44話
* * *
ご存知のとおり、この界隈の興宣大院君こと、英語9等級の浪人生キングジオが、そのすべての英語を理解することなど絶対不可能だった。
ペラペラ。どうのこうの、うんぬんかんぬん。
こいつら、なぜ韓国の地で外国語を使って騒いでいるんだ?
と、チベットスナギツのような表情を浮かべていたところに、キョン・グミの形勢逆転の一言が飛び出した。
「お、お星さま!見た?う、うちのグミが英語を……!」
ひええっ。
目を開けた盲人のように驚愕するのも束の間。
……英語ってこんなに聞き心地の良い言語だったっけ?
あの子、ネイティブじゃない?わ、やばい。最高、キョン・グミ。うちのグミの英語の声、マジやばい。イケてる。
まるで英語幼稚園でネイティブと会話する末っ子を見る親のような心境で、心の中でスタンディングオベーションをしながら見物していたキョン・ジオ。
状況がどうなっているのか把握もできず、的外れなことばかり言っているその愚か者の様子を見ているのが、とても気の毒で。
【あなたの聖約星、『運命を読む者』様がリアルタイム同時通訳に入ります。】
この界隈のおバカな妹大好きお兄様、登場。
そして、そうなった経緯により。
「聞くところによると、このカードは限度額がないらしい。」
当然の成り行きで、事態を把握したシスコン様は目が血走った。
他人のカード?返せばいいじゃないか。
イージス?踏み潰してやればいいじゃないか。
「グミ、欲しいものを全部選んで。」
「え……お姉ちゃん、どうしたの?」
「イムのおじさん、あの子を連れて歩きながら、気に入ったものがあればそのまま買い物かごに全部入れといて。おじさんの機転は使えるから。」
「わ、マジかよ。」
イム・サンインは気絶したい心境だった。
これは宝くじレベルじゃない。比べることすらできない。
「あ。あの子がさっき触ったものも全部決済して。」
「わ、マジかよ、お姉さん。」
それこそ恍惚境。爆撃のように降り注ぐ実績に失神。
一か八かだと思ってオールインしたけれど。
まさかここで「デカゴン」のブラックカードが出てくるとは、誰が想像しただろうか?
中立国スイスに本店を置く国際金融企業、デカゴン。
世界有数の覚醒者たちと深く連携したこの金融企業は、最高の顧客だけをもてなすというモットーの下、現在までに彼らの名前で発行したブラックカードはわずか11枚。
別名「ディ・インペラトール・ブラック」。
世の中のことは知っているだけ見えるものだ。
VVIPハンター顧客をもてなすというショッパーたちが、この意味を知らないはずがなかった。
「誰かは知らないが、この姉妹の背後にはワールドクラスの大物がいるんだ!」
世界で指折りの名前が、素早く脳裏をよぎった。
魔術師王、神の子、伝道師、冬の枝、ホ・ヘ公主などなど……
天朝国から「神の子」が直接来ればまだしも、その配下の雑魚などが太刀打ちできるような名前ではなかった。
ちらっと見たキム・デガンの顔色は、すでに真っ青になって久しい。
店内にゴールデンベルが鳴ったという知らせを聞き、チーム長クラスの人々まで素早く飛び出してきていた。
あちらのチーム長のヒステリーは尋常じゃないと記憶しているが……どれだけ怒られることか。
ざまあみろ。
馬鹿みたいに笑わないように、イム・サンインは口の中の肉をぎゅっと噛み締めなければならなかった。
逆観光の醍醐味に、鳥肌が立つ気分だった。
【本当に……太っ腹なのか、ケチなのか分からないと言いながら、『運命を読む者』様が顎を支えます。】
【腹いせに億単位で過剰消費するこの短気な高揚を、一体誰が連れて行くのだろうか、あーあ。あ?あちらの銀河に住む宇宙最強のお星さま、くらいじゃないと連れて行けないだろうと言いながら、首を横に振ります。】
「ちょっと通訳してあげただけで調子に乗って。」
【あなたの聖約星、『運命を読む者』様が、もともと勢いとは乗った時に押し進めるものだと言いながら、ふんぞり返ります。】
「いいから、これを見て、お星さま。」
ジオはぼんやりと陳列棚の中を覗き込んだ。
さっきグミについて回っていた時に見つけて、目を付けておいたアイテムだった。
あらゆる名品を揃えたトリニティ館だが、ジオの視線を惹きつけたのは唯一これだけ。
「どうせお金を使うと決めたんだから、これも買っちゃおうかな?うん?この中ではまだ役に立ちそうだけど。」
【聖約星、『運命を読む者』様がアイテム情報を読んであげようかと尋ねます。】
「うん。私、ここで魔力を使うのはちょっと気が引けるじゃん。」
【それなら『にいに、ジオに情報下さい』と言えばしてあげると取引を持ちかけます。】
「……」
はあ……契約破棄。
こんなことなら、ジオ、ひとりで生きる。
【冗談も言えないのか。】
【気難しいな。】
けだるい笑みがジオの耳元をかすめて消える。一瞬、風のようだった。
「アイテムを読んでくれとドアを開けておいたのに……」
少し開いたと見るや否や、立ち寄っていく。
星の盟約の証であり、星と繋がった魂の扉。
「星痕」の開門は、いくら優れた覚醒者でも勝手に扱える領域ではなかった。
お星様の話によると、魂の成熟度のせいだとか何とか?
とにかくキョン・ジオとしても簡単ではないことなので、勝手にスパスパと「強制開門」してくる彼とは異なり、こちらではドアの隙間を少し開けるのがやっと。
もちろん、それさえも長く維持することは不可能。
今のようにお星様が立ち寄ると特にそうだった。
「くすぐったい。」
ジオは耳たぶをいじった。
息遣いの混じった笑い声。かすめていった感覚と彼の圧倒的な存在感。
残像が濃い。
本当に一瞬に過ぎないのに、毎回そうだった。
「この変態が本当に。似合わないくせに声だけはめちゃくちゃ良いんだから。」
そして、悪いことをしたと分かっているのか、すぐにアイテム情報ウィンドウが浮かび上がる。
虚空を一度睨みつけたジオがウィンドウを確認した。
ウィンドウは二つだった。
十
▶(封印された)名もなき神の三戒名(希少)
▷分類:シナリオアイテム
▷使用制限:なし
━名もなき古代神の装身具。着用時に敵からユーザーを加護する。
━潜在能力が封印されています。
十
▶聖なる者との三戒名(神話)
▷分類:シナリオアイテム
▷使用制限:着用と同時に帰属、取引不可、インベントリ保管不可
━神話時代から伝わる古代神のネックレス。聖なる者イワが自ら刻んだ三戒名が込められており。三つに分離可能。
━古代神イワは三つ子の長男として生まれました。
「最後の戦争」で兄弟たちを守るために、彼自ら誓った三戒名。この三戒名に従い、彼ら兄弟は同じ日に栄光ある死を迎えました。
一。汝は我として、我は汝として思え。
二。互いを危機と苦難から守り。
三。死を前にしても決して目を背けるな。
▷主な効果:最初の帰属者がセカンド、サードユーザー指定可能。
アイテム活性化時に「三戒名」により帰属者間(1)状態確認可能/(2)位置共有可能/(3)破損時。最初の帰属者即時召喚。(2回復旧可能)
▷付加オプション:聖霊と栄光の恩寵。不屈の意志。生命力増加。
……
「……マジかよ。」
や、や、やったああああ!
咳をするふりをして、ジオは急いで頭を下げて目をぎゅっと押さえた。両目が飛び出してきそうだったからだ。
「ポーカーフェイス。キョン・ジオ、ポーカーフェイス。」
あ、いや一体。これは何だ!
バベルの塔でもないのに、何で江南のど真ん中のデパートでシナリオアイテム、それも神話級が。
【それ見たことかと言いながら、にいにと一回くらい言ってくれても損はなかったのにと『運命を読む者』様がぼやきます。】
聖約星が何か言っているようだが、全く聞こえない。
ジオは信じられなくて、再び情報ウィンドウと「聖なる者との三戒名」を交互に見た。
見ても、見ても本当に……
「こんなみすぼらしい場所にこんな貴重な方が。」
良心もなく醜悪な大企業の奴ら。
うちの(三)戒名様をこんな冷たい陳列棚に放置していたなんて?
「(三)戒名様。ちょっとだけ待ってて。ゴッドジオが助けてあげるから!」
「何か問題でも?」
「え、い、いや、ないよ。?」
名前:ワールドトップ キョン・ジオ。
特徴:嘘が下手くそ。
盛大にミスった後。
誰が見ても問題ありそうな顔のジオが、ぎこちなく陳列棚に寄りかかった。
何食わぬ顔で咳払いをして、そのまま振り返った……
「何だよクソ。」
「人の面前に向かって悪態をつくとは。」
「まだ消えないんですか?いや、それよりこの流暢な韓国語は何?韓国語弁論大会に出てきた龍山区の在韓米軍か。」
ゴッドアイテムを拝謁した衝撃も少し忘れるほどの驚くべき韓国語の実力。
腕組みをしたルーカス・マロンが、そっけなく答えた。
「面倒な状況を避けるために使わなかっただけだ。イージスのTOPチームにとって韓国語は基本素養だ。隊長は『ジョー』オタクで名誉韓国人だし、支援チームのチーム長は全羅道出身の海兵隊の男だからな。」
「……何だ?この唐突で、慣れない中で感じる途方もない親近感は……」
「韓国語が上手な外国人が『ジョー』と全羅道、海兵隊に言及すれば、ほとんど同じ反応だから大丈夫だ。」
「……ドッキリカメラか?」
「それもまた大多数の韓国人の反応だが、違う。レパートリーを少し変えられないのか?」
だから韓国人の前では韓国語はあまり使わないんだ。
まあ、残念なのはこちらだから仕方ない。ルーカスが目を細めた。
「わざわざしなくてもいい韓国語まで使ったのは、君に直接聞きたいことがあってだ。」
「聞きません。消えてください。」
「聞く。性質の悪さはさっきの件で十分に償ったと思うが。私が原因ではあるが、おかげで私は私のベストセッティングを失った。ハンターにとって主武器がどんな意味を持つか知っているだろう。」
うむ。それは正論。
ジオは冷たく背を向けていた体を少しだけ再び向けた。言ってみたらどうだ、という意味だった。
読みやすいコリアンを見てため息をつくのも束の間。
ルーカス・マロンはすぐに硬い顔で尋ねた。お前。
「銀獅子……いや、正確には銀獅子の『虎』、彼とどういう関係だ?」




