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475話

ジオが何も知らない様子だったので、ラテン系の女の子は熱心に説明し始めた。


Dが落ちこぼれ(Deadbeat)のDだと噂が広まっていると。


「私たちは結局、引き立て役なのよ。予選は1つの組から1人しか上がれないの知ってる?」


「そうだったの?」


「まさか!本当に何も知らないのね!」


彼女は大げさにため息をついた。


「みんなが私たちを見て、落ちこぼればかり集めたと笑うから気分が悪かったけど、あなたを見たら否定できないわ。」


「…?言い過ぎじゃない?」


「ほら。志願者が世界中から集まってきたでしょ。数がとても多いから、主催者側も予選でとりあえず一度にふるいにかけるってこと。だからよく見ると、組ごとに上がる人が決まっているのがわかるでしょ。」


「ほほう。」


「例えば、私たちの組には……。」


あそこを見て、と慎重に目配せする。


ジオはつられて顔を向けた。

背がものすごく高い白髪の女性。


そして彼女の腰のあたりに位置する、プラチナブロンドの小さな女の子が見えた。


年齢だけ見ると、母娘のような感じ。


白髪の方は、他人に関心のないジオもよく知っている顔だった。

そりゃ、ここ高尺ドーム周辺を埋め尽くすほど見かける顔だから。


「ロシアの傭兵王だっけ?」


「見える?シベリアのドラゴンハウス……!」


女の子が囁いた。


恐怖が混じった声だった。


彼女だけではない。


今見ると、周りの参加者たちもそれぞれ騒いでいるふりをしているが、あちらに神経を尖らせている緊張感が感じられた。


今回のバトルの誰もが認める優勝候補。


なるほど!ジオも厳粛に頷いた。


「傭兵王がこの身の相手とは……。まさに主人公らしい組み合わせ……!」


「……?」


何言ってるの?女の子は頭がおかしい人を見るようにジオを振り返った。


「違う?サロメは当然1区A組でしょ。」


「え。」


「私たちの組の主人公はその隣。傭兵王の有名な養女、アンナ・クラスロバヤ。私たちはみんな、あの小ドラゴンのお飾りだって。」


「えー……。」


露骨に気が抜けたという表情。


「ど、いったい何の自信だ?」


何か信じていることでも?


一瞬疑わしくなって見直したが、適当に着たジャージ姿に、平凡極まりない魔力まで……。


どう見ても何かあるようには見えない。


女の子は疑いを捨てて言った。


「とにかく、アンナはバトルの高いところまで上がるつもりはないの。花嫁の座を望んでいるのはサロメだから、サロメを助けて競争相手を蹴落とす役割でしょうね。だから最下位の組に割り当てられたんだと思う。」


「ふむ……」


つまらなそうなジオの表情に、女の子は重ねて説明した。


「あなた、何も知らないみたいだけど、幼いからって絶対に見くびらないで。アンナはヨーロッパ最高の天才だと、すでに噂が広まっているのよ。魔窟街で育ったのを、傭兵王が才能だけを見て直接引き取ったんだから!」


「魔窟街出身だと?」


「そうよ!どれだけ特殊なケースかわかるでしょ?」


ダンジョンポータルさえ存在せず、一般人まで出入りする、最下級ダンジョン。


バベルも見捨て、星々も顧みない世界の底辺の穴を「魔窟」と呼んだ。



「最優先管理国家」になってから韓国では完全に姿を消したが、依然として世界各地に存在しているバベル時代のスラム街。


行く当てもなく捨てられた魔窟街の孤児たちは、怪物に食われるか、大人に利用されて死ぬ。

それが定説。

覚醒する確率も、生存する確率も極めて低いため、その底辺から抜け出すことはほぼ不可能だった。



しかしジオは、そこから見事に抜け出した魔窟街出身のマフィアを一人知っている。


「ふむ。あちらもそろそろ手を打たないと。あいつは無能なやつでもないし、抜け出そうと思えばいくらでも可能なはずなのに、なぜそうしているんだ。」


やることは多いのに、時間は限りなく足りない。

まさにこのバトルだけでもそうではないか?


偽物たちが仕掛けたに違いない殺人犯ジオの罠にかかる前に、早く終わらせなければならなかった。


「ファーストタイトルは明かしていないけど。噂では魔獣を操るらしい。ほとんど部下のように扱うんだって。」


別のことを考えて聞き流していたジオが顔を上げた。


何?


「何を馬鹿なことを——」

「本当よ!」


女の子は声をさらに低めて囁いた。


「ほとんど既成事実よ。公にはしないけど、目撃者がいるの。討伐中にあの子がモンスターと話しているのを見たという人が一人や二人じゃないのよ。メディア露出が少ないのもそのためらしいわ。ロシア政府と傭兵王が止めているとか。」


モンスターと話し、部下のように操る異能なら、必死に隠すだろう。


もしそれが本当に「事実」なら。



しばらく考え込んでいたジオが女の子を振り返った。


よくいる説明役のエキストラだと思っていたが……。思ったより多くの情報を持っている。


「あなたはこんなことをどうして知っているんですか?」


女の子は肩をすくめた。


「ロシアは亡命者が多いじゃない。私たちのブラジルにも結構いるわ。その人たちがハントラネットで話しているのを見たの。」


「ああ。コミュ障だったのか。」


ハントラネットで24時間入り浸って人生を無駄にするやつらは、世界中にいくらでもいるけど。


「才能は……ダブルD級。平凡だな。」


「ブラジル出身だったの?」


「え?あ!そういえば、私たち自己紹介してなかったわね。ええ。私はラリサよ。ラリサ・ペレイア。あなたは?」


「チギョン。」


発音が難しいと言って、ラリサは困った顔をした。


しかし、聞くべきことはすべて聞いたジオは、すでに興味の外。


それよりもっと面白いことがあった。


「アンとかいうやつ、こっちを見てるな。」


「え?ひえっ?!どうしよう!私たちの話を聞いたのかしら……!」


怯えたラリサは、慌ててジオの背中に身を隠した。


いつの間にかこちらをじっと見ている黄緑色の瞳。


一瞬、瞳孔が縦に収縮したかと思うと、錯覚だったかのように再び正常な姿に戻る。


ジオは妙なその視線を、無愛想に受け止めた。


「モンスターと話す、か……」


それなら、人間じゃないのか?

落ちてこないかと思ったアンナ・クラスロバヤの視線は、動く人々に遮られ、自然に散らばった。


ジオも関心を消して、待合室の廊下のモニターを見つめた。


外から大きく響き渡る歓声。


ブライド・ワン、オープニングイベントの最後の順番。クォン・ララの舞台が始まっていた。




☆☆☆



「[アンナ。どうしたの?何かあったの?]」


「[……ママ。]」


顔色がひどく青白い。もともと白い方なので他の人はわからないかもしれないが、自分の娘だった。普段と違うことに気づかないはずがない。


心配そうな気持ちで覗き込んでいたサロメが、はっとした。


「[あなたの目……!どうしたの?!]」


「[変な子がいるの。]」


「[何?誰?]」


「[わからない。手がかりも掴めない。とりあえず……バトルのルールよ。それからもう一度確認しないと。]」


衝動と恐怖が暴力的に沸き上がる。


アンナ・クラスロバヤは震える目で義母を見上げた。



「[ママ。殺してはいけないというルールは、なかったですよね?]」


あの不快なショートカットの手に持った番号札。

見間違えでなければ、確かに6区のD。

自分と同じ組だ。




☆☆☆



「先輩、確かなんですか?本当にララ・クォンの舞台をうちが撮らなくてもいいんですか?国内の舞台は2年ぶりなのに、これを見逃すなんて……!」


「上がやれって言うんだから仕方ないだろ?」


PDは後輩の不満をぞんざいに受け流した。「上」もどこぞの普通の上司か?


「アルファだぞ、お前。アルファ。あのジョーカーが直接指示したんだって。言われた通りにしろ。文句は言うな。」


大韓民国でジョン・ギルガオンと親しく付き合わない放送局はないというが、彼らが所属するT社はその中でも一番言うことを聞く犬だった。


おかげで、このようにフューチャーショーのような世界的なスケールのイベントを独占生中継するという栄光まで手に入れたのではないか?


局長が「ご主人様」の言うことをよく聞けと念を押していたのを、PDは忘れていなかった。

絶対に聞き流すつもりはなかった。



「でもこれ、完全にヤラセじゃないですか?バトルが始まる前から特定の人物を指名して、この子を集中的にフォーカスしろなんて。放送局が個人の広報チームでもないのに、こんなことしていいんですか?」


不満の多い後輩がぶつぶつ言い続ける。


PDはため息を飲み込んだ。


ジョン・ギルガオン、より正確には〈D.I.〉戦略企画チームから理事の意向だと言って、ある人物を指名してきたのは3日前だった。



「ディテールは構いませんが、メインフォーカスは必ずこの人物で。すべての注目が集まるように絵を描いていただければ結構です。」


「……え?あ、注目ですか?」


「ええ。注目。このイベントに興味のない人々の耳目まで集められるように進めてくださいとおっしゃっていました。」


「いつからうちが公正で透明な放送をしたって?道行く犬も笑うわ。」


「いや、先輩。せめてネームドならこんなこと言いませんよ。優勝候補をフォローするのはめちゃくちゃ当然じゃないですか。でもクォン・ララの対抗馬が、聞いたこともないやつ?ありえないでしょ、え?グローバルネームドがこんなにたくさんいるのに、もったいないですよ。絵がもったいない!」


「お前、いい加減にしろよ。お前がクォン・ララのオタクだってこと、あまりアピールするなと何度言っ——」


「あ!PD!PD!あそこにいるショートカット!」


ミーアキャットのように首を伸ばして熱心に辺りを見回していた作家たちが、慌てて手招きし始めた。


「あいつか?」


カメラも反射的に回る。


PDの目が細くなった。ほう。


「ビジュアルはなかなかいいんじゃないか?」


写真よりずっといいじゃないか。


ディテールは好きにしていいと言われたから、よくある悪女ポジションにしようかと思っていたが、こんなビジュアルなら話は少し変わってくる。


同じことを感じたのか、彼の右腕も同然のメイン作家が耳打ちした。


「チギョンですよ。体も小さくてか弱そうに見えるのが、むしろアンダードッグキャンディとして売り出すのも悪くないんじゃないですか?」


「ガラスの仮面みたいに?」


「さすがうちのPD、話が早い。」


にやりと笑ったPDが、末っ子に顎で指示した。


「何してるんだ?行って身元を調べろ。」


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