52話
* * *
大股で速い足取り。
人の目を気にせず、せっかちな性格をそのまま表すこの足音の主は、〈バビロン〉内に一人しかいない。
バン。
ドアを強く押し開けたキョン・ジロクがそのまま直進した。
大股で歩いていき、部屋の中央にある深緑色のエッグチェアにどさりと座った。
ここは〈バビロン〉内の14階ボスルーム。したがって、この席は彼の指定席だった。
キョン・ジロクが皮肉った。
「暇なのか?約束もなしに訪ねてくるなんて」
「忙しいから、訪問の約束をする余裕もなく来たという方がもっと筋が通るんじゃないか?」
「へえ。それで?なぜ来たんだ?」
片側に用意された客用の酒。
億単位の値段がする高級ウイスキーを指でなぞったジョン・ギルガオンが、ボトルを一つ持ち上げた。
「まだ満で20歳になっていないはずだが……12月生まれじゃなかったか?12月31日。独特だから覚えているよ」
「接待用だ。置け」
「俺も客なのに?」
「不請客にやる酒はない」
「残念だな」
「なぜ来たんだ、ジョン理事」
「本当に知らないで聞いているのか、キョンリーダー?」
眉間にしわを寄せたジョン・ギルガオンがため息をつき、ソファに座った。
「俺が直接行くべきだったな」
「昨日、直接行かなかったのはお互い様だ。恥ずかしくルーキー一人獲得するために頭が行くか?」
「ただのルーキーじゃないだろう。初進入でトップ10とは。うちの鹿王子もできなかった大記録じゃないか?」
「からかうなら今すぐ出て行け」
おいおい、手を振るキョン・ジロク。
ジョン・ギルガオンはかすかに笑った。肩を落として後ろに寄りかかると、スーツにしわが寄った。
お気に入りのトム・フォードのスーツだったが、格式ばった場でもないから構わなかった。
「本当にこちらに譲る気はないのか?まだ契約書の判も押していないんだろう?」
「何だとか?俺と単独面談を望んでいるとか?生意気な奴が……」
小さく舌打ちしたキョン・ジロクが、映画俳優のようにハンサムなライバルを振り返った。
「とにかく明後日会うことになっているから、関心を消せ。俺があまり関心がなくても、奥様がすでに本気だ」
「サ・セジョン……」
厄介な顔を思い浮かべながら、ジョン・ギルガオンが顔をしかめた。
キョン・ジロクは生まれつきの戦闘狂。若い征服君主。
歴史上の人物で例えるなら、アレクサンドロス大王に似た奴だ。
しかし、今は土地を奪い合う古代戦争時代でもないのに。
あらゆる数字と暗計が飛び交うこの現代社会の中で、前だけを見て走るキョン・ジロクがこれほど早く成長できたのは、全部サ・セジョン。
その涙ぐましい忠誠心の参謀が、隣にぴったりくっついているからだった。
「せっかく育てておいたのに、子供に夢中になって、友達に裏切り行為をするなんて……」
「おい。ここが誰の領域か忘れたのか?」
冷たく急所を締め付ける気運。
濃くなった森の匂いを吸い込みながら、ジョン・ギルガオンは両手を上げた。
「10年来の同窓生に寂しくてそう言っているんだ」
「昔話は、おじさん同士で後で勝手にやってくれ。俺の前では言葉を選んで話せ」
一線を越えるなという警告。
一喝したキョン・ジロクが、机の上をまさぐった。
不請客の訪問目的が取るに足らない愚痴だったことを確認した以上、やっていたことにまた集中するつもりだった。
その完全無視の定石のような態度を見て、ジョン・ギルガオンは座る姿勢を変えた。
横に腕をかけ、顎を突き出してのんびりと言った。
「分かったから、それならヒーラーはこのおじさんにくれ」
「……ヒーラー?ああ、ナ・ジョヨン」
「サ・セジョンに下準備をやめるように伝えてくれればありがたいんだが。一緒に39階攻略しないのか?少し分けてもらわないと。消化不良になるぞ。この狭い土地に本当にバビロニアでも建てるつもりかと思うよ」
え、それまで欲張っていたのか……?とにかくあの兄は。
あのビジネスマンがわざわざここまで追いかけてきたわけだ。
面倒くさそうな顔でキョン・ジロクが頷いた。
「オーケー」
「話が分かるな。ところで、超新星の方はなぜ明後日会うというんだ?待機者たちに希望的観測、そんなこと?」
うーん、やっぱり俺にもまだ機会はあるのか?
図々しいそのつぶやきに、キョン・ジロクがむっと顔をしかめた。
「先約があるからだ、先約!先スケジュール!クソ、しつこくするな!」
「先約?ああ」
何かを思い出したジョン・ギルガオンが、低くうめき声を出した。
「11階にいる人たち?」
「そうだ。今日から面接だ。忙しいんだ」
デスクも本当に、なぜよりによってこの時期に休職届を出して空席を作ったりするのか。
39階攻略準備期間と重なっても正確に重なるとぼやくバンビ。
神経質なその顔を見ながら、ジョン・ギルガオンが意味深に微笑んだ。さあ。
「その面接、思ったより早く終わるかも」
来る途中で見たら、なかなかいい人物がいたんだよ、そう彼が口を開こうとした瞬間。
「ヤングボス!」
ノックもなしにばたんと開くドア。
急いでいるとばかりに体から先に突っ込んだドミが、驚いて歩みを止めた。
ハッ。お客さんがいた。
「あ、いや、今すぐちょっと降りて行かないといけないみたいで……」
* * *
スルプミが起こした波紋は、思ったより大きかった。
それもそのはず、デスク職(期間制)の歴史では前例のないハイスペックの出現。
例えるなら「さあ!今日は可愛らしいカップケーキを作ってみましょう」と集まった近所のクッキングクラスに、ル・コルドン・ブルーとミシュラン出身の留学派パティシエが現れたようなものだった。
まだここが韓国5大ギルドであり、また覚醒者等級平均では業界トップの〈バビロン〉だったからよかったものの。
どこか地方の零細中小ギルドだったら、ギルド長級がとても、とても、恥ずかしくなるところだった。
とにかく、ハイスペックの登場に1次審査は皆であたふたしながら、うやむやに通過。
2次チーム審査も、困惑としながらパス。
そうしてキョン・ジオは今現在。
「……021番志願者。うちのギルドに志願した動機は何ですか?」
ビルに入ってから正確に17分51秒で最終面接、対面審査台の前に座っていた。
「ここはどこ……?」
私は誰……?
お互い戸惑うのは同じだった。
面接官も戸惑い。志願者も戸惑い。見物人も戸惑い。エブリバディ皆で戸惑い。
戸惑いタルトが起きてもおかしくない超高速展開。
返事のないジオに向かって、隣の席の志願者が囁いた。
「あの……そちらが021番ですよ」
な、何?
慌てて胸元を探る手。
本当だった。いつからここにあったのか分からない番号札には、正確に「021番」と書かれていた。
「……質問は何だったっけ?」
「コホン。ギルドに志願した動機、お話ください。該当職務とご本人の能力値が合わないようですが……」
(独り言ではあったが)志願者(B級)はタメ口を使い、面接官(D級)は丁寧語を使うこの奇妙な状況。
聞いているうちに我に返った面接官が、しゅんとして上司を振り返った。
少数精鋭を標榜する〈バビロン〉ではあるが、それはフィールドで活動する本物の直系たち、つまりロイヤルたちを指すのであって。
そんな彼らをサポートすることが主な業務である傘下職群は、現実的に等級が比較的低いしかなかった。
この中でキョン・ジオのサブキャラより高い等級はいないということ。
「一体何なんだ、あのウシガエルは?」
面接総括責任者マ・ウリム(CC級)は、気まずそうな顔でハイスペックアルバイトモンスターを見つめた。
少しばかり可愛らしくて、少しばかり強そうで、少しばかり怠惰に見えること以外は……一見平凡な印象。
「まさか等級で押し入ってきて、思う存分楽をしようというのか?」
本人がほぼ完璧に近い真実を推論してしまったという事実を知らないまま、マ・ウリムが気持ちを引き締めた。
「怯むな。ジオはただのありふれた志願者1だ。そう思おう」
ここで退けば、これまで凄腕面接官たちのプレッシャーに泣きながら去った志願者たちが号泣するだろう。
マ・ウリムはエリートの香りがぷんぷんする四角い眼鏡のフレームをさっと持ち上げた。
「021番志願者。履歴書に空白がとても多いですが、職務に関連した経験はありますか?」
「はい」
「おお、何ですか?」
「机に座ってみました」
「……」
「あっ。長く。長く座ってみました」
「……」
だ、次の質問。
「職務を遂行する上で一番重要なことは何だと思いますか?」
「定時退勤……?」
「……」
「うーん。(違うのか?)ワークライフバランス……?」
その後ずっと続いた一問一答ノーリプライラッシュ。
Q. スペックが非常に高いのに、なぜこの仕事をしようとするのですか?
A. 自発的な才能寄付。
Q. ここに入るためにどんな努力をしましたか?
A. 地下鉄2回乗り換え。
Q. 上司が不当な業務指示を出したらどうするか説明してください。
A. 私は私より弱い奴の言うことなんか聞かない。
Q. 人生の最終目標は何ですか?
A. ない。
一同思った。
「こいつ、一体何なんだ……」
キョン・ジオも思った。
「もう家に帰ろうかな……?」
合格の首飾りを渡してあげたくても、回答の状態がどうしても渡せない状況に直面した面接官たちと、江原道ジャガイモ群の幻影が見え始めた浪人生。
皆が苦痛に陥ったその時点。
ガーン!
降り注ぐ後光にシャワー。マ・ウリムは目を覆った。あの方は!
うちの面接を台無しにしに来た、うちの救世主……
「おい、今すぐついて来い、お前」
このめちゃくちゃを終わらせに来た。
縮れ毛のキョン・ジロクが面接終了を宣言した。




