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380話

「ゲートアウトブレイク」による大激変は、現代社会の多くのものを変えてしまった。


人々は今や、より多くのお金がかかっても空港よりワープターミナルを好み、大病を患うと医者よりヒーラーを探す。



かつて判検事を夢見ていた子供たちは、検事や魔法使いになることを望み、市場ではダイヤモンドよりも透明な光の最上級魔水晶を価値あるものとして扱った。

時代が変わった。


そこで人々はこの激変の時代を別途命名し、こう呼んだ。


大バベル時代。


そして「ピンタダオークション」は、そんなバベル時代の代表的な先駆者の一つだった。


塔とダンジョンから出てくるのは魔石だけではない。

アイテム。


世界各地から日々、降り注ぐアイテムの物量が約数十万個に達する。


低等級の使い捨て品を含んでいるとしても、それこそ途方もない数字。


早くからアイテム市場の価値を見抜いた「ピンタダオークション」は、競争相手より一足早く市場に飛び込んだ。


その結果、わずか3年で世界オークションを牛耳っていたサザビーズオークションハウスを飲み込むことに成功。


現在は高等級アイテムの取引を中心に、地下と地上両方で国際上流社会の奢侈品の流れを主導しているところだった。



「そんな途方もないオークションのオーナーなんですね、マダム・ランベールは!だから彼女のプライベートパーティーに一度でも招待されたくてみんな大騒ぎなんです。今日参加されればすぐにわかると思いますが、ラインナップがどれほどすごいか知りませんよ。」


「こんな設定じゃなかったはずなのに。」


「はい?」


「いや。」



ジオは気まずそうに口を閉じた。


柔らかい手つきで髪に製品を塗っていたパーソナルショッパーが不思議そうな顔をする。


船上パーティー参加のため、邸宅の執事が別に雇った人材だった。衣装選びから全般的なスタイリングまで引き受けるという。


センスが良いのでVIPの間では言い値だそうだが、今日のパーティーはドレスコードがフォーマルに決まっていてやむを得なかった。


見栄に生きて見栄に死ぬ見栄っ張りが、みじめな姿を晒すわけにはいかない。


もちろん、これほど面倒だとは知らなかったら行かなかったのに…。



ジオが後になってやめると駄々をこねたが、とっくに参加の意思を表明した後だった。


とにかく韓国語まで堪能なショッパーなので、値段相応だと思ったが、会話がスムーズに通じるから少し厄介な部分もある。


でも本当に変だよな。

マダムのピンタダのことだ。



「あれってモロッコにひっそりとあった競売場じゃなかったっけ?」


それなりに名前が知られていて、無名とまでは言えなくても、せいぜい地方区程度だったはずなのに。



こちらの記憶が間違っていなければ、マダム・ベルがオークションを設立したのもムスタインを助けるためだった。


だからせいぜい4年くらい••••••ん?



「あの、ピンタダが設立されてからどれくらい経ったの?」


「さあ。正確なことは検索してみないとわかりませんが、バベル時代の初期からあったので、少なくとも15年は経っているでしょう?」


いや、これ本当に変だよ。


「マダムが未成年の時に競売場を開いたりでもしたってこと?」


「え?あら、ハハハ!」


「なぜ笑うの?」


「冗談もなにも、マダムは40歳を超えていますよ、ヤングレディ!ほとんど50歳に近いんですよ?彼女が童顔で有名ではありますが、あまりにも若く見すぎですね。」


「…え?」


「聖女、あのジゼル・ジュヌイの幼馴染じゃないですか。だから結構知られている話なのに、ご存知なかったんですね。」


パーソナルショッパーが面白そうにクスクス笑う。



しかし、ジオは笑えなかった。


「ジゼルが何歳だって?」


マダムが何?

片方はあまりにも有名で、もう片方は直接会ってみたので知っている。



ジゼル・ジュヌイは34歳のハイランカーで、平凡な田舎の娘に過ぎなかった彼女は13年前、星の揀択を受けて21歳でデビューした。


マダム・ランベールはそんなジュヌイを補助する守護騎士団出身の修道女だった•••••。


フランスの「守護騎士団」は、聖女に忠誠を誓うために最初に結成された時から10代半ばから20歳未満の処女で構成された集団。


「だから、少なくとも30代前半のはずなのに」


「蓋然性のためだ。」


「……!」


ジオは固まった視線を上げた。


ドアにもたれかかっていたジン・キョウルが腕組みを解いて、とぼとぼと歩いてくる。


ショッパーと補助員が席を外す。


彼はいつの間にか黒いタキシードを着こなしている状態。


服一つで普段と雰囲気が全く違って見える。


蝶ネクタイは締めないでほどいて適当にかけておき、ポマードで整えて少し露出した額がすっきりしている。



「何をそんなに驚いているんだ。一つの真実を作るためには、数万の嘘が必要なものだ。」


閉鎖言語だった。


星系上位格が共有する神秘的な音声言語。


ジオも言い換えて聞き返した。


「嘘?」


「そうだ。」


近づいてきた彼がジオの手首を握った。


さするようにゆっくりと少し撫でると、自分のポケットからブレスレットを取り出してつける。


一見ダイヤモンドのように見えるが、魔水晶だった。


水のように透明な最上級。


「プレゼント。ジュエリーは自尊心だから。」


淡々とつぶやくと、人差し指でジオの顎を軽く持ち上げる。


化粧をしていない素顔をくまなく見ていた、彼の視線がいつものように濃くてねっとりしていた。


傲慢だがよく教育された紳士の仮面は無用だ。


何を被っても悪魔は悪魔だというように。


顎のラインをなぞった硬い親指がジオの下唇をじっと押した。


「お前がマダムを幸せな女にしたのではないか。だから当然、世界律が後から動いたのだろう。誰が勝手に修正した現実が、すべての人に説得力のある物語になるように。」


「意図していなかったのにそこまでは。」


「世界律は誰かの意図によって動くのではない。それがたとえ星座であっても。」


彼の眼差しが沈んだ。


「だから怖いんだ。」


「だから余計な関心を向けるなと言っただろう。どうせ格が低くてお前の些細な好意さえまともに受け取れない者たちなのだから。どうしてそんな者たちにそれほど気を遣うのか。全く理解できない。お前は私だけを見ていればいいと言っているのに-」



「ああ、やめて。その話はもうしないことにしたじゃない。」


「…ああ、そうだった。」


フランスに来る直前、キョウルは虎の命運に触れようとして失敗した。


ジオにバレたからだ。


本当に埃が出るほど殴られ、それでも二度としないという言葉もなく笑うだけの彼に、ジオはぷりぷり怒って言った。



「長くて200年だよ!」


長くて200年。


人間キョン・ジオが大切にして愛した者たちと最後に過ごす時限付き休暇。


結局、そのための「世界復旧」だった。


星座は自分が剥製にした200年の間に心の整理をしなければならない。


そしてジン・キョウルは、そのうんざりするものをそばから完全に断ち切るつもりで共に現身した。


「いいよ。200年だ。」


しばらく考えていたキョウルが合意した。


それらはキョン・ジオの永遠の時間の中で、些細に過ぎない200年だけを持つことになるだろう。


それ以上はない。


唯一の恋人として彼が容認できなかった。



したがって、当面の200年は二人の不可侵的な合意点も同然。


この時間の間は触らないでというジオの命をキョウルは誠実に守らなければならなかった。



「離して。イライラする。邪魔。」


「…愛していると言ってみろ。」


「いきなり何。」


「愛していると言ってくれ。」


「愛してる。いい?」


ジン・キョウルは鼻で笑った。


時々こうなる。


私たちは必然的に恋人であるはずなのに、私はなぜ依然として私一人でお前を愛しているだけのようなのか。


なぜこんな惨めな気持ちがしょっちゅうするのか。


心というものはずる賢くて難しい。


あとどれほど無限に生きれば理解できるようになるのだろうか。


「化粧をするな。似合わないし、お前には必要でもない。」


「しないよ。ベタベタ塗るのは大嫌い。」


「その••••。それでもリップくらいは塗るのはいかがでしょうか、教授。そこで差が際立ちます。もちろん顔があまりにも整っていらっしゃる方なので、リップだけ塗っても十分でしょう。」


黙って下がっていたパーソナルショッパーが慎重にアドバイスした。


ジオが面倒くさそうに顔をしかめる。


その顔をじっと見つめていたジン・キョウルが頷いた。


「持ってきて。」


「お前が塗るのか?」


それならなんだ、お前の唇を他の奴に触らせるのか?


馬鹿げたことを。


キョウルは気が狂ったような嫉妬心を口に出す代わりに、口紅を受け取った。


受け取るとすぐに、あきれた笑いが出た。



「ひどく子供っぽい色だな。」


色味が薄くて薄い。まともな人を一瞬にして変態にする色だった。


高給取りのショッパーだというが、確かにセンスは持っているようだ。


化粧台の鏡を背にして腰掛けたジン・キョウルが、片手で口紅をカチッと開けた。



そしてもう片方の手では、向かい合って座っているジオの顎を掴んだ後。


……スッ!


口紅を自分の唇に塗った彼が、そのまま身を傾けた。

横から聞こえてくる、戸惑った息遣い。



ジオの驚いた目が近い。


びっくりしたのはわかるけど、一度じっくり吸って飲み込むまでこうしているのは困る。


こするように唇を含みながら、ジン・キョウルが低く囁いた。


「ムードがないな、目を閉じろ。」

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