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492話

よりによって、この野郎が・・・。


宿敵、金儲け虫の財閥の出現に、キム・シギュンと公務員たちの顔は見る見るうちに歪んだ。


「••••お前、公務執行妨害だぞ。協力しないなら、手出しせずに引っ込んでろ。」


「え?キムチーム長、手出しだなんて。公務中にそんな言葉遣いをしていいんですか?」


「私がいつー手出しだと言っー!」


「ビビアン。ほどほどに。ほどほどに。」


「ああ、引っ込んでてください。それから。言葉は正確に。公務執行妨害だなんて?」


うちのチームの狂った室長様、ご登場。


遠慮なくジョン・ギルガオンを押し退けて前に出たビビアンが、中指でサングラスをクイッと持ち上げた。


深く弧を描く彼女の赤い唇と向き合った公務員たちは、本能的にビビアン・キムの異名を思い出す。


「朝鮮版ゲッベルス…!」


「公務は別にあるんですか?こ・れ・も公務ですよ、キム・シギュンチーム長。チーム長が軍靴で押し入って中断させたこの試合こそ、国費『100億ドル』が投入された国際的な公務なんです。大韓民国とDI、ソンジン、協会が手を組んで開催したThe International Hunter Future Show。公務うんぬん言うなら、誰が誰の公務を妨害したのか、その順番から調べてみるのが筋でしょう。チーム長の公務だけが公務で、この公的な行事のために徹夜して何日も苦労した多くの人々の公務は公務でもないんですか?」


「いや、そんな、そうじゃなくてー」


「これ、外注の人員だからって無視してるんでしょう?内部の自分たちだけ優遇して、外部の人間は差別する政治的な仲間外れをここで経験するとは思ってもみませんでした。」


「誰かあの女を止めてくれ••••。」


「私たちがですか•••?どうやって?」


「どこを見てるんですか。人が話すときは目を見なさい。私を見るべきでしょう?いいですよ。他人の家の公務だから関係ないと思って無視してるんじゃないなら、これはありえない状況なんです。古代オリンピックのときは戦争さえ止めたというのに、オリンピック精神まで無視して押し入ってきたんじゃないですか。私の言い分は間違ってますか、皆さん?それとも、ああ!ハンターオリンピックだからバカにしてるんですか?ハンターたちは悔しいことがあっても、文句を言う知能もない無学なチンピラだから?ああ〜、やられて当然?そういうことだと理解すればいいんですか?私が知りませんでした。公務に上下があって、ハンターたちは100億ドル、日本円で約13兆9820億円を無駄にすることになっても、黙ってシュンとしていなければならないとは、本当に知りませんでした。私が!」


「私が間違っていました•••••。」


「何がですか?具体的にどの部分が?」


「全部……」


「ふむ。では、まず進行中だった私たちの公務を優先して進めて、チーム長の公務はその後に処理すると理解すればいいでしょうか?」


「そうしてください••••。」


「快く譲歩してくださるあなたの寛大さに感謝いたします、チーム長。」


「では、スキルはもう取り消していただいた方が••••。」


「あらあら。そうですね。」


ビビアンが肩をすくめた。


「悪魔の舌」6等級適性スキル、「扇動家の壇上」が取り払われると、公務員たちの方に降り注いでいた観衆のポップコーン、ゴミ、野次などの洗礼が止まる。


我に返った観衆は、今何が起こったのか戸惑った顔をしている。


「チ、チーム長、隈が………………!」


「……放っておけ。」


ビビアン・キムは大衆が集まっていて、その数が多くなればなるほど厄介な相手だ。

ここで相手にするよりは、ある程度譲歩した方がマシだった。


隈が顎まで垂れ下がったキム・シギュンが合図すると、要員たちが後ろに下がった。



そうして主催側が稼ぎ出したつかの間の余裕。


こちらに向き直ったジョン・ギルガオンが、にやにや笑う顔で片腕を大げさに広げてお辞儀をした。


レベランス。紳士の優雅な挨拶。

ジョーカーという彼の異名にふさわしいポーズだった。


彼が道を譲ってくれた先には、もはやキョン・ジオの行く手を阻むどんな障害物もない。


いつも変わらず頼もしい味方の前を通り過ぎながら、ジオが呟いた。


「ジョン・ギル。」


「はい。」


「明日免許更新を昇格してあげろ。ビビアン……恐ろしい子……」


「いっそのこと銀行を一つあげようかと。」


「ベリー・グッド・アイデアだ。」


出入り口の通路の上、競技場四方のすべての視線が自分に注がれているのに、緊張感一つなく冗談を言うこの男。


思わず首を横に振ったジョン・ギルガオンが、隠しきれない笑みを浮かべて囁いた。


「ではそろそろ見せてください、私の選手様。」


キョン・ジオは舞台に上がることで答えとした。


「皆さん!大変お待たせいたしました!Show must go on!試合が続行されます!」



ワアアアアアアアア!



ショータイム。

決まっていた次の順番は、本戦の最初の試合。


そしてドローボールが選んだ最初の対戦相手は、1区域と6区域。


すなわち。

傭兵王サロメ・ドラコバと魔術狩人ジ・キョンの試合だった。


誰も口には出さなかったが、誰もが事実上の決勝戦だと思っている試合。



ドーン!


重々しい足音と共に、相手もまたラウンドの上に登場する。


青色と灰色が入り混じった、熊手のようにゴワゴワした髪。


模様など一切ない地味な黒い鎧をまとった女からは、かすかなウォッカの匂いと冷たい龍の匂いがした。


東海にウォンブルとヘタ、鬼主、そして紫微宮のロサ戦があり、大陸の向こう地中海にも妖精と伝説を秘めた土地が存在するように。


北極海、その原始的な氷の地には、ドラゴンを殺した勇者たちの熱い血が長い年月受け継がれてきた。


無限の寒さの中で龍たちと戦っているうちに、敵と似てしまった龍殺しの家門。



シベリア・ドラゴン・ハウス。

その唯一の主人、サロメ・ドラコバが尋ねた。


「ルバニスは誰が殺した?」


極寒のように濁った声だった。

ジオはそっけなく言った。


「今捕まえて聞いてみようと思ってる。」

「•••おとりは大会ではなく私たちだったのね。」

「賢いね?」



競技場の厚さを測るように、つま先で床をトントン叩いていたジオが、ちらっと顔を上げた。


「それで、嫌になった?」


サロメが乾いた声で答えた。


「そんなこと気にしない。」


涙の代わりに武器を握ることを選んだ女たちは、皆似ていくのか?


東洋の馴染みのある誰かを思い出させる姿だった。


大きく息を吸い込んだサロメが、首を折って長くハウリングする。身の毛がよだつ音だった。


続いて爆発的に高まる冷気と魔力。

舞台と観客席を隔てるバリアが揺れるほどの巨大な衝撃波が広がっていった。


ジオは同時に、ふと漂ってくる荒涼とした匂いを嗅ぎ取る。


ドラゴン。長い年月をかけて上塗りされたロシア北極海の龍が、影となって勇者の上に重なっていた。


「龍か……」


サロメが翼を広げた。来る。

もはや場内アナウンスは聞こえてこなかった。

ドーム球場のど真ん中。


空間拡張がすべて解除され、整理されたここには、もはやただ一つの舞台だけが残っている。


正方形の舞台の四方を武装した公務員たちが隙間なく囲む中、キョン・ジオはますます大きくなる怒号と叫びを聞く。



私のジョーがそんなはずはない、ジ・キョンが本当にジョーなら、あなたがジョーで間違いないなら、私たちに証明してみせろ、証明しろ、証明しろ•••••!!



「私はやるだけやったんだ。」


やるべきことは本当に全部やった。

笑えない舞台を作り、名前と権威を隠し、歓声の代わりに野次を聞き、誰かの夢を見て、そうしてこの場所に。


煽りという煽りは全部やってきたのに、腰の重い魚たちは釣れる気配を見せない。


それなら。


『核爆弾が必要な時点だということだな。』


遊びはそろそろやめる時だ。

ジオの口元が引きつった。


「ヘイル・メアリー。」


「はい?聞こえませんでした。理事様。」



横で不思議そうに自分を見ているビビアンの視線を感じたが、ジョン・ギルガオンは正面に視線を固定した。


今からは目を離してはいけない。敏感な彼の直感がそう言っていた。来るぞと。


「ついに。」


ヘイル・メアリー。最後の勝利を収めるために、イチかバチかで繰り出す最後の勝負手。



そして舞台の上で、魔法使いは言う。

「ブックマーク、ナンバー0。」



チャララララック-

「来い。敵意の虐殺者。」


おかしなことだった。

確かに低い呼びかけなのに、皆の耳に鮮明に響き渡る。


誰かが本能的に反応して上を見上げた。

観客席、一人二人と頭が上がる。


皆が約束したかのように首を反らせて長く傾けた。そうして日が暮れ始めた空を見上げる。

それでも一目で見渡すことはできなかった。



グオオオオオオオオ-!



空が覆われ、聴覚を押し潰す異質な共鳴、皮膜が風の刃で切り裂かれる音がもたらすのは、お決まりの恐怖。


魔術師王の生ける象徴であり、大衆に最も親しみのある手足。


どんな魔法使いが支配する戦場であろうと、この巨大な影は必ず最初に現れ、敵には絶望を、味方には希望を与えてきた。


長い神話と歴史の中で形作られ、長い時間を経てついに現実で具現化された敵意の虐殺者。


ラグナロクの悪竜、ニーズヘッグ。


ドスン!


ドームの屋根に重々しく降り立った龍の巨体が、観衆を見下ろすように見下ろす。


人々は上空を覆った黒龍とそうして遭遇する。

同時に、いつからかこの空間全体を掌握している、星と太陽に似た黄金色の魔力とも。



すべての電光掲示板。

ドーム内部を超えて、この時間に出力されている世界のすべてのディスプレイが、ただ一つの顔だけを映し出していた。


大きく開いているドームの屋根のおかげで、背景は雲のように群がる観衆と灰色の不夜城。


夜風に舞う黒檀の髪と、きらびやかに渦巻く黄金の瞳。


曖昧だった悟りを超えて、皆に確信を与える瞬間だ。


本能的に息を呑む数千数万の電光掲示板の中で、韓半島の王が笑った。


特有のいたずらっぽさが込められた、幼く永遠の二十歳の顔で。


「かくれんぼは終わりだ。」


これでも出てこないか?

ショーは終わった。鬼はお前たちだ。出てこい、偽物ども。


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