37話
バベルネットワーク
▷ ローカル ─ 大韓民国
▷ 国内ランカー1番チャンネル
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明日免許更新: やっぱり黄金世代ですね。人材が続々と出てきますね。
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ダビデ: 何言ってんの
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明日免許更新: ハンターネット見てないんですか?いつもそこにいる人がどうして
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ダビデ: マジかよ 待って
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サンサン: 少し前に終了したインスタライブのことですか?
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明日免許更新: ええ、どうやら特殊スキルみたいですね?聖約星関連の特性かな
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ダビデ: マジか
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ダビデ: マジかよ クソヤバ え、何これ?? すごい 超すごい、剣気をめちゃくちゃ飛ばしてる。こいつの名前は何
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明日免許更新: 人斬り抜刀斎とかそんな名前だったと思います
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ダビデ: マジかよㅡㅡ
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ダビデ: 名前も超気に入った 超イケてるㅡㅡ
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ダビデ: おいおい 白鳥頭
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ダビデ: あいつ買ってくれ 今すぐ
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白鳥: 人は購入可能な物ではない。
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ダビデ: はあ、私が労働した歳月がいくらだと思ってんだ こんなもの一つ買ってやれないのか 体も心も青春も捧げたのに かわいそうに見るのかよ
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白鳥: 歳月ではなく年月だ。そして他の人が誤解するような発言は慎みなさい、ダビデ。
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ソンタン: そんなにすごいんですか?私はよく分からない
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チョンヒド: 分野が違うから。肉体派にしか見えないものがあるんだろう。特にヘタでは。
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ダビデ: バカども ぷっ
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ダビデ: 一目見れば分かるだろ、イギオ剣気じゃん とにかく魔法オタクども
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サンサン: そういえば、鍾路の2級ダンジョンなら、黎明ギルド長が入った場所のはずだが。
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サム: え?
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バンビ: え?
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サンサン: ......いや、みんな知ってる事実じゃないですか?さっき直接ここに言ってたじゃないですか。
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サム: マジかよ
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バンビ: マジかよ
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サンサン: いや、だからなぜ;。ウナサムさんはともかく、お前はなぜ。
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ダビデ: おい、ウーバーイーツ深夜デリバリー
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ダビデ: 特別に奉仕する機会をあげよう~ 人斬り抜刀斎の番号を今すぐ聞き出してこの姉様に捧げるように
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ダビデ: シカトかコラ?
タアッ。
コートを持って出かけようとした体が、一瞬止まる。再び向き直り、机の上のキーを取っていく手。
ドアを出ると、ソファでポテトチップスを食べていた妹が、見もせずに呟いた。
「出かけない方がいいと思うけど。お母さん、今すごく不機嫌になってるから。」
「すぐ帰る。」
「どこに行くの?」
ライダースジャケットのジッパーを上げながら、キョンジロクは神経質そうに答えた。
「鍾路。」
* * *
[パーティー長「コンデジャン シン・ジンチョル」様がアイテム分配方式を「サイコロ入札(希少等級以上)」に選択しました。]
[最も高い数字のサイコロが出たパーティー員がアイテムを獲得します。数字の範囲は1-99です。]
/「タン・ラミン」様がサイコロ振りを放棄しました。
/「パン・テホ」様の数字:17
/「豆腐王」様の数字:39
/「ユン・ウィソ」様の数字:4
/「シン・ジンチョル」様の数字:75
「わあ、数字ヤバいですね、兄貴。」
「コホン。今日は運がいいな。」
/「にゃくざ」様の数字:99
「......」
/「にゃくざ」様が「うめき叫ぶクカリソの角笛」(希少)を獲得しました。
「お、おめでとうございます。入札で99は初めて見ましたが......」
「......まあ、また機会があるから。」
/「ユン・ウィソ」様がサイコロ振りを放棄しました。
/「タン・ラミン」様の数字:11
/「シン・ジンチョル」様の数字:52
/「にゃくざ」様の数字:99
/「にゃくざ」様が「聖アデルガルトの祝聖されたペンダント」(英雄)を獲得しました。
......
「バグじゃないの?」
「まさか。偶然でしょう......」
/「豆腐王」様の数字:64
/「シン・ジンチョル」様の数字:97
「は、今回こそは......!」
/「にゃくざ」様の数字:99
/「にゃくざ」様が「失踪した古代賢者のモノクル」(伝説)を獲得しました。
「おい!クソ、お前ずるでもしてるのか?」
「隊、隊長!落ち着いてください!我慢してください!」
「何これ......?」
[あなたの聖約星、「運命を読む者」様が、うちのベイビーが何が好きか分からなくてとりあえず全部準備してみたと言って鼻をすすります。]
[うちのベイビー、運動お疲れ様でした。これ売ってたくさんお菓子買って食べな にいにからのプレゼントだよ とウィンクします。]
「めんどくさいなあ......」
一つ拒否はしないでおこう。
アイテムサイコロでFLEXしてやったぜ。
いつの間にか何重にも重ね着した希少等級のローブから、素早く装着を終えた片眼鏡まで。
両腕いっぱいに、風呂敷いっぱいに抱えたラッキー・ジオ(生まれながらのスプーン持ち)がよたよたと歩き出した。
7連続99。
カジノだったらもうゴロツキたちが確率だけど、バベルに抗議することもできないし。
「バベル万歳。」
「あなたも何かいる?」
カジノ皇帝バイブスを夢中で鑑賞していたユン・ウィソがびっくりして首を横に振った。
「あ、いえ......!」
「ふむ。あなたにはこれをあげよう。」
「いえ、いえ。本当に大丈夫......」
必死に遠慮していた言葉が途切れる。
手のひらに置かれた紙切れ。
石畳のような場所で書いたのか、数字がガタガタだった。
ユン・ウィソはぼうぜんと目の前の相手を見つめた。片眼鏡をかけ直したジオが、ぽつりと呟く。
「これが一番必要そうだったから。」
「......」
何度も胸がいっぱいになって、ユン・ウィソは何度も落ち着かせてから尋ねた。
「私が、気づいたのを知っていたんですか?どうして?」
「そんなに見つめてたら誰でも気づくだろ?」
ずっとチラチラしていた視線。
また、少しでも距離が近くなると、何か言いたげに口をパクパクさせていたことまで。
最初はただ半信半疑だった顔が、いつの間にか確信を持ってこちらを見つめていた。
「ド、ドラゴンの匂いがしました...... それも火に燃え上がる匂いが、それなら一人しか。」
「分かってる。言い訳までするなよ?」
「......」
「そっちもドラゴンの匂いをプンプンさせて歩き回ってるくせに、いざドラゴンを見ようにも、どこに売り払ったのか見えもしないし。」
「......」
「何?せっかく見に来たのに。」
「......」
うなだれたまま、宝物のように紙切れだけをいじっているユン・ウィソ。
片方では残りのガラクタアイテムを分けるのに人々が騒がしい。ジオは異物のついた靴を床にトントンと叩きつけながら言った。
「月火水木金は朝10時から夜10時まで不可能。週末は午後2時以降。寝なきゃいけないから。」
「......?」
「電話は受けることだけ可能。携帯止まってるから。」
「......はい?」
「参考にして。」
振り返るキョン・ジオ。一歩遅れて理解したユン・ウィソが慌てて叫んだ。
「......じゃあ、本当に、本当に助けが必要な時に連絡しても!」
「追加。人が多いところには行かない。」
背中から感謝するとむせび泣く声が長く聞こえてきた。
[聖約星、「運命を読む者」様が、どうしたことか。他人に興味を示していると不思議がっています。]
「私も知らない。」
本当にジオは知らない。
王はすべての個人を救うことはできない。王が見つめるのはひたすら全体と自分の王座のみ。
世界からそのような宿命を付与されたキョン・ジオだからこそ、生まれ持った視野もそうだった。
「人」よりも「人々」のために動く方だったし、他人を助けるよりも救って守り抜く方が性に合っていた。
幼い頃に経験した事件で「暴君」のタイトルを持つようになり、無感覚で無情になったけど、とにかく。
他人に興味を示すこと自体が極めて稀だということ。ところが。
「妙な親近感みたいなものを感じる。」
理由までは分からない。
大した問題でもないので、まあ、生きていればこういうこともあるんだなと思うだけ。
「あらあら、今日のウィナーにゃくざ後輩様。あっちで二人でくっついて何の話をそんなに仲良くしてたの?」
「番号あげたんだけど。ルーザー豆腐王さんの戦利品はそれだけ?」
両腕いっぱいのアイテムを整えながら、ジオがそれとなく得意げになった。
いつの間にか一掴み掴んでいた魔石が、ファン・ホンの懐からわらわらと落ちる。
「バ、番号。」
「何、くだらない石ころ片付けて。」
「......まさかにゃくざ様の番号?」
「じゃあシン・ジンチョル番号だと思う?」
ファン・ホンは妙な衝撃に陥った顔だ。慌てるように見えたりもしたし、ちらっと見ると悔しそうにも見えた。
そうやって色眼鏡を外したりまたかけたり、髪を両手でかき上げたりと、あらゆる騒々しさを振りまいたかと思ったら。
決心したように手を差し出す。
「ワ、ワタシモ!」
「嫌だ。」
「......!」
ファン・ホン、24歳。
異名 阿修羅。
ギャングスターギルド〈黎明〉のヘッドであり、3代続いてきたヤクザ家系の末っ子坊ちゃん。
異性に告白した経験皆無。振られた経験皆無。
「......ナ、ナゼ ワタシハ ダメナノ?」
「お前、私のこと好きなの?」
「イイイイイエ!」
恋愛経験皆無。つまり、母胎ソロ。
「ナ、ナニヲ言ッテルンダ? 冗談ダロウ。狂ッテルノカ、オンナ。急ニ一人デ何ヲ始メルンダ? ワタシハタダ、ソノ、何ダ、何カ同志愛?見タイナモノモアルシ、互イニ共ニ危機ヲ乗リ越エタ戦友愛見タイナモノモアルシ、マアソウイウ......」
「じゃあベタベタしないでどいてください。何してるんですか、邪魔なんですけど。」
「.......デモ好、好、好感程度ナラバ、マア。」
ファン・ホンが情けなくぶつぶつ言う。すでにジオはその場から離れた後だった。
幕間のアイテム分配まで終えると、皆が一箇所に集まった人々。ぐるっと見回してタンラミンが微笑んだ。
「それでは、ダンジョンを閉じます。」
炎を閉じ込めた石。
ダンジョンの心臓、「魔石の核」。
握りこぶしほどの大きさのその石を魔力を込めて叩きつけると同時に。
パリン。
[おめでとうございます!クエストダンジョン、「広がった隙間の汚染地(2級)」をクリアしました。]
[攻略寄与度順位:1位 にゃくざ(63.2%)、2位 豆腐王(27.6%)、3位 タンラミン(3.47%)、4位......]
[ダンジョン閉鎖手続きに入ります。]
[完了報酬を精算します。]
[浄化中...... 0、21、40%]
急速に上がっていく数字。
それとともに津波のように広く広がっていく白光。
「わあ......」
初めて見る光景に民間人たちが小さく感嘆詞を吐き出した。
まるで水に溶け込むように。
醜悪な漆を剥がすと、その下に隠されていた名画が現れるように現実の風景が戻ってきていた。
数秒後、完全に収められ建物の入り口がついに現れると......
カチャカチャ。
「わあ、来た!カメラチーム!早く撮って、撮って!」
「押さないでください!要員様、私のこと覚えてますよね!S社から来ました!スーパールーキーが登場したと聞いたんですが、インタビューちょっとだけ!」
「攻略隊、コンデチームどっちだ!民間人の方々は少しだけ避けてください!そこに抜刀斎様はいらっしゃいますか?」
運の良い奴は船から転落しても穴の空いたボートの上に落ちるという。
聖約星のビッグピクチャーがどこまでなのか分からない。
折しも全身すっぽり隠して顔も全部隠す三重のローブの中、ぐるぐる巻きにされて埋もれていたキョン・ジオが、おずおずと後ろに下がった。
「こ、これは何......」
......
......
マジでヤバい......
どこからか聞こえませんか?サブキャラの有効期限が延長される音が......




