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441話

「しかし、この惑星のレベルが非常にひどくて劣悪だということは既に把握済みだ。この身の要求はお前たち未開人が遂行できるほど非常に簡単だ。」


羞恥心に誰かが魂を失おうが、テロリストの脅迫は止まらず続いた。


「聞くところによると、集合官がいる「最初の海」に行くには、教皇を生贄に捧げるか、枢機卿級のスティグマ13個が必要だとか……。野蛮な文明の中で育ったお前たち未開人とは異なり、高度に発達した先進文明で魔法という宇宙史上最も偉大で美しい学問を磨き上げてきたこの身としては、お前たちには幸いにも不必要な虐殺のような教養のないことには時間を奪われる趣味がないので-」



「ところで、このテロリスト……ちょっと口数が多くないか?」


「こ、こんなに口数の多い奴、フック・ジョーの手配書以来初めて見た!」



「……」


「6時間。たった6時間だけやる。その間にスティグマ13個をこの身に捧げろ。ああ、なぜ6なのか気になるって?」


「いや……」


「そんなことない……!」


「そりゃ6が世界で最も完璧な数字だからだ。無数の自然数の中で6は、自分自身以外の約数の和が自分と等しくなる最初の完全数で、数学的にこのような性質を持つ数がどれほど珍しいか、その希少性について考えると神秘的としか言いようがないのに、完全数はその後も28、496、8128、など現在までに50個以上が発見されているが、1+2+3の場合にも、1x2x3の場合にも自分自身になる自然数は6が唯一であり、またちなみにこの6は太初の神秘の数字でもあり、調和と平衡を意味するので魔法陣学でも最も基本となる-」





これはいったいどういうことだ?


「誰か、どうかあのクソ野郎を止めてくれ……」


「教皇が捕まったのに、なぜ苦痛は俺たちが受けるんだ?!」


誰も聞いてないのに一人で急に興奮して息もつかずにまくし立てる様子は、まさしくオタク。


あの演説に耳を傾けているのは、同じ袋の出の者たちだけだった。


我を忘れて没頭したジオがしきりに頷いた。


「うんうん。その通りだ。6は美しい。」


「ちょっと、教皇?!よくも!今この惑星のどこでも聞けない貴重な知識を分けてやっているのに、居眠りするとは!」


「く、黒海の者たちよ、助けてくれ!この宇宙人が私の高貴な精神を汚染し- うわああ!」


「ちっ。惑星のレベルときたら……!あまりにも未開すぎて教えがいもないな。」


「ジョー様!お兄様!」


幽霊船からホン・ダルヤがやってきたのはその時。



船員数名と共に軽く甲板に着地したホン・ダルヤが、急いで駆け寄って何かを差し出した。


サマリアの海賊たちがたちまち驚愕した。


「こ、これは『海のオルゴール』じゃないか?」


「上層邸宅3軒分の価値があるのに!あんな高いものを!」


「高いのが問題か?神官たちが海賊には絶対に売らないものなのに、どうやって手に入れたんだ!」


あれこれと騒いでいるが、ジオが見るには、ただの携帯テレビだった。



海賊たちがいつもラジオばかり持ち歩いていると思ったら、映像装置の方は神官たちががっちり握って独占しているようだ。


貝殻の形をしたオルゴールの中から映像が流れてきた。


「とにかく、再び本題に戻ろう。」


よろめいている老人を跪かせ、その後ろに傲慢に足を組んで座っている眼鏡男。


良く言えばインテリで繊細な印象。


もっと正直に言えば、誰が見ても一癖ありそうな…………… 卑怯でいやらしい面相は否定の余地なくチョン・ヒドだった。



「妥協案はない。6時間以内にスティグマ13個をここに持ってこい。6時間が過ぎれば教皇はサメの餌行きだ。」


自分がいる場所を見せるように、チョン・ヒドが貝殻オルゴールを持って一周ウォーキングした。


強い風と打ち寄せる波の音。


「あそこは……!」


「知ってるところか?」


サルバが硬い顔で頷いた。


偽りの子らが踊るところ。


眠れる父が待つところ……。




「大聖戦前の海、「揺れる祭壇」だ。」


1階の海の真ん中に一人そびえ立つ波の形象の巨岩。


空に届きそうなほど途方もない高さのおかげで、悪夜がいる場所と繋がっているという伝説が流れた。


主に祭祀を行う場所であるだけに、教皇や聖遺物なしには近づきにくいが、ちょうど両方とも既にあの中にあるというわけだ。



ホン・ヘヤが舌打ちした。


「あそこなら鉄壁だから、飛行船も近づきにくい。魔法使いだけあって、要塞の選び方はすごいな。」


「ひょっとして数に物を言わせて襲いかかろうと考えている間抜けがいるなら、考え直した方がいいぞ。我々魔法使いは。」


いつの間にか画面にぴったりと近づいたチョン・ヒド。



眼鏡越しに魔力回路が光る彼の目は、非人間的に冷酷だった。


「戦場に立つ瞬間から人を「数字」として計算するからな。」




ゴクリ。


誰かが唾を飲み込む音が響いた。



「まあ、お前たちにとっても損な取引ではないはずだ。私の言葉に立派に従うなら、相応の報酬が与えられるだろう。先進知識、上等級魔石、宝物……適切な合意を経て、望むだけ与えよう。もちろん偉大な魔術師王にも報告する予定だから、家門代々の栄光としてもいいぞ。」


「クソ、そんな報告いらねえよ……!」


雰囲気を掴んだと思ったら、でたらめを言ったり。


ジョーカーに匹敵する腰巾着の忠誠心に、ジオが嘆息と痛恨の汗をダラダラ流す刹那。



「ジョー様!これもご覧になった方がいいです。」


片方で部下と深刻な顔で囁いていたホン・ダルヤが、オルゴールをもう一つ差し出してきた。


「偉大な暗黒の海の者たちよ!あの悪魔の誘惑に乗ってはならない!」



聖戦の反撃、枢機卿登場。


オルゴールの画面の中で、華麗な法服を着飾った老人が熱弁を振るっていた。


「「魔術師王」という名前を聞くだけで、傲慢で凶悪極まりない巨悪の忠僕がほざく言葉に耳を傾ける者がいるか!これは我々が常に警戒していた外界の侵略であり、我々の世界の根幹を揺るがす絶体絶命の危機だ!」


事実、国の危機というよりは枢機卿たちの危機だった。


神官たちに刻まれたスティグマは分離できるが、剥がすと同時に聖力をすべて喪失する。


下手をすれば頭の回転が速い誰かが「教皇よりは枢機卿をすげ替えた方がマシじゃないか?」などと言い出したら、人生を棒に振る危機。



激昂してむせび泣く枢機卿の訴えかける力が並外れていた。


「触れたことのない外界の知識を流すふり、金銀財宝を約束するふりをして囁くあの偽りの誘惑に惑わされるな!我々が弱まった隙を狙って、あの悪魔は我々の魂を奪い、奈落の底に突き落とすだろう!」


枢機卿側の世論工作を確認したのか、チョン・ヒドもリアルタイムで反撃し始めた。


「ふっ。魔法使いに世論戦を仕掛けてくるとは、愚かな…………… 見るところ、さっき少し漏らした完全数の魅力にハマった方々がいるようだな。…………ふむ。黒海の皆さん。実はさっきまで私が傲慢に振る舞っていたのはテストでした。一種の衝撃療法とでも言いましょうか。びっくりしましたか?」


「な、何を言ってるんだ。ヒドン。」


魔術師王も驚愕する超スピードでの態度転換。



「むやみに触れることができず、お金を出しても買えない先進知識を、何の資格もない者たちに伝授することはできないでしょう?しかし、皆さんは…………おめでとうございます。合格です。」


「な、何を合格したんだ!」


「そんなテスト誰も受けてないぞ!」


「否定しないでください。気づいていないだけで、知識は既にあなたのそばに近づいています。あの枢機卿と神殿こそが、無限のあなたの可能性を阻む障害物です。これまで彼らがあなたたちをどれだけ抑圧してきたことか?!私が完全数というこの美しい神秘を解くのにも、教皇というやつが居眠りしていたのを見てください。こんな野蛮な者たちが一体何を知っているというのでしょう!」



しかし、大丈夫です。


もう皆さんには私がいますから。


穏やかで奥ゆかしい顔で、チョン・ヒドが画面に向かって腕を伸ばした。


「私の手を握ってください。私は知識的飢餓を感じていた皆さんを救うために、先進文明からやってきた善良な知識人魔法使いです。」


「な、なんだ!掴みたい!」


「急にものすごく頼もしくなってきた!」


ざわめく海賊たちの中で、ホン・ダルヤが思わず感嘆の声を上げた。


「すごい、鳥肌が立つ……!」


「……え?」


「この海はですね。学問的に非常に脆弱なんです。陸地は狭く、海は分断されている上に、不足している資料まで聖戦が独占しているせいで、学者や知識人たちはいつも飢えているしかないんです。だから魔法使いもすごく珍しくて。でも完全数という概念を自然に流しながら、一気に彼らを包容してしまうなんせて……!」


どう考えても波紋がすごいことになるだろうと、ホン・ダルヤが肩をぶるぶる震わせた。


「チョン・ヒドという方……天才たちの攻略プレイってこういうものなのね。一体どこまで先を見越してこんな盤を組んだんでしょう?」



「あ、違うよ……!」


「ダルヤ、そうじゃない……!」


チョン・ヒドをよく知るジオとホン・ヘヤが、声もなく両腕を慌てて振ったが、海賊たちとホン・ダルヤは既にオルゴールの誘惑にすっかりハマった後。



世論戦で押されてしまった枢機卿は、いつの間にか鶏の糞のような涙をポロポロこぼしていた。


「う、我々黒海は偉大だ!天人共に怒るべき宇宙人侵略者の不当な要求に絶対に屈しないぞ!」


「皆さん、見てください。私の要求は極めて人道的で合理的です。皆さんに新世界を開いてあげるためには、この海の支配者である集合官様と会わなければなりません。私の能力で教皇聖下を殺したり、強制的に彼らのスティグマを奪うこともできますが、私はそうしません!なぜかって?私は平和的で善良な知識人魔法使いだから!我々優雅な知識人たちは、そんな暴力的な方式を追求しないから!戦争反対!暴力反対!」




「クークー!クークークックー!」


その間に魔法で呼び出したのか、真っ白な鳩までヒラヒラと飛び回るチョン・ヒド側の平和な風景に、枢機卿はひっくり返った。



「い、いい加減にしろおおおお!」


「あの無道な外界の悪魔が何をほざこうと、父の最初の子である聖下が、あの手中に捕らえられて苦しめられているという事実は変わらない!したがってこれは単純な戦争ではなく、聖戦だ!」


ドーン!



真っ赤になった顔で枢機卿が演壇を強く叩いた。


「神聖な聖戦だ!偉大な父を思え、子らよ!断固として宣言する。父が見守っている限り、我々はどんな外界の力にも征服されない!海の誇りと神聖な使命を抱いて悪に向かって前進せよ、暗黒の海の子らよ!打倒魔(術師)王!打倒サリエリ!」



「うおおおお!打倒魔王!打倒サリエリ!」


「いや、ちょっと待って?術師はなぜ急に無音処理してんだよ。」


「打倒?よくも我が魔王様を打倒するなどと!この生意気な未開人どもがよくも!来れるものなら来てみろ!火の雨を降らせてやる!」


「お前がそう言うと、本当に魔王とその手下みたいじゃないか、このヒドン野郎……」



はあ、また魔王になっちまった……


しょんぼりしているジオの横で、ホン・ヘヤが深刻な表情で顎を撫でた。



「聖戦宣布なら神殿戦力が総動員すると見るべきだろうけど、それならスケールがかなり……これは何としても隊長と早く合流しなければ-」



しかし。


トローリングはまだ終わっていなかった。


「ああ、そうだ。これを忘れるところだった。」




「ひょっとして後発隊とタイミングが重なるかもしれないから。この方々に会うことになったら、手厚く待遇するように。その功績は別途計算してやるから。キョン・ジロク。ペク・ドヒョン。ホン・ヘヤ。ホン・ダルヤ。偉大な魔術師王キョン・ジオ様と私の仲間たちです。以上。」


「……」


「……」


「……」


ポツン。


爽やかに途切れた貝殻オルゴールを持って、ぼうぜんと立ち尽くす3人の地球人。


静寂の中でホン・ダルヤが呟いた。


「……どうしましょう?」


☆☆☆


同じ時刻。


大聖戦、地下水路。


「……」


「……」



地下までガンガン響いていたチョン・ヒドの声がピタリと止まる。


脱出するために労働者たちと取引中だったペク・ドヒョンの手が固まった。


コグ船を譲ろうと整理していた労働者たちも一斉に固まった。


ギシギシとお互いを見つめ合う揺れる眼差し……。


横でボロを被っていたキョン・ジロクが、遠い天井を見上げた。


「…ナイスサポート。」


ありがたくて死にそうだ。


今度から魔塔の引きこもりどもを攻略隊に入れるもんか……


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