデが椅子を蹴って立ち上がった。


「頭おかしいのか?何言ってんだ!」


解放された階に『最初』に入る時、どんなシナリオが開かれるかは誰も知らない。


それに要する時間さえも。


それは数時間かかるかもしれないし、数日かかるかもしれないし、もしかしたら数ヶ月かかるかもしれない問題。


攻略を途中で諦めるとしても、その『途中放棄』さえも、どこに、どんな形で存在するかわからないシナリオ内の安全地帯(Safe Zone)まで到達しなければ不可能なことだった。


天上界のランカーたちがバベルの塔にあまり入らないのも、そういう影響が大きかった。


〈バビロン〉のように、塔攻略に全ての重きを置いた特殊なケースでなければ、ギルド長級の人物が動くのは極めて稀なこと。


特に、ハ・ヤンセのように、国家の一つの軸を担っている代表ハンターなら尚更だった。


「本来なら、謝罪とともに、ヘタは今回の攻略から抜けるという話をしようと思っていた。」


澄んだ視線が、正面のキョン・ジロクへと向かう。


「あなたが話してくれたことを聞くまではな。」


「……」


国を揺るがし、災いを起こそうとする悪がいるという。


彼女が心を決める理由は、それで十分だった。


ヘタ(海駝)。


またの名は、ヘテ。


災いと炎を抑え、民衆を守護するこの国の神獣。


「たかが些細な事情で大義から外れるなら、千年もの間、韓半島を守ってきたヘタの精神に汚辱となるのではないか?」


ハ・ヤンセが静かに笑った。


「ヘタは、過去千年そうしてきたように、門派最高の戦力を送り出す。」


「……」


「私がいない間を頼む。戦友たち。」


奇妙なほど落ち着いた沈黙が漂う。静寂を破ったのは、ウン・ソゴン。


穏やかな眼差しで、韓国一の老将が微笑んだ。


「心配するな。獅子は雪岳山での借りがあるのを忘れていない。」





10数年前の今頃。


花咲く3月、数多くの獅子たちをその山に埋めた。バラバラになった肉片を集め、その場所に巨大な碑を建ててくれたのは、雪岳霊山に住んでいたヘタたち。


「兄弟の恩人は、また別の兄弟だ。銀獅子はいつも、あなたたちヘタの隣にいるだろう。」


「ウン・ソゴン様。」


見つめ合い、視線を交わす二人の韓半島代表守護者たち。


珍しく穏やかな雰囲気が漂っていたが、それでも納得がいかない一人の反抗児。


「ああ、クソ。ディレクターだの攻略だの知ったこっちゃねえ。」


いいよ。全部いいって。


でも、なんでいつも近道があるのに、地雷原をゴロゴロ転がって行くような気がするんだ?


チェ・ダビデが静かに独り言を呟いた。


「正直、ジョーがいれば……。」


苛立ち混じりのその呟きに、水を飲んでいたキョン・ジロクが激しく咳き込んだ。





* * *


へ、へっくしょん!


マジかよ……。


誰かまた私の悪口言ってんのか?ああん?


世界最強キングジオが、物流倉庫で鼻をすすった。


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