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470話

「[これは一体•••••?!]」


[サンクチュアリ]は広域スキルだ。


広範囲にわたる突発事態に、場内は騒然となる。


突然ソウルの空にそびえ立った十字架の柱の出現に、ホテル内部にいた人々はもちろん、韓国政府もリアルタイムの情報提供を通じて迅速に動き始めたはずだった。



「[ティ、ティミー?!]」


「[一体何を突拍子もないことをするんですか、イージスギルド長?!いますぐやめてください!]」


恐怖に駆られた数人がわめき散らした。


全身からオーラを放つティモシー・リリーホワイト。


非常に神聖だが、一目見ただけでも尋常ではない光景だった。


光と一体化した彼の姿に、イージスギルドのメンバーとマフィア、その場にいた全員が本能的な恐怖を感じて、じりじりと後ずさった。


しかし、彼ら全員の当惑を合わせたとしても、当事者ほどではないだろう。


「これは......」


ティモシーはぼうぜんとして自分の手のひらを見下ろした。


このすべては、握手をしようとした男と手をつないだ途端に起こったことだった。


神聖系、その中でもごく少数の選ばれた聖者のみに許されたこの能力は、個人の意志で発動される概念ではなかった。


条件を満たした聖遺物や祭祀儀式を通じて起こすか、または。

悪によって善が絶体絶命の危機に瀕しているとみなされたとき。



つまり、神々の思し召しによって極めて低い確率で発動するランダムスキル。


神聖系の覚醒者が神の意思に翻弄されるのは今に始まったことではないが、[サンクチュアリ]はその究極形も同然だった。




そして、その時だった。


「[くそっ!痛い!なんだこれは!お、俺は、俺は出ていくぞ!!!目が、目が眩しすぎる!]」


密集していた集団が崩れ始める。


マフィア側の誰かが騒ぎ出したせいだった。

不安なのか不快なのか、異様なほど汗をだらだら流す彼を、周囲が止めようとする間もなく。


「[何だか知らないが、いますぐここから出て行かなければ- うわあああああああああ!!!!!]」


「[カ、カルロス?!]」

「[バ、バ、バベルよ!]」

「[誰も動くな!!!!]」



Nobody Move!

強く響いたルーカス・マローンの叫び。


驚愕して慌てて武器を取り出そうとしたマフィアたちと、反射的に対応しようとしたイージスギルドのメンバーの動きが一斉に止まった。


しかし、それもつかの間。

マフィア側はすぐに我に返って反発した。


「[一体何の企みだ、この野郎ども!!]」


「[いますぐこれを消せ!喧嘩を売っているのか!]」


激昂した感情を証明するかのように、叫ぶ顔は真っ赤だ。


無理もない。目の前でまさに目撃したのだから。


彼らの仲間、カルロスが周囲を囲む光の波に触れた途端、跡形もなく溶けていく場面を。


イージスギルドのメンバーが立っている方向に、興奮したマフィアたちの罵声と呪いの言葉が浴びせられた。


「[ブ、部長•••••]」


「[ルーク、一体どういう状況なんですか?!]」


信じられない光景に驚いたのは、イージスギルドのメンバーも同じだった。


ルーカス・マローンは動揺するギルドのメンバーをなだめる代わりに、落ち着いて声を張り上げた。


「[やめろ!今から全員、私の言葉をよく聞け。この瞬間から、いかなる否定的な感情であれ、行動であれ、あるいは思考であれ、すべて禁止だ。最大限抑えろ!!]」


「[何?こいつ、何を言ってるんだ?それを今言うか- ]」


「[できなくてもやれ!ここで生きて帰りたければ!!]」


「......!」



反発していたマフィアたちが、その迫力にたじろいだ。


彼らを見返すルーカスの冷たい顔にも、いつの間にか緊張による汗がにじんでいた。


ルーカスの声が低くなった。


「[この光の中にいながら、まだ状況が把握できないのか?今、ここは『神』の領域だ。]」


「[神の、何••••?な、何を言ってるんだ- ]」


「こんな馬鹿ども。」


いちいちレベルを合わせて教育している時間はない。


ルーカスはここで唯一話が通じる人物を探し、目配せした。


「クソったく、また俺か•••••」


困った顔をしたジョナサン・パクが、首の後ろをボリボリとかいた。



「ジョナサン。」

「わかったってば!まさか、この俺が生きているうちにこんな目に遭うとは......」


「うちの隊長が信じている神が、つまり-」


「[さあ、さあ!落ち着いて!皆さん、さっさと私についてきてください。両手をきれいに合わせて。]」


「......?」


「[天にまします我らの父よ、願わくは御名が崇められますように•••••!あ、何してるんだ!真似しないと!カルロスみたいに溶けて死ぬか、俺みたいに祈るか?!]」


「......???」


「こいつ、気が狂ったのか?」


「わからない。と、とにかくやってみよう!」



ギルド〈イージス〉は、ギルド長の特性上、宗教系の攻略をすることが多い。


そこで手に入れたアイテムを把握するのは当然、情報戦略部長のルーカス・マローンと支援チーム長のジョナサン・パクの役目。


イージス内でティモシーの異能に関して、この二人ほどのベテランはいないということだった。


戸惑った表情だが、いつの間にかジョナサンの周りに集まって祈りの時間を持つようになったマフィアの子羊たち。


彼らを確認しながら、ルーカスは顔を向けた。

何も言わないので、さらに気になる男の方へ。


「[ドン・ジョヴァンニ。]」


「......」

「[このような事態になり、申し訳ありません。しかし、このスキルはうちのギルド長の意思によるものではありませんので、どうか誤解のないよう- ]」


「わかっている。神格が起こす気まぐれを、人間ごときがどうにかできるわけがないだろう。」


「[このスキルについてご存知ですか?]」


完璧なまでに整えられたスーツ、ポケットの中に手を突っ込んだジョヴァンニが、けだるそうに失笑した。



「[サンクチュアリSanctuary。よく知っているさ。その有名な神の独裁監獄を、知らないはずがないだろう。]」


「......」



嘲笑うかのように引き上げられた唇が赤いせいか、それともあの男が醸し出す雰囲気のせいか。

まるで蛇のようだ。


信心深い信者であるルーカスは、内心青年の表現が不敬だと思ったが、今は言い訳のしようもない状況だった。


「まったく的外れな比喩でもないし。」


9階級究極聖霊スキル[聖域]、サンクチュアリSanctuary。



発動と同時に周辺領域は神の地として聖域化され、この中では発動者が信じる神の権能を除いて、いかなるものも[排除]される。


中途半端な信仰や下級信仰であれば、何とか条件をうまく合わせて抜け出すことができるかもしれないが•••••ティモシーの神は格が違った。



地球で絶対的な力を誇る絶対善系統の唯一神。


信じる信者だけで数十億人に達するその神のご機嫌を取るためには、いかなる不正もあってはならないはずだ。



そうでなければ••••••。

「[う、うう、なぜ!ちゃ、ちゃんと真似していたじゃないか、なぜ、なぜ、う、くううううううう!!!!]」


あのように「資格不足」で[排除]されるからだ。


目の前で何人かが溶けて消えるのを目撃した者たちの祈りの声が、恐怖に満ちてさらに高まった。


現在ここは、純粋さを証明しなければ除去される、極端な審判の場も同然だった。


「浄化、駆魔、退魔、懲悪、断罪、悔改、霊導、光明……………。」


ささいな権能は後回しにして、ヤハウェ信者の代表的な権能だけを数え上げていたルーカスが、下唇を噛み締めた。


水清ければ魚棲まず、と言うではないか。


ルーカスもまた、過剰に高まる周囲の神聖度のせいで、リアルタイムで体力ゲージが削られていくのを感じていた。


「長くはない。長くても……………。」


しかし、[聖域]の一番恐ろしい点は、発動者が解除するまで誰もこの中から抜け出すことができないということだ。


ルーカスはマフィアのボスに了解を得て、ティモシーの方へそっと近づいた。


ますます強くなる光のせいで、ティモシーはもはや肉眼では姿さえ見えなかった。


「[ティミー、そこにいるか?私の声が聞こえるか?]」


「………………うん。」


「[解除できそうか?]」


「・・・。」


「心配するな。お前がわざとしたことではないということは、私たちもみんなわかっている。しかし、このままではいけない。お前が一番よく知っているだろう。『神』はそれほど親切ではないということを。」


神は人間の基準を知らない。知る必要もない。


だから、発動者の神性を代価とするこのスキルは、今も恐ろしい勢いでティモシーの生命力を吸い取っていた。


「長引けば長引くほど、お前も危なくなる。」


「………………わかってる。」


ティモシーは心の中で答えた。


困っているのはこっちも同じだ。


(高い確率でこの騒ぎを起こした)天使たちは何も言わず、現在彼の目の前に浮かんでいるのは、冷たいアラートウィンドウだけだったからだ。


[?* ▶と遭遇しました。]


[警告、相手との格の違いが著しいです!現在のレベルでは抵抗できません。]


[◆ 魂が強奪および汚染▩ニ닯???]


[固有タイトル、「世界の善善」が激しく抵抗します!]


[ファーストタイトル、「審判の聖使星使」が強烈に抵抗します!]


[聖地星地の星々が絶対多数反発します。]



『聖痕星痕、強制開門。』


『最上位聖位、「■■」様が聖界聖約に基づき干渉力を一部行使します。』


『「■■」1次警告。許容範囲を超えた介入です。ご注意ください。』



[世界が選択した審判者です。]


[世界律の保護措置が介入します。]


[歪んだ世界律 - 強制調整により、あなたのスキルリストのうち1つの確率が1回ランダム調整されて発動します。]


[スキル選択中......]


[適業スキル、聖騎士9階級究極聖霊「サンクチュアリSanctuary」]


[確率:0.0000000001%> 100%]



このすべてのアラートが、ドン・ジョヴァンニと握手をする瞬間に積み重なったログだ。


ルーカスが早く解除方法を調べるよう促した。



しかし。

しかし、ルーク.....!


アラートウィンドウに積み重なったログを再び読むティモシーの目に、混乱が広がった。

馬鹿でない限り、これを見ればわかるはずではないか?


何らかの脅威から星々や神々、あるいは世界が彼を守ってくれた結果だということを。


「これを•••••解除するのが本当に正しいのか?」


[聖域発動中 - 自動解除まで残り時間:2日23時間48分52秒......]


[強制解除] | [解除延長]

※ 強制解除条件:発動者の残り生命力1/4および身体の一部を永久放棄



「[お、おおおお!助けてくれ、どうか助けてください、イージスギルド長様!]」


「[わ、私は生まれたときからの信者だ!なぜ私が、あああああああああ!]」


「[ブ、部長!外に韓国管理庁の職員たちが来たみたい!どうしよう?と、とりあえず危険だから近づかないように言うか?!]」


「[聞こえているか?ティモシー・アンゲロス・リリーホワイト!]」


聖光の外でごちゃ混ぜになる様々な声とうめき声。


「なんてことだ、神よ…………」


つぶやくティモシーの声がかすれて震える。


彼の端正な顎を伝って、冷や汗がぽたぽたと音を立てて落ちた。


「遊んでいるな。」


彼らが閉じ込められているのは、ソウルのど真ん中が見下ろせるホテルの最上階だった。




ざわめき。


日が暮れて薄明かりが差し込む大都市。


闇が訪れたせいで、狂暴な神格の権能が際立つ。ここを見上げる人だかりが、ますます増えていくのが見えた。


背後で入り混じる主の祈りを背に、ジョヴァンニは靴のまま窓の外がよく見える手すりに腰掛けた。


「ちょっと突っついただけで、わっと騒ぎ出す連中ときたら。」


だから世の中は不公平なんだ。


壊れたところから込み上げてくる血の混じった咳を飲み込みながら、ジョヴァンニは軽く笑った。


「そう思わないか?Madonna mia(私の聖母よ)。」


「会いたいのに、いつ呼んでくれるのかな。」


私が送ったラブレターはどうだった?


いつも一方的で、不規則につながるせいで、聞きたいことが山ほどある。


こちらの存在を認識して、初めて[接続]が公認されたとき、どんな気持ちだったのか、おそらくあなたは一生わからないだろう。


「どうか、ずっと止まらずに、休むことなく私のことを考えてください、私の幼い母よ。」


あなたが遊んで怠けている間、私たちはあまりにも長い間飢えていたんだから。


[ああ..お腹すいた。]



早く食べたい。

ジョヴァンニは窓際に頭を軽くもたせかけた。

反射する瞳が黄金色に細められる。低く歌を口ずさんだジョヴァンニが、指で窓に絵を描いた。



星と王冠、悪魔。

そして操り人形だった。



☆☆☆



「•••••プ、プフ、フ、クハハ!あ~、あれを見て!1番は強制脱落しそうじゃない?」


女なのか男なのか、少年なのか少女なのか。


性別を区別できない。激しく笑い転げる身振りに合わせて、中途半端な長さの髪がめちゃくちゃに揺れた。


「おい!何してるんだ?あれを見ろって言ってるんだ、レモナ?」


「レモナではなく、レイモンドです。」


ロスチャイルド家の後継者、レイモンド・ロスチャイルドは、気乗りしないながらも丁寧な顔で付け加えた。



「..ご主人様。」


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