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460話

「何もするな、私のものだけにしてなんて・・・・・・は。今思えば、とんでもない駄々のこね方だったな。」


灰皿の中で火種が消えていく。


再び現在。


自嘲的なジオの言葉に虎は顔を上げた。聞き苦しかった。


「卑下するな。」


「……」


「非難も。するな。」


虎はためらいながら言葉を付け加えた。


「お前はつらかったんだ。」

ジオは何でもないように頷いた。


「うん。まあ、そうだね。つらい子供だった、保護者の温かい手が切実に欲しかったんだろう。それがとんでもない過保護だとしても。でも。」


「……」


「仕方ないでしょ。もう子供じゃないんだから。」


「……」


「ごめん。」


虎は人差し指でこめかみをこすった。


胸がどうしようもなく塞いだ。


謝罪を口にした時もそうだったが、こんな言葉をキョン・ジオから聞いているという現実が信じられなかった。


「私が辛くて弱ってる時は、死ぬ気で捕まえておいて、必要なくなったら捨てるんだな。正直ちょっと悔しいけど、捨てたわけじゃないけど、とにかく。私が考えても私は、本当にクズだ。」


「キョン・ジオ。もうやめろ」


「でもさ。捨てたんじゃなくて、ついに独立だって、そう考えてみたらどうだ。」


「…何を言いたいんだ。」


「私が利己的で良心がないのは知ってるでしょう。傍若無人にめちゃくちゃに育ったじゃん。だから私のせいで誰かが十年を捨てようが、百年を捨てようが、本当に何とも思わないんだ。それは今もそうだ。」



でも……でも。


「そんな私にも永遠は、」


「……」


「長すぎるんだよ。おじさん。」


ジオの口元から苦笑が漏れた。


「ない良心まで痛くなる。」


永遠は残酷だ。

キョン・ジオはすでにそれを経験して知っている。


彼女を手放せずに永遠に近い歳月を彷徨うのは、キョウル、一つで十分だった。


だから幼い頃の戯れでキョン・ジオが彼を縛り付けた最初の約束が存在し、また―


「よく聞け。」

「……」


「お前は私のもので、最後まで私が責任を取る。無限の永遠を口にするほど馬鹿じゃないが、望むならそれまで約束してあげる。」


世間知らずだった頃、傲慢に酔って交わした約束があり、虎はいつも変わらない姿でそのすべてを守ってくれているだけなのに……。


「私にとってありがたくて、大切で、意味がとても…とても大きな人だから。」


「……」


「私のせいで一生を彷徨うそんな末路は見たくない。どう思おうと、私がそうなんだ。」



フランスに逃げる前、明け方。


虎はジオに言った。消えろという命令一言で退いてやるのに、と。


しかし、消えろという言葉は言えない。代わりにキョン・ジオは一粒の煙幕もない率直な本音を取り出してみることにした。


もう逃げずに、正面突破で。

私はそんなの耐えられないと。

あんたがを大切に思って守りたいと願い、だから永遠に傍にいると言っても、私もあんたが大切だからとてもそんなことはできないと。


キョン・ジオの言葉通り、彼が本当に分かってくれと叫んでいるのなら、私も分かってくれと言ってみることに。



そんな会話を。

「謝るのはそのためだ。だから謝るんだ。」


傷跡が刻まれた手のひらを閉じながら、ジオは断固として言った。


「私がせがんだ約束なのに守れなくて申し訳ないけど。譲れないんだ、これだけは。」


「……」


室内に漂うタバコの煙はもうなかった。


習慣的なタバコも咥えず、顔も背けず、虎は顎に手を当てた姿勢のままじっとジオを見つめた。


二人の間にしばらくそんな沈黙が漂った。

結局ジオが先にためらいながら歩き出した。こっちが言うべきことは全部言ったのに……。



「…すごく怒ってる?」

「……」


おずおずと近づいてくるキョン・ジオ、らしくもなく顔色を窺うなと言ったのに。


そうさせたのはこっちか。


「もういいだろ。子供じみたことは。」

虎は低く口を開いた。


「いや。」


「…え?」


「俺がお前にどうして怒れるんだ。」


近づいた顔が戸惑っている。虎はテーブルを回ってジオの方へ近づいた。


「認める。半分半分だったな。」

「何が?」


「結婚式当日…つまり明日までお前が来なければ、このまま入場するつもりだった。」


「え?」


生まれつき無情で無関心なキョン・ジオは、相手が極端に動いてこそ反応する。


そんなわけで彼はいつも後回しだった。


発掘し、暴いた歴史の中で、やったことのないことはないと知っていたが、いつも彼よりも劇的な狂人が存在した。


彼らのせいで虎は毎回放置され、取り残され、最後には変わらず捨てられた。


「そう言ったのに答えを聞けなかったって?はぁー、マジかよ。ああ!そうだ!そうすればいいんだ。おい、虎。私があの答えを聞かせてやろうか?」


だから馬鹿げた茶番だと分かっていながらも承諾した。


極端な彼らのように、彼も一度付き合ってやるつもりで。


まさか狂ったふりを誰ができないだろうか。その気になればできないことはなかった。


しかし。




「本当に、入場するつもりだったって?手をつないでタッタッタターン?本当に新婦が存在すると?」


「俺が勘違いしたか?解放してやると、もうお前のものにならなくてもいいという謝罪だったと思うけど。」


「いや、それがつまり。本気!そう。本当に本気なら私も、え?拍手して送り出してやれるよ。うん!そうだ、そうに違いない!でも私をからかおうと無理やり、無理やりそうするなら、相手の女性はどうなるんだ?鬼虎、頭おかしいのか?仁義ってもんを知らないのか?」


「だからしないって言ってるじゃないか。」


「え?」


「しない。それもしない。全部しないって。」


多くのことが含まれた言葉だ。

ジオはハッとして虎を見つめた。


虎は淡々と続けた。


「お前がここまで言うのに、俺がどうして。」


「……」

「従うしかないだろ。」


捨てられたことを知って傷ついたこと、事実。


カッとなって幼稚な計画に同調したことも事実。


答えを聞こうとキョン・ジオを無理やり刺激したことも事実。


半分半分だったという言葉も本心だ。


当日にも来なければ、可能だろうと不可能だろうとキョン・ジオを彼の中に埋めてしまうつもりまでした。



しかし。

まともな答えを、本心を聞いたからもう全部終わった話だ。



退く時だ。

最初の反撃はここまで。すでに荷物が多い子に無理強いするのは一度で十分だ。


かすかなタバコと線香の匂いが染み付いた虎の指がジオの鼻先を軽くかすめた。


ジオは少し訝しげに尋ねた。


「…こんなにあっさりと?」


虎はフッと笑った。


分かっている。本当に望むことを成し遂げるには、このまま従順になるのではなく、今すぐにでもキョン・ジオと対峙しなければならないことを。


彼の競争相手のような者たちがどんなやり方であれキョン・ジオに引き下がることがなかったように。



しかし、虎には虎のやり方が存在した。


彼自身が嫌で、そうしたくなくて、たとえ望むことが別にあるとしても、いつも自分よりもずっと小さくて狡猾なこの暴君の意思が自分の意思よりも優先だった。


そんな屈従でこの子を大切に世話してきた。


今回もやはりそうなるだけだ。


「いや、ちょっとおかしいでしょ。こんなにあっさり引き下がるなら一体何のためにあんなことしたんだ?スケールもなんであんなに大きいの?高尺ドーム結婚式?本当に頭おかしいのかと思ったよ。これいつ全部収拾するんだよ?」


「収拾?必要ないだろ。それは続けるつもりだ。」


え?


いい感じだったのに、何言ってんだ?


「何言ってんだ、この鬼虎!ボケたのか?怖いな、おい!言ってることとやってることが違うじゃないか!」


虎は肩をすくめて壁の方へ歩いて行った。


その泰然自若とした姿にジオが再び怒り出そうとした時。



ん?


「………………何?」


「新婦紹介。」


短く答えた虎の手が壁の装置を操作し終えた。そして


それと共に重々しい音を立てて開く、隠された扉。




ガチャン!


[-そもそもこれがそういうルールだって言ってんだろ?いや、お前が人間のルールに従おうがどうでもいいけど、ただこのゲームがそういうルールでできてるんだって!本当にイライラする- あ?]


チェス盤を挟んで一生懸命怒っていた顔がハッと振り返る。


ジオにもとても見慣れた顔だ。


何よりも、忘れようにも忘れられない…あの真夏の野バラのように強烈な赤い長髪!


記憶とは異なり女性型だったが、確信した。


ジオはぼんやりとした声で呼んだ。


「クロウリー?」


お、お前がなんでそこにいるんだ?!


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