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424話

[考えてみろ。]


バハムートが言った。


[私の領地まで水路を開通させるのに協力しただけでも、本館は星座に対して道理を尽くしたと思わないか?]


返事がない。


どうやら無視されているようだ。


バハムートが再び腹を立てて言った。


[その人間どもの昇天が目標なんだろう!昇天するにはそれ相応の功績値が必要なのを知らないのか?必須割り当て量というものがあるんだ。こっちが勝手に課題の難易度を下げたら、どうせ世界律から認めてもらえないぞ!]



【それでもやる。】


世界を勝手に壊して操作することに慣れている太古の悪魔が、気乗りしない様子で応じた。


【時間がないんだ。】



【星座が危険になる前に、キョン・ジロクは天に昇らなければならないのだ。】


[だから、それが本館の勝手に変えていいものではないと言ってるんだ!お前は太古の昔のものなのに、どうして本館より星系の事情を知らないんだ!]


もはや聞くふりもしない。


せっかく見ていたバハムートが諦めた。


[本館は知らない……………本当に知らない?定められた水路を開通させただけでもすでに警告ものなのに、課題の難易度まで変更したら………ペナルティはその方が全部負担すると言った?全部お前に押し付けた?]


【そうしろ。大したことじゃない。】


[違うのに………… 大したことあるはずなのに…………]


バハムートが疑わしげに目を細めた。


[それよりお前、その取るに足らない体で星間通過なんかできるのか?別に考えていることがあるんだろう?]


【何をくだらないことを言っているんだ。】


[そっちも星座も、超越格以上は持ち込めないだろう。せいぜい人間の体で大丈夫なのかと。]


【・・・・・・】


【……………なぜ急に話がそんな方向に進むんだ?貴様、何をした?】


[何が?]


【なぜ超越格以上は持ち込めないんだ。】


[…………?強いて言えば、これ不法入国じゃないのか?それ以上の格を持ち込むには[降臨]か[顕現]だ。そっちがこっそり進めろと言ったんだろう?]


【この間抜け。他の集合官たちに知らせるなと言ったんだ。昇天課題に不正をしたことが知られて良いことなど何もないからだ!それならお前たちサーバー管理者に、入国報告もしていないのか?星座はともかく、[外のもの]である俺を?】


[うん!してないけど?]


【くそ。】


[本館はそれがそういう意味だとは知らなかった。説明もまともにしないで脅迫したのが誰- お、おお?これはどうした?なぜそっちを敵と認識する- おい!]


【……………間抜けなやつ。】


[お、おい!全知の悪魔!!!]


ハッ••••


「大変なことになった……………。」







ああ、桃花殺、たまらない•••••


息をするだけで奴隷がゴロゴロ転がり込んでくるキングジオの運勢、一体どうなってるの?


「パク女史、この黒幕おばさんの長女の運勢に一体何をしたんだ。」


ひどく気が滅入ったジオが、地面がへこむほどため息をついた。


「••いや、クソ。そのため息は何だ?おい!まともな人間の運勢を台無しにしたのはそっちなのに、露骨に運を踏んだみたいなその表情は何なんだよ、今。」



未開な海賊がテーブルをバンバン叩いた。


未開で野蛮な海賊らしく、言葉遣いも非常に未開だった。


ていっ…ちっちっ、惑星のレベルときたら。


集合官からして年を食って子供の真似事をする変態だと気づくべきだった。


見えるものといえば、一面真っ黒な水しかないこの水浸しの惑星は、地球ではとっくに絶滅した海賊たちが幅を利かせている場所だった。


到着するやいなや、いかだに乗って水にぷかぷか浮いていたジオを助け出したのも海賊。


ご飯をあげると言って、善良で純粋な地球人を騙して丸ごと奴隷商人に売り飛ばしたのも海賊。


ちゃんとしつけをしていたら、目の前にいきなり割り込んできて、いきなり星座の奴隷としてロトに当選したやつも海賊。



狂ったのかと叫んだかと思えば、泣く泣く「ご主人様」を300万貫で購入した奴隷のやつも海賊。


エブリバディ海賊•••••


「海賊ゲシュタルト崩壊しそう。」


ジオは、その中でも臭いが一番マシな海賊だったニュー奴隷男を、上から下までじろじろ見た。


「は?どこで男の値踏みをしてるんだ、この度胸のないやつが。」


ニュー奴隷男が目をむく。



『7-A:世界観最強者に選ばれて恩恵を授かったことも知らず、この向こう見ずな原住民のやつがよくもまあ••••••!』


『バベル:削除してしまいましょう』



おっと、シーッ。我慢しろ。


我慢して、むやみに人を削除したりするんじゃない。


こいつら、どうしてこんな性格になったんだ?



近所中に恥ずかしくて、星座の腰巾着だと連れて歩けるか?


「ところで、お前ら、私が言いつけたことは全部やってから騒いでるんだよな?」


持っているのは忠誠心だけという太鼓持ちたちが、既読無視の沈黙で返事の代わりにした。


無能そのもの・・・。





星間を渡って黒海に到着してから約2日。


キョン・ジオは、海の上で目を開けたその瞬間、すぐに悟った。


「え。何、クソ。また弱体化されてる?」


前回、暴走まで行った後遺症で、もともと弱っていた状態だったのに、星座関連の権限まで全部遮断されていた。


今すぐ運用可能な力は•••·••以前の覚醒者、キョン・ジオ時代の「魔術師王」程度?


もちろん、それだけでも世界観最強者級な上に、どうせ今回はバンビの課題に大人しくサポートだけしてあげるつもりで来たんだから。


そこまでは気が進まなくても理解はできる。



ところが。


「・・・?天文はどこに行ったんだ?バンビと連絡が全然つかないのはどうしてだ?お星様はまたどこに行ったんだ?おい、バハムート!このメイド奴隷のやつ、どこに逃げたんだ?」


世界を渡ってきた星間ハブでは、ランカーチャンネルを通じたコミュニケーションが不可能だ。


以前、「魔の9区間」で通信不能になったのと同じ理由。



それでもヤメ天文があるから、バンビと星様くらいはすぐに連絡がつくと思っていたのに••••••。


「バベル。状況を報告する。実施」



『実施。最高管理者!どういうわけか、現在、最高管理者の身分が不法入国者として登録されているため、バベルも把握するのが難しい状態です。』



バベルは星座の右腕サポーターだ。


ワンチームも同然なので、キョン・ジオが制限される分、バベルも制限されるのは当然。



「何言ってるんだ。ただ順番を繰り上げただけだと言っただろう?なぜ不法入国者なんだ?」


『集合官の方で何か手違いがあったようですが。もちろん、バベルが強制的に権限を解除すれば済むことではありますが・・・・・・そうすると、最高管理者が露出して課題にも多少影響が出るかもしれません。どうしますか?』


「ふむ・・・・・・とりあえず、放っておいてくれ。めちゃくちゃに暴れに来たわけでもないし。」


『わかりました。それでは一旦保留します。』



「バンビと他のやつらの位置を早く探してくれ。不法入国者なら入場時間もめちゃくちゃになっているはずだ。はあ...バハムート、この地図音痴のやつ、お前は帰ったら絶対に激辛ブルダック炒め麺の刑だ」



チーズトッピングは夢にも見るな。この野郎。


「ところで••••••キョウルは?私の「キョウル」はどこに行ったんだ?声の出演もないのはどうしてだ?」


小指をちょいちょいと振る星座の顔は、平然としているように見えても少しイカれていた。


バベルは慌てて答えた。



『は、把握中です。格が全く感じられないところを見ると、何か身上に問題が生じた••••• あ、違います!バベルが失言しました!できるだけ早く調べてみます!』




それからすでに2日が経った。


相変わらず音沙汰なしだ。


バベルが権限もなく一人では大変だと、しきりに泣き言を言うので、ジオの専属侍従としてくくられているチライまでこっそり渡ってきた状態。



「どこにいるんだ、一体。」


「はあ。」


「副船長・・・・・・副船長の炎のカリスマが全く通用していないようですが?どこで犬が吠えているのかレベルでもなく、副船長の存在自体が無視されているようですが・・・」


「あ、あんなに面と向かって無視するのが上手い女は初めて見た。やっぱりあのくらいじゃないと、うちの兄貴のご主人様は務まらない…?」


「何を言ってるんだ、この狂ったやつら!」



カーン!


荒々しくテーブルの脚を蹴り上げたサルバの首筋がピクッと立った。


団員たちの口を噤ませた彼が、精一杯我慢する表情で再びジオを振り返った。


「おい、お前。人が助けてやったんだから、感謝の言葉までは言わなくても誠意は見せるべきだろう。聞くふりもしないのか?お前、俺がいなかったら、そこでそのまま神殿行きだったんだぞ?」


「ええ······。海賊対神殿なら、誰が見ても神殿の方が善良な方じゃない?」


海賊たちがざわめいた。



「それは••••••正直そうだな•••••?」


「俺が見ても、海賊よりは神官に捕まる方が••。」


「クソ、何を説得されてるんだ?!」


勝手に喧嘩させておいて、ジオはつまらなそうに視線をそらした。



がらんとした酒場の中、首根っこを掴み合っている海賊たちの方へ、誰かが走ってきていた。


わかめのような緑色の髪をなびかせてくる男、片手にはティンカーベルが入った鳥かごを持っている。


「副船長!」



息を切らして駆け寄ってきたピーターが、慌てて言葉をまくしたてた。


「2番埠頭に神官たちが集まってきています!マーキュリーを探しているそうです!やつら、どうやら噂を聞きつけたみたいです!?」


「………………こんなクソ。」


サルバがため息をついた。エイリアン奴隷と口論している場合ではなかった。


「今日、ダメージジーンズを履くべきじゃなかった。」


父である悪神を祀る聖戦の主導のもと、奴隷制が盛んな第13星間黒層海。


素肌に触れるだけで奴隷の烙印が押される神聖スタンプが存在するこの世界で、ためらいなく露出する人はたった2種類だけだ。


世界観の頂点に位置する権力者たち。


または。


すでに烙印を押された世界観の底辺の奴隷たち。


サルバのように多額の懸賞金がかけられた海賊の場合には、特に注意しなければならなかったのに、しょぼい下層海だと油断していた。


「どうしますか?思ったより早いですね。兄貴に「烙印」が押されたという話が、もう広まっているようです。」


「とりあえず2番埠頭は捨てる。わざわざ快速船を探さずに、上層海へ行く船の中で一番速いものを手配しろ。他の海賊船でも構わないから。」


「イエッサー!」


「女は?あの女はどうするんです?兄貴が女を連れて歩いていたら、噂の「ご主人様」だということにみんな気づくでしょう。」


「そうだ、普段から連れ回っていればまだしも、その面構えにその下半身で似合わず綺麗好きだから、神官どもにまで女を選ぶという噂が広まるんだ!」


「すぐにでも隠すべきじゃないですか?烙印の持ち主だと知られたら、異端審問官たちが最優先で狙ってくるのは明らかじゃないですか!」


「くそ。うるさいからみんな黙ってろ!」


サルバはぎゅっと歯を食いしばった。


こんなに堂々と自分の話をされているのに、何とも思っていないかのように、つまらなそうな表情をしているのが本当に憎らしい。



「おい。」


「何。」


「なぜだ?クソ、なぜ呼ぶと思うんだ?お前、エイリアンだと言ったな。」


「あんたがエイリアンでしょう。私は地球人よ。」


「•••本当に話が通じないな、こいつ。いいから、少し協力しろ。お前のせいで300万貫も使ったんだから、飯代くらいは払わないと。」



「おい。」


「お前、俺に「おい」と言ったのか、今?」



ふむ..新鮮ではあるな。


こんなに遠慮なく逆らってくるやつは本当に久しぶりなので新鮮だ。


キョン・ジオは軽く笑った。


「そうか。おい、ほどほどにしておけ。そろそろつまらないぞ。尻尾を振って媚びへつらうなら、見てやってもいいかなと思ったのに。」


「何だと?は、何を見てやるんだ?」


「わからないのか?見積もりは全部終わったと言ったんだ。」



一体何のことだ。


サルバが眉をひどくしかめるが。


「あんた、私がいなかったらどうにもならないんじゃないの?」


「....何?」


「見たところ、その奴隷の判子、消すなり何なり、空のように偉いこの「ご主人様」の同意が必要みたいだけど。違うか?」


「......」


サルバと海賊たちがいつの間にか静かになった。




おかげで、寄りかかったジオがテーブルの上に足をドン!と乗せる音が大きく響いた。


片手ではスタンプを高く投げたり受け取ったりする。


その傲慢で余裕のある動作が続くたびに、サルバの眼差しが嵐に遭った船のように揺れた。



「私が今これを持って神官たちのところへ行ったら、あんたはどうにもならなくなるんじゃないか?神殿奴隷とかそんなの?それとも海賊だから······公開処刑?」


「......」


「こっちはこうやって見積もりは全部終わったのに、未開な海賊さんたちは私の見積もりが全く出てこないみたいだな。」



目があれば一目瞭然だろうに。


「この方に脅迫や懐柔のようなことは、とてもじゃないけどできないだろうな•••本気でこれがわからないのか?」


「......」



サルバがじっとこちらを見つめる。浅葱色のその視線が、海底の火山のように赤々と燃えていた。


「何と言ったっけ。」



絶対に折れないマーキュリー?


運もとことんないな。


こっちは折る専門だ。


初対面なので、韓国人の情でまず気勢をそいでから始めてみようか。


ジオは失笑しながら顎をしゃくった。


「何してるんだ、奴隷。」


「......」


「わかったらご主人様と復唱して這いつくばれ。」


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