415話
そりゃあ、彼らの立場からすれば、目の前で死んだ人が生き返ったんだからね。
最後に記憶している場面が、キョン・ジオ_灰粉化_エンディング.vide0だろうから、当然と言えば当然のこと。
ナ・ジョヨンの時点では、まさしくイエス再臨だった。
「ジオ様、はぁ、フウウ•••スッ、ジオ様、フウウ……」
「あの、この女は何を嗅いでいるんだ。」
実はジョーの追従者はいくらでもいる。
ペク・ドヒョンやファン・ホン、チャン・イルヒョンなども、個人差はあるだろうが、すべて追従者カテゴリーに属する人々。
しかし、中でもナ・ジョヨンは、群鶏一鶴の過激急進派狂信者…!
キョン・ジオを生ける神として崇め、威信を傷つける奴らには松明を振りかざし、刀で切り裂き、呪いを浴びせる狂信者教団のリーダーだ。
薄暗い地下共同で、いかがわしい信者を集めて「信じますか!」と叫んでいた彼女の姿が、目の前にちらつくこの瞬間•••••。
「あの、ジョヨン?」
「は、はい…?!」
ナ・ジョヨンがものすごく衝撃を受けた表情で顔を上げた。天使のような顔に、じわじわと涙が浮かんでくる。
「ジョ、ジョヨンだなんて••?そ、それは誰••?わ、私はドビーです•••!」
でも、あなたはナ・ジョヨンじゃないか・・・・・・一体何を、どんな風に記憶しているんだ?
「…ナ・ドビー。どいて。」
「は~い。」
さんざん楽しんだという顔で、ナ・ジョヨンがおとなしく退いた。
ジオは、気が滅入ってため息を飲み込んだ。
「ヒーラーは、こいつだけなのに。」
おかげで、キョン・ジロク、昇天レイドパーティーには必須メンバーだけどな。
ホン兄妹を交渉した後、すぐ訪ねる次の順番だったし。
「いいですよ。私は好きです!ドビーは準備できました!」
「…いや、何を?」
「え?あ、その、なんだか眼差しが、私を使い倒すおつもりのようなので……」
言葉を失った。
狂信者の輝かしい忠誠心に、卒倒••••••!
ジオは、素早く気を確かにして尋ねた。
「私が何を要求するか分かってるのか?いや、それより、私たち今、初対面だけど?誰も相手にしてくれないけど、一応設定はそうだからね?何事もなかったかのようにストーリーを進めないでくれる?」
「•••ただ信仰によって救われ、少しも疑ってはならない。疑う者は、まるで風に煽られて揺れ動く海の波のようだから-」
「ひっ。」
「ご心配なく、ジオ様。」
ナ・ジョヨンが信心深い微笑みを浮かべた。
トリプルA級ヒーラーが見せる信仰心に、いつの間にか後光まで差していた。
あれは何だ。
病室の中を満たす敬虔な聖なる光に、ジン・キョウル(種族:とりあえず悪魔)がうんざりした顔で一歩後ずさる。
「準備は非常に順調です。お言葉さえいただければ、すぐにそいつを殺してやる、あのクソッタレ、イタリア系アメリカ人の首を切って、すぐに目の前に差し出します——」
「だ、だめ!だめだ!ドビー、止まって!」
何を切るって?
「首を切るって、なぜ。」
「あの傾国の美女のようなマフィアのやつ、それなりに物語のあるクソッタレですよ。なんと4229回も失敗したんだぞ。」
切るなら、あそこの銀灰色の頭を切るのが、正義にはもっと合っているんじゃないか?
やっとすべてを忘れて、ようやく自分の人生を取り戻し、安息を得たやつなのに、放っておいてやる時も来た。切るって何を。
キョン・ジオは••••••ついに屈服した。
「だめだ。これは••••••だめだ!」
絶対に連れて行かなければ。
この神聖な地雷、絶対に脇に抱えて塔に連れて行かなければ、爆発する。
善良な子供ほど怖いというように、ナ・ジョヨンの澄んだ瞳に映る純粋な狂気が、とてもぞっとした。
「…ダルヤ?」
ガシャン!
突然の破裂音に一斉に振り返る視線。
ガシャーン!
突然の破裂音に、一斉に振り返る視線。
「あ、お兄ちゃん!」
「一体どうしたんだ···いや。」
ボサボサ頭に分厚い四角い眼鏡。
慌てた様子がありありと分かるホン・ヘヤが、集まっている覚醒者たちと割れた花瓶の破片を交互に見ながら、ぎこちなく腰をかがめた。
そして、用心深くないその手が、割れた破片に触れる前に。
サアアアッ!
「……!」
時間が巻き戻されるように、逆さまに戻っていく花瓶の破片と水しぶき。
コロコロ…… トン。
床に落ちる花瓶は、いつの間にか傷一つない元の状態だ。花瓶に挿された生花が、みずみずしかった。
ホン・ヘヤは、固まった視線を上げた。
見るべき方向を間違えなかった視線だった。
彼が知る限り、こんな魔法を行える者は決まっているから。
「……」
互いに異なる性質を持つ金色の瞳がぶつかり合い。
「へえ。」
無愛想な感嘆詞と共に、キョン・ジオが失笑した。
これはちょっと意外な展開だな。
「お前。覚えてるんだな?」
「……」
「•••だからナ・ジョヨンがずっと訪ねてくるのも不安だったのに。」
下唇を噛み締めていたホン・ヘヤの顔に、ある感情が素早く宿った。
「今すぐ出て行ってください。」
「お兄ちゃん……!」
「ダル、黙ってろ!そっちがなぜ訪ねてきたのかは分かるけど、また関わる気はない。うちは興味ないから、他の所に行って調べてくれ-」
「お兄ちゃん!!!」
甲高い叫び声が割れた。
ホン・ヘヤがビクッと肩を震わせて振り返った。
おとなしい性格の双子の妹が、こんな大声を出すのはほとんど初めてのことだった。
「ダ、ダルヤ……?」
「やめて!私の客なの!なぜ私の話も聞かずに、お兄ちゃんの勝手に決めるの!」
「ダルヤ…!僕はただ-」
「塔に行くわ。もうそうすることにしたの。」
「…何?」
一体どういうことだ?
蒼白になったホン・ヘヤが、慌てて病床に近づいた。
「今、何を言ってるんだ?気が狂ったのか?その体でどこに行くって言うんだ!お前が塔に、なぜ行くんだ?」
どういうことなのか聞こうとしても、頑なにこちらを見ようとしない顔。
むっとしてホン・ヘヤが、パッとジオを振り返った。
「一体どんな言葉で丸め込んだんだ-!」
「そんなんじゃないわ!ヘヤ!やめて!」
ホン・ダルヤが、慌てて彼の服の裾を掴んだ。
日差しをあまり浴びていない、青白く痩せ細った指が、弱々しく震えていた。
「お兄ちゃん•••••本当に分からないの?私は『この世界』では、どうせ生きられない。私の中の星夜が目覚めたら、取り返しがつかない。」
絞り出すような声が、か細かった。
数々の血の歴史で作り上げられた[世界を見る目]。
ホン家には、その伝説に三人の子供がいる。
滅亡をもたらす三世界の星。
終末を覗き見る三世界の月。
世界を照らす三世界の太陽。
すべての業を背負った星夜が、生贄として滅亡を抱きしめて死んでこそ、残りの兄弟たちが生き残った。
しかし、今回のホン・ダルヤは、星夜なしに生まれたダルヤだった。
死なずに彼女の中に残った「星の目」が、このまま生きて開眼すれば、この地に滅亡が到来する。
大飢饉、疫病、戦争•••••。
どんな形であれ、必ず訪れるだろう。
だからホン・ダルヤの生涯は、その目が開く前に、無事に消えるために必死で死を追いかける旅だった。
「違う!ダルヤ、お前は元気になったじゃないか•••••。もう聖霊草なしでも眠れるし、以前よりずっと-!」
「少し延命しただけだ。」
「……!」
パッと睨みつけるホン・ヘヤの視線に、ジオが無感情に言葉を続けた。
「世界が[復旧]された影響で。」
「……」
「良くなったり、変わったりしたことは何もない。」
星夜がいない以上、ダルヤは死ななければならない。
それが世界の摂理。
時間を巻き戻しても避けられず、星座も変えられない•••••。
雨降る時間が変わって、予定された雨粒をしばらく避けただけだ。降る雨は、どうせ降る。
ホン・ヘヤが、プルプルと唇を震わせて否定した。
「世界眼は僕にある。感じられるんだ。それならダルヤはもう関係ないじゃないか!」
「本当に君にあるの?」
「・・・・・・!」
「違うはずだよ。」
少年が、たじろぎながら後ろに下がった。
笑みなく自分を見る黄金の瞳が、ぞっとした。
「半分しかないじゃないか、君。知らないはずないだろう?」
数分前のことだ。
自分の病室に入ってくるキョン・ジオを、ホン・ダルヤは一目で見抜いた。
対抗できない、この空の上のどんな星よりも至高な存在であることを。
ホン家の少女の目が死んでいないという証拠であり、またホン・ヘヤの[世界眼]が、もし過去のように「完成された形」だったなら、ジオが今まで気づかなかったはずもない。
この双子は、世界眼を共有している最中だった。
それぞれ半分ずつ、未完成の形で。
「お兄ちゃん…………… ヘヤ。」
「・・・・・・」
「塔に道が開いて、もう他の世界に行けるんだって。ステージじゃなくて、本当に『他の世界』………この世界じゃなければ、私も生きられるかもしれない。」
星夜が滅亡をもたらすのは、この地。
ホン家の悲劇が始まった、ただこの地だ。
力なく繋ぐホン・ダルヤの声が、ガタガタと震えた。
「私は、ごめんね。お兄ちゃん。生きられるなら生きたい•••。」
「…お前がなぜ謝るんだ」
初めて聞く双子の妹の本心。
ホン・ヘヤが、惨めになって目をギュッと瞑った。
「•••••でも、それが言うほど簡単なことじゃないんだ、ダルヤ。他の世界で一定期間以上を生きるには[ビザ]が必要だ。」
「ディレクターは例外だって聞いたわ。」
「……」
「ディレクターになればいい。ディレクターは外交官のように、他のパスポートを持つって言うじゃない。」
お前は……ダルヤ、お前は知らないからそんなことを言うんだ。
その席がどれほど世間と隔絶された席なのか。
また、どれほど人を孤立させるのか。
「それがどんなものか、僕がもうよく知っているのに、どうしてお前にそれを・・・・・・!」
[ディレクターパスポートだけが、解決策ではない。]
その時。突然乱入する幼い声。
超越者たちの言語、閉鎖言語だ。
ジン・キョウルの片方の眉がピクリと動いた。
空気を読んで黙っているから、そのまま静かに消えると思っていたのに。
「新しい関種の登場か。」
究極格の一つが、ひねくれた考えをしようがしまいが、自分に集まった視線の中で、悠々と歩いて出てきた漆黒のセーラー服を着た美少年。
そのまま歩いて行ったバハムートが、ジオの手の甲に丁寧に口づけをした。
静かな敬意で。
[星系第13集合官 黒海の父、悪夜バハムート・デバユタ。あなたの忠実な僕として、私の星座、全能なる黄金魔術と全知なる母なる木の皇帝にご挨拶申し上げます。]




