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405話

禁地の霊脈を隠す霧の雲が、うねる龍の形に似ている。


四方から滝の音が適度な大きさで聞こえてきた。




〈ヘテ〉本山。


その中心である大型殿のヘテ門の前にこうして立っているとは。


降り注ぐ雨の中で絶対に屈服しなかった、ある水分長が思い浮かぶ。


「とにかくしぶといな、チェ・ヤチャ。」


私、ちゃんとやったか?


「友達の友達は何て言うんだ?」



また別の、友達…ごめん、しくっ、ごめんなさあああい…



「もういい。これで子供の頃の借りは全部返したから。」


あの時全部返したと思ったのに。


「・・・・・・」


「私はいつまであのバカに借りを作って生きなければならないんだ。」


ジオが失笑した。


「ん?答えてみろ。白鳥。」


「・・・・・・」



菩提亜仙子。この静かな神獣の祠よりも静かな女がこちらを。


遅い夜明けの光に照らされるマントの裾が真っ白だった。


神獣に捧げるすべての儀式を主管する大宗主の衣服は、いつもあのような純白の色だ。


白鳥という名前がそれ以上に適切でありえないほど、彼女がヘテの宗主になるのは必然的な宿命のように感じられた。



「本当に生きて帰ってきたんだな。」


白鳥があっさりと話した。


キョン・ジオの最期を直接見たわけではない。


しかし、皆から伝え聞いた。


世界で最も偉大な魔法使いが戦場に散ったすべての生命を蘇らせた後、死んだペク・ドヒョンまで息を吹き返させて消えたと。


キョン・ジオが死んだと宣告したマッドドッグの首を自分の手で直接斬ったので、白鳥はその死を忘れようにも忘れられなかった。



友であり、知己であり、また••••••剣を捧げた相手だった。


そんな人をむなしく見送った。


千年の誓いが無駄になるなんて。


白鳥は珍しく絶望した。


そして目を開けてみたら••••••3月。



再び春だった。


キョン・ジオが生きている、自分の記憶とは多くのことが変わった世界。


「深淵の底から這い上がってきたんだ。根性といえば韓国人だろ、また。」



「天に昇ったか?」


「・・・・・・」


いたずらっぽい笑みが消える。


ジオはまじまじと白鳥を見つめた。


何を知って言っているのかと思って。


「驚くことはない。伝説のように伝えられる話だが、厳然と実在する事実だ。歴史が証明している。実際に少なくない数の先祖があの空の上に昇って星になった。ある者はそれを無為の極みだと考え、一生を捧げる。」



「そのある者がお前か?」


白鳥がかすかに笑った。


「私は剣士だ。否定はしない。」


天の星々に数えきれないほど求愛されながらも、どの星も選ばなかった彼女の理由が初めて明らかになる瞬間だ。


この剣士は無の終わりを追い求めていた。



「終わりを見たか、そなた。」


「見たらどうする。記憶を取り戻すや否や閉関に入った理由がそれなら、競争心でも発動したのか?」


尋ねるキョン・ジオの表情が乾いていた。


正直に言うと、チェ・ダビデの刻印キーワードを活性化したのは、当然白鳥がそのそばにいるだろうと予想したからだ。


ヘテの二人はセットだから。


だから同時に解いたのに、白鳥がチェ・ダビデを置いて閉関に入るなんてことは計算に入れていなかった。




「たかがそんなことなら少しがっかりするな-」


「混乱して。」


「.....!」


「いや。それよりも心魔に近かったかな。」


「・・・・・・」


「そなた、私の剣意は私を除いて何人も触れることはできない。」


色で例えるなら純白の白い剣。


それが白鳥が追求する剣であり、無の指向点だった。


「それで自分自身を振り返らなければならなかった。」


白鳥が特有の正直な視線でジオを直視した。


「他意に振り回された中心を取り戻すために。」


「・・・・・・」


ジオは下唇を噛み締めた。


「覚悟しただろ、キョン・ジオ。」


リセットに対する反応がすべて同じであるはずがない。


非難はもちろん、恨みまで予想したこと。


だから逃げてはいけない。


「…白鳥。」


「・・・・・・」


「私は、お前くらいなら十分に克服すると思っていた。この程度くらいは何でもないように。」


「克服した。」


「・・・・・」


「だからそなたの前にこうして立っているのではないか。」


白鳥が穏やかに表情を緩めた。


「難しくなかった。つらくもなかった。そなた、私はそなたを非難しようとしているのではないから、そんな表情はしなくてもいい。」


「………………私がどんな表情なんだ。」


そうね。白鳥は適切な表現を考えた末に言った。


「ダビデみたいな表情。」


「・・・・・・」


「友は互いに似ると言うが、真実だったようだ。知っているか?そなたとダビデは似ている。」


夜明けの中で散っていく白鳥の声が雪のようだった。


「弱くて傷つきやすくて•••••時々道に迷った子供みたいで。私は限りなく手を差し伸べてあげたくなる。」


「••••ふざけてるな。弱いなんて言葉、生まれて初めて聞いたよ。」


「そうか。」


白鳥が小さく笑った。


「もしかしたら私がそなたたちを過度に幼く見ているのかもしれない。たかが数歳年上だという理由で。」


星座になる前だったら白鳥の言葉が正しかっただろう。


白鳥が【ヘテの鏡】の中で過ごした時間は、はるかに長いから。


しかし、もう違う。



だから勘違いするなと、お前は知らない時間の中で私がどれだけの歳月を過ごしてきたのかと、言い返さなければならないのに•••••••ところが。


「・・・・・・」


ジオは何も言うことができなかった。


胸が熱くなった。


「ただ違いがあるとすれば••••••。」


「・・・・・・」


「そなたは最後まで一人で立ち上がるが、ダビデはそうできないという点だろうな。」


克服は公平に機会を与えるが、誰にでも可能なことではない。


白鳥はチェ・ダビデを知っている。


限界もまた知っていた。


いつもそばにいたから知らないはずがなかった。


「お願いがある。」


「・・・・・・」


「利己的なお願いになることを知っている。あらかじめ謝罪する。すまない、ジオ。」


ドクン、ドクン。



何かを予感した心臓が不安に鼓動し始めた。


聞きたくない。ジオは首を横に振った。


「言うな。」


「私たちは皆同じ友であるにもかかわらず、そなたの心に特別な人が別にいるように、私やはりダビデを優先せざるを得ないという点をどうか許してほしい。」



「言うなと言ってるだろ!」



「ダビデを放してくれないか。」



「・・・・・・」



頬をかすめる夜明けの風が冷たい。


監獄から解放しろと言っているのではない。


白鳥が言っているのは鳥かごだった。



キョン・ジオが大切に握っていた鳥かご。


「そなたは私に尋ねたな。いつまで借りを作って生きなければならないのかと。」


「・・・・・・」


「もう十分だ。」


白鳥があっさりとした笑顔で言った。


「私の答えはこれだ。」


「・・・・・・」



沈黙が果てしなく続いた。


ジオは今吹いているこの風が夜明けの風なのか、胸の中で吹いている風なのか分からなかった。


響く滝の音が砕ける音のようだ。何が砕けているのかは分からなかった。


「・・・・・・」


白鳥の視線が感じられた。


言うべきことをすべて言い終えた彼女は、いつもそうであるように、黙々と落ち着いた態度で答えを待っていた。



キョン・ジオがつぶやいた。


「・・・ 結者解之しろってことか。すでにめちゃくちゃにしてしまったものを、私がどう解決できると思ってるんだ。」


「そなたには可能だと知っている。」


終わりを見たかと尋ねたのは、競争心ではなく彼女の限界を見極めるためだった。


たとえジオは答えなかったが、白鳥はあの非人間的な黄金の瞳の中で答えを得た。



人が敢えて持つことのできない種類の瞳だったから。


「は。」


断固たる白鳥の答えに、ジオは作り笑いを漏らした。


「隙もないな。」



マジで孤独だな。


決心した白鳥がどれほど断固たるものになるかを知っているので、驚きはしない。


押さえつけたり、力でねじ伏せたりすることも絶対に通用しない。



「頑固者。」


「すまない。」


「何が申し訳ないんだ。私がめちゃくちゃにしたのに。」


その言葉にしばらく躊躇していた白鳥が、ジオに近づいてきた。



びくっと後ずさりしようとするジオの手を、慎重につかむ。


見た目はきれいな手だったが、いざつかんでみると剣士らしく荒れていて傷が多かった。


「めちゃくちゃにしていない。ジオ。状況が最善ではなかっただけだ。」


「・・・・・・」


「それでもそなたはそなたの最善を尽くしたのではないか。」


これを。


「本心を貶めるな。聞くに心が良くない。」


こんなものをどうして手放せるだろうか?


「私は……………。」


キョン・ジオは無表情に白鳥を見つめた。


「お前たちが恋しかった。」



会いたかった。


すべてを手に入れたという地位に上り詰めたのに、いざこの手には何もなさそうに見えて。


だから帰ってきた。


だからまた手に入れようと。


「……………何ですか、このスキンシップ?この腹黒い魂胆が見え見えの口説き文句は。分かったからちょっかい出さないで。誰もしてくれないとでも?お願いって何、私も当然収拾するつもりだったんですけど。」


「ジオ。」


「シーッ。もういい。分かったってば?」


静まった白鳥の視線を受けながら、ジオがにやりと笑った。いつものようにまた意地悪く。


「どうせやるなら必要なものがあったら今言え。何、お前まで手放してやろうか?」


「私は克服したと言ったのではないか。」


「そう?ならいいけど。」


「…ジオ。そなた-」


「行く。見送りは要らない。」



ジオは手を振りながら背を向けた。


「起きたら全部終わってるから、一眠りしておけ。」


白鳥が何か言おうとしたが、魔法使いはすでにヘテ門の外に空間を移した後だった。


「・・・・・・」


一人になったジオは、じっと雪岳の情景を眺めた。


笑みはいつの間にか跡形もなかった。


「きれいだな。」



夜明けを迎えている雪岳は、美しかった。


誰の手も触れていない本来のまま。


キョン・ジオは再び軽く足を踏み鳴らした。




目的地は、鶏龍台。


チェ・ダビデを閉じ込めた地下特殊監獄がある場所だった。


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