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41話

* * *


最初の道を掛け違えたせいで、色々と手のかかる妹だった。


でも、それだけ良くしてあげたかった。ジオがあの日の幼いグミの眼差しを忘れない限り、きっと一生そうだろう。


リビングのソファに寝そべっているキョン・グミ。大きく広がった長い巻き毛から、まっすぐ伸びた脚まで。


まるでサバンナのメスライオンのような余裕。


17歳とは信じられないカリスマだった。


勢いよく息を切らして 走ってきたのに、いざ見てみると肩が小さくなった。妹の足元にキョン・ジオがそっと近づいた。


「何?」


「......」


「またなんで私のお腹の上で頭を乗せるの?あっちに行ってよ」


[聖約星、「運命を読む者」様が顎を落とします。]


[あ、あ、必要な時だけ愛嬌を振りまく憎らしいキューティー子猫を見ろと、お前は今どんな暴君に取り入る後宮の女官かと、すぐにその腕から離れろとギャンギャン泣いています。]


「クムグウ......」






キョン・ジオ、愛嬌モードON、濃度200%。


グミの胸の中にすり寄りながら、ジオが目をぱちくりさせた。


[あなたの聖約星、「運命を読む者」様がプレミアムキャプチャ機能を使用します。]


[もういいから、兄さんはとりあえずこの瞬間を楽しめと言って、やっていたことを続けてくださいと手招きしています。]


何かすごく騒がしいけど、重要なことじゃない。


羨ましさで窒息しそうなお星さまを無視して、ジオは顎を哀れっぽく傾けた。


「何してるの?誰とトークしてるの?ん?」


叩き潰して食べたいヤンキーのあいつだろ?え?このお姉さんはその恋愛反対だぞ。


「私が誰としようと勝手でしょ」


鉄壁のキョン・グミ。


面倒くさいと突き放すのもつかの間、すぐに慣れたようにジオを腕に抱き寄せ、携帯電話の画面に集中し続けた。


キョン・ジオを相手にするのが一日二日ではない様子だった。


冷たく遮断されたジオがぶるぶる震えた。焦って唇を噛み締めながら頭を働かせた。ああ。


「お、お姉ちゃんと久しぶりにショッピングにでも行かない?」


まるで美女の前で金しかない成金のような台詞。


携帯電話の画面を叩いていたキョン・グミの指が止まった。


しばらくして、そっと伏せられたまつげは蠱惑的だった。


「いくら使えるの?」


「たくさん!」


「証拠は?」


「はい、どうぞ!」


さっと差し出す(他人がくれた)ブラックカード。


かき氷一杯の値段までむしり取られていた友人たちが見たら胸を叩くような場面だが、もともと人の限界は相手によって変わるものではないか?


チートキー登場で、これ以上の駆け引きは不要だった。


キョン・グミがにやりと笑った。


「服を着替えて」







* * *


ハンターマーケット。


世界のハンター界の流れを主導する二大山脈らしく、韓国のハンター市場も指折りの巨大さだった。


有名な職人たちの工房があるのはもちろん、闇市場も活発で、国際的な高級ブランドも競って国内に進出していた。


その中で一番名声が高いところを選ぶなら、当然金剛山の方にある「職人村」だろうけど......


あんなところは、本当に個人オーダーメイドの物が必要な時に行くところだ。


今日、キョン姉妹が向かったのはソウル江南、清潭のDマーケットだった。


国内ビッグ3ハンターマーケットの一つで、残りはそれぞれソウル江北、釜山センタムに位置していた。


とにかくハンター専用、国内最大規模、最多ブランド入店などなどで、開館する時からものすごく宣伝していたところだった。


華やかな名声らしく外観からしてピカピカで、室内はそれ以上だった。


庶民の気をそぐような威容に、ジオが不満そうに眉をひそめた。


「チッ、資本主義に染まった黄金帝国の豚野郎どもめ......今も地球の反対側では水一杯飲めずに生きている人々がいるのに、え?共に生きていく地球村社会がなんだってんだ」


末世だ、末世。


世の中はいったいどうなるんだ?


あれを見ろ、あれ。戦場で戦うハンターたちが高級香水とはどういうことだ、あれが一体なぜ必要なんだ?どんな考えのないバカどもがあんな......


「あ!あっちから行こう。私、香水使い切っちゃったんだ。そろそろ買い時だし」


「......あんなのが、そう、必要なんだ。そりゃそうだ。ハンターにとって香水は必需品だ。基本中の基本じゃないか?香水のないハンターは銃のない軍人、あんこのないパン......」


「何言ってんの?早く来て」


「うん」


タラルラキングのキョン・ジオがグミの後ろをちょこちょこついて行った。


「......おいくらですか?」


「36万7千ウォンです、お客様。一括で決済なさいますか?」


チキン代のマックスが3万ウォン。


配達チップまで含めた金額だ。


それ以上は自分の手でカードを切ったことのない庶民魔術師王が、震える眼差しで妹の方を振り返った。


こちらの苦悩には関心もなく、鼻歌を歌いながら陳列棚の方を見ているキョン・グミ。


ジオはびっくりした。


「グ、グミ!あんなに生き生きとした顔ができる子だったなんて......!」


サバンナのメスライオンはどこへやら、顔に花が咲いた少女だけがいた。


あんな正直な資本主義Girl!


感動してしまったジオが、迷いを捨ててカードを取り出した。さっと差し出しながら、重々しく声を低くした。


「12回払いで」


「......」


「どうしたんですか?え?いや、ここに12回無金利分割払いができるって......書いてあるじゃないですか?」


その重々しさに少し戸惑ったような店員が、慎重に答えた。


「失礼ですがお客様、お渡しいただいたこのプレミアムハンター刻印カードでは、分割払いはできません」


解釈:VVIPブラックカードで12回払い?本気ですか?


[聖約星、「運命を読む者」様が、こういうことは慣れている人がやるものだと言って、代理で恥ずかしがっています。]


「......」


気まずくなった空気と、それとなくカードとジオを交互に見る店員。ジオは静かに呟いた。


「盗難カードじゃない」


違う。とにかくそれじゃない。


その後も、魔法使い協会の認証マークが刻印された化粧品だのなんだの。


ささやかにいくつか買い足し、いつの間にか仲良くテイクアウトのコーヒーカップまで分け合った姉妹だった。


「でも、お姉ちゃんなんで何も買わないの?何も買わないから、まるで私があなたの脛をかじってるみたいじゃない」


「買わなくてもいいんです。姉とは妹が好きなものを見ているだけでもお腹いっぱいになるものだから。それが『大人』だから」


「何言ってんの?またネットで変なものを見てパロディしてるんでしょ?」


むっとして目をそらすグミ。


文句を言いながらも、気分は良いのかイチゴクリーム飲料をちゅーっと吸った。


数分前。カフェでどこかのクソ親父が、背の高い子が可愛いものを飲んで、小さい子が苦いものを飲んでいるとほざいた妄言は、幸いすぐに消し去ったようだ。


ジオはショットを追加した自分のアメリカーノを飲み干しながら、そっと笑った。


久しぶりに聞く妹の笑い声が心地よかったからだ。


[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が、うちの妻が喜んでいるのを見ると兄さんも嬉しいと言って、一緒にほほえんでいます。]


[そうでしょ、あなた?やはり婿の幸せは妻の実家の幸せから来るものだと言って頷いています。]


「この老いぼれ、いい雰囲気だと油断してさりげなくクソみたいなこと言ってるな。良心はどこにやった」


「また集中力が散漫になってる。聖約星?」


「ソーリー。しょっちゅうクソみたいなこと言うから」


「......聖約星に本当にそんなにぞんざいな口をきいてもいいの?見るたびに全然慣れないって知ってるでしょ?」


「いいんです。それが『民主主義』だから。私たちみんなが平等な大韓民国万歳」


「フェイスブックではいつもお姉ちゃんを皇帝に祭り上げ、今すぐにでも帝国に変えようと騒いでるけど」


「そうなのか......?私の臣民たちの意思が、民心が本当にそうなのか?」


「マジにならないで。本当にありえそうでめっちゃ怖いから!」


「青い屋根の家に住みたくなったら言って、うちのグミグミだけが望むならお姉ちゃんがぶっ飛ばしてやるから......!」


「あ、結構です。絶対にご遠慮します」


これはマジだ!マジ姉妹みたいだ。


掛け合いも上手くいって、雰囲気も和気あいあいとしてるし。デリケートな話題(ex:彼氏)みたいなのを突っ込むには絶好のタイミング、よし!


ここぞとばかりにジオが、それとなくニュアンスを含ませて探りを入れた。


「これはマジな話。必要なものとか、欲しいものとか、やりたいこととか、何か少しでもあったらお姉ちゃんに言ってくれ。本当に言えば私がいくらでも、何でも......」


「あ......本当に。いいってば」


「......え?」


「いいって言ってるのに、なんでしつこいの?私がまるであなたとバンビなしでは何もできないガキだって言うの?」


こ、これは違うのに......?


急激に冷え込んだ雰囲気。


すっかり固まってしまった表情で、グミがこちらを睨みつけた。


その突然で鋭い反応に、あっけにとられた。ジオは目をぱちくりさせた。


難しい、難しいと感じる妹ではあるけれど、こんな時は本当にどう反応すればいいのか。


気性のままにきつい言葉も、傲慢で傍若無人な態度も、末っ子の前では一切出てこないものだ。


それを知らないはずのないキョン・グミが、素早く苛立ちを鎮めた。


「みっともないぞキョン・グミ、この劣等感の塊め。一人でボタンを押して急発進したりして......」


グミはぐっとこらえながら気持ちを立て直した。


「わざわざそんなことしなくてもいいの。私もハンターだし、誰の助けもなしに一人で何でもできるから」


努めて和らげた口調と、床に向けられた視線。


そんなキョン・グミをじっと見つめながら、ジオは手をさっと伸ばした。


言葉は間違えると誤解が生じることもあるけれど、行動はそうじゃないから。


「......嫌だ。私、今氷が溶けて手がびしょびしょなんだ。水がついたんだよ」


「関係ないけど。潔癖症なのはグミとバンビだけじゃない」


「......お姉ちゃんはちょっと離れてて。部屋を見るたびに汚くて死にそうになる、マジで」


そっと握り返してくる手。


ジオはその冷たい手に指を絡ませながら、何事もなかったかのように言葉を続けた。


「それがそう見えても、それなりに理由があるんだよ。見た目は荒っぽくても、中身は絶対違うから」


「似合わないこと言ってごまかさないで、このバカ」


「私が神経質だから嫌?」


「ううん」


「私がめちゃくちゃだから嫌い?」


「絶対に。ネバー」


「私の妹だから。世界でたった一人のうちの金持ち末っ子グミだから」


「......私のこと嫌わないで。私も可愛い妹になりたいのに、思うようにいかないの」


「もう可愛いよ。あなたより可愛い子を見たことないもん、私は」


「私は自分が大嫌い」


「私はあなたが大好き」


握り合った手にぐっと力が入った。


淡々と続いていた会話が途切れ、ぴたりと立ち止まる二組の足取り。


こちらに顔を向けるジオを見下ろしながら、グミが小さく呟いた。


赤みが差した目元で。


「マジでムカつく、キョン・ジオ......人の心を掴むのは生まれつきなんだな、クソ」


「あらまあ。お姉ちゃんに悪態をつくとは」


「ああもう知らない!いいから、今日はどうせ使うお金なんだからパッパと使って......できれば開封動画を撮ってアップできるように、大きいものを一つ買ってくれたら嬉しいし」


「いっそのことここを買い占めてしまおうか?」


「冗談はよしてください」







* * *


そうして「大きいもの」一つ手に入れようと、ルンルンと上の階に向かった姉妹は......


「申し訳ございません。本階からは入場制限を設けております」


資本主義が生んだ怪物。


VIPマーケティング、別名貴族マーケティングと遭遇することになった。


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