396話
「今日初めて会ったのに、友達ってどういうことだよ!友達がそんなに無理やりできるものだと思ってるのか?友達がどれだけすごいものか!」
「…え、どれくらい?」
「友達っていうのはね。」
男の子が真剣な顔で言った。
「人が生きていく中で得られる、最も特別な財産なんだ。」
「何言ってるかわからない……。」
「実は俺も。うちの兄貴が言ってたんだけど、とにかく。ゴホン!じゃあ……一度友達になったら死ぬまで友達だ!これは聞いたことあるだろ?」
「ひっ、そんなに長く?」
「そお~。それくらい特別なものなんだよ。友達のためなら、代わりに死んでやることもできるし、必要なら、いつでも駆けつけるし、雨が降ろうが雪が降ろうがいつもそばにいる!それこそ人生をかけるってことさ。最高だろ?」
「うん!」
最高だ、本当に最高だ。
友達は最高だ!
「だからさっきのお前みたいに、泣いて駄々をこねたからって、一朝一夕にできるものじゃないんだよ。無知にもほどがある。」
「…私、バカなの。世界で一番バカ。だから教えて。
どうすればいいの?友達になりたい。私、友達一人もいないの。私も友達が欲しい。」
見た…そうだ。
お前、名前なんて言うんだ?名前も聞いてなかった。
「私は、ダビデ。チェ・ダビデ。」
「俺は――。覚えとけ。正式な友達じゃないけど、候補くらいにはしてやる。5回?それくらい会ってみて、その時も気に入ったら友達にしてやる。いいな?」
「うん!わかった!――!」
+
あの子。
あの子の名前、何だっけ……。
- ひどすぎませんか?本当に死んでしまったらどうするんですか。
- なんだ、それでもお前の腹を痛めて産んだ娘だって言うのか?今更、母性愛か?
まともな旦那を置いて、よその男の種で産んだくせに、恥を知って生きるべきだろうに、どこに向かって!
- ああ!やめて!間違えました。許してください、お願い……
- ふざけるな!こいつのせいで近所に家庭内暴力犯だって変な噂が広まってることを考えたら、ああ……こいつを本当にそれから1年以上が過ぎた。
友達候補に再び会うことはなかった。
怪物たちがすべてをさらって行ったこの地域には警察がいない。
まともな家庭も、まともな人間もいなかった。
だからただ噂だけが広まる。空虚に。
噂と泣き声、そして悲鳴また悲鳴。
ここは世界で一番低い場所だ。
捨てられて、誰も覗き込まない……。
うずくまったダビデが目をぱちくりさせた。
全身が痛くて起き上がれない。
ドアがカチャリと開く。
隙間から入ってくる光と小さな影。
兄貴が死んだ。
お前みたいにボコボコに殴られて。
ぼうぜんと立ち尽くすイサクがつぶやいた。
いつか俺たちもみんなそうなるんだろうな。
「全部お前のせいだ。この怪物め。」
「……」
「お前が生まれたから、俺たちはみんな滅んだんだ。」
「怪物だって言ってるぞ。」
何を迷ってるんだ。
「怪物らしく振る舞え。」
「食え。」
「バラバラに引き裂いて飲み込んでしまえ。」
「嫌だ。」
嫌だ……本当は……怪物なんかになりたくない。
「うっ、ママ……」
痛い。私、怪物なんかやりたくない。嫌だ。
+
雨がしとしとと降る夜だったという。
アルメニア系移民のアンナ・チャリヤンは、雨の降る国境で子供を産んだ。
中国との国境地帯で商売をしながら、ブローカーのふりをして、裏では脱北者を公安に引き渡す仕事をしていた夫は、人脈があるから私たちは追放されないだろうと豪語した。
その結果がまさにこれだ。
四方八方から怪物があふれ出し、自分たちで食べるものもないと言って、すぐに自分たちの国に帰れとわめく市民たちを、公安は徹底的に傍観した。
殴り殺されるかと思い荷物をまとめたが、韓国に戻れば死よりも恐ろしい借金が山ほどあった。
人間よりは怪物がマシだ、夫は言った。
そうして軍の目を盗み、北へ慌てて逃げ出した。
そして今、ここ。
医者もいなければ、布団一枚もない、むき出しの地面で産む出産。
誰かの手が必要だと、一緒に逃げてきた友達と唯一の肉親である妹が急いで産婆になり、子供を受け取った。
そして二人ともその場で死んだ。
生まれたばかりの赤ちゃんは、この怪物は、へその緒を切られる前に二人を食い殺して、平然としているだけだった。
きらきらと輝く無邪気な目で自分の母親を見つめた。
殺さなければ。
人間より怪物がマシだと言っていた夫が震える声で言い、アンナは血の涙を流して同意した。
そしてその瞬間、怪物たちが現れた。
彼らにとって武器といえば、古びた銃だけだった。
恐怖に怯えた夫は、引き金を引くことさえできなかった。
死を前にして無力になった夫婦を救ったのは、生まれたばかりの赤ちゃん、彼らの娘だった。
「神の……神の御心だ……」
雨が止んだ。
死体の破片一つ残らず、がらんとした野原の真ん中で夫がつぶやいた。
夫婦は敬虔な信者だった。
血筋も、人種も、出身と文化までもがすべて異なる彼らが結婚することになったきっかけは、宗教だけだった。
出エジプト記20章13節、第6戒。
汝、殺すなかれ。
怪物を産んだ夫婦は、神の教えに従うことにした。
あの恐ろしい怪物が、神が下した自分の子供だと考えるまでは……そうだった。
男は根っから善良でもなく、度量も大きくなかったが、ただ妻にだけは誠実な方だった。
どこに出しても美しい妻だけが、取るに足らない人生の唯一輝かしい業績だったからだ。
だから、だんだん成長する娘の顔から自分の面影が見えなくなった時、さらには妻の面影さえ見えなくなった時。
しかし、その子がどこからか拾ってきたものでもなく、妻の腹を裂いて出てくるのを自分の目でしっかりと見た時。
すべての状況が妻の不貞を示していた。
プライドがズタズタになった男は、怪物になってしまった。
つまり……
全部お前のせいだってことだ、娘よ……。
頬と触れ合う床が湿っている。
まるで、あの日のように。
子供が生まれた雨の日の国境の夜のように。
アンナはぼんやりと横たわって考えた。
水を含んだような耳元で夫がしきりに悪態をつく声が聞こえてきた。
その間を縫って静かにドアがギイッと開く音。
ドアの隙間から目が合う。
子供が言った。
「ママ……?」
「ママって呼ぶなって言ってるでしょ……。」
私がなぜお前のママなの。
一度も抱きしめてあげたことないのに、私がどうしてお前のママなの。
「う、う、ママ……!ママ!アンナ、ママ!ママああああ!」
「くそ、この怪物がどこで、黙れ!」
殴らないで。
私の娘を殴らないで。
お前が何度も殴るから、私が代わりに殴ってやったじゃない。
代わりにいじめてやったじゃない。
全部私がやったじゃない。
私の娘をもう殴らないで、この野郎。
怪物はあんただ。
あんたが怪物だから、怪物と結婚した私は怪物を産んだんだ。
「猟師たちは何をしているんだか。」
ここにいる怪物たちを捕まえに行かないで。
パキッ。
何かが恐ろしく引き裂かれる音とともに、黒い影が家の中を覆った。
かすかなラッパの音が聞こえる。
「幻聴か?」
天国は望みがないから、悪魔の出迎えだろうか。
嘲笑とともに、怪物を産んだ女アンナ・チャリヤンは目を閉じた。
「さ、さ、助けて……!ダ、ダビデ?お前のパパだよ、俺はお前のパパだぞ……わからないのか?パパじゃな-ああああああああ!」
「食え。」
「噛み砕いて飲み込めば楽になるぞ。」
「この怪物!怪物!うわああああああ!」
「ハハハハハ!」
「フハハハハハハ!」
+
「……」
妹が死んだ。
ママが死んだ。
パパを殺した。
怪物が殺した。
静かだ。
チェ・ダビデが再び意識を取り戻した時、夜明けが過ぎて日が昇っていた。
窓の鉄格子の間からかすかに入ってくる日の出の光彩が、血の海の上に降り注いだ。
まばゆいほど美しかった。
ド、ドゥドゥドゥドゥ……
首輪のようにぶら下がった鎖が切れて、歩くたびに床にずるずると引きずられた。
ダビデは気にせずそのまま歩いていき、テレビの前に座った。リモコンの電源を押した。
「-1級災害!1級災害です!誰もが避けられないと思っていたソウルの悪夢、無慈悲なこの災害を魔術師王「ジョー」!私たちの魔法使いが世界で初めて、単独で征服します!バベルよ、大韓民国を祝福したまえ!国民の皆様、新時代の奇跡が、世界で最も偉大なハンターが私たちのそばにいます!」
すでに数十、数百回と繰り返された再放送で、感激に満ちた声が響き渡った。
ダビデはぼうぜんと黒竜に乗った魔法使いを見つめた。
食べなくても死なない。
飲まなくても死なない。
傷ついても、痛くても死なない。
私は怪物だから。
しかし、こうしていればいつかは死ぬだろう。
罰を与える人が残っていないから、自ら罰を受けなければならない。
もう本当に誰も、いないから。
「必要ならいつでも駆けつけて、雨が降ろうが雪が降ろうがいつもそばにいて!」
「死ぬまで一緒にいてくれる人……」
テレビを見るダビデの目がゆっくりとまばたきをした。だんだんぼやけていく視界で、蒼空を飛行するジョーの姿が見えた。
本当にあの子の言葉が正しいのなら、想像の中で、こんな瞬間でもいつもそばにいてくれるジョーは、すでに私の友達なのではないか?
それなら聞いてみたい。
お前はどうして怪物じゃなくなったのかと。
私もどうすれば怪物じゃなくなるのかと……。
そして、もし怪物じゃなくなれば、もう一人ぼっちじゃなくなるのかと。
「こんにちは?君が「ジョー」だよね?私はダビデ、チェ・ダビデ。年齢は15歳か16歳だと思う。君は知らなかったかもしれないけど、私たちは友達だよ。昔からそうだった。なぜなら、私たちは5回以上も会ったから。私は友達のために代わりに死んでやることもできるし、必要ならいつでも駆けつけて、雨が降ろうが雪が降ろうがいつも君のそばにいるよ。」
だから……。
私が本当に頑張るから……。
二度と悪いことはせず、良い怪物になるから、誰でもいいからどうか。
誰でもいいから助けてください。
私の手を握ってください。
本当に何でもします。
☆
「ハアッ!」
ハア、ハア……!
荒い息遣いが空間に響く。目を覚ましたチェ・ダビデは、乱れた息を整えた。
昔の悪夢を見た。
とても昔の。
しかし同時に、忘れてはならないことを彼女に思い出させてくれるものでもある。
「大長老、大丈夫ですか?」
「……友、達……」
チェ・ダビデが口の中で噛みしめた。
代わりに死んでやることもできる友達。
彼女はまだ怪物だが、それでも悪夢と違う部分が一つあるとすれば、今彼女には大切な友達がいるという点だった。
だからまだ、春。
遅くはない。
動かなければならない。
すべてを正し、また……。
二度と失わないために、強く歯を食いしばる顎から冷や汗がポタポタと落ちた。
向かい正面の鏡の中。
恐怖に囚われた青白い顔の子供が見える。
チェ・ダビデは目をぎゅっと閉じた。




