355話
「とにかく、これ、まっぱだかなのは小さい時も同じだったってことか。」
ああ、あ。童子僧ジオが舌打ちをした。
「少しは鬱憤晴らしでもして生きろよ。一度心の内を読まれたからって、まるでPTSDの軍人みたいにガタガタ震えるな。お前、そうしてると本当に心が壊れるぞ。倒れられると困るから言おうとしてたことも言えなくなるじゃないか。私が人のこと言える立場じゃないけど、周りに友達いないのか?」
「いないが。」
「自慢か?」
「自慢ではなく事実だ。誰もいないのは厳然たる事実だからな。」
正気に戻ってから心求訣をずっと唱えたおかげか、不動心もすぐに戻ってきた。
普段のように淡々と答えた白鳥が、静かな目でなじみのない者をじっと観察した。
神獣でも、心魔でも、仏でもない。
この存在は何だろう?
どうして私のところにきたんだ?
その質問に答えるようにキョン・ジオが言った。
「でも大丈夫。すぐにできるさ。友達。」
「、、、、、、。」
「私はお前を変えられない、白鳥。昔もそうだったし、これからも。ヘタは私が折ることのできなかった唯一のものだから。」
折れないことなく抱きしめてやることを誓ったんだから、守ってやらなきゃならないだろう。
「だから、お前を変えるのは私じゃなくて、他の誰かになるだろう。お前は壁によって立ち向かうことを恐れなくなるだろうし、道に迷うことを怖がらなくなるだろうし、またお前のその場所がもう不安じゃなくなるだろう。」
「……そんな。」
眩暈がするほど魅惑的な断言だった。
白鳥は惑わされないように本能的に腰の剣柄をぎゅっと握りしめた。
「そんなことが…可能なのか?」
「可能になるだろう。」
「……」
「どうだ、会わせてやろうか?」
幼い頬がいたずらっぽく上がった。
「じゃあ、「同意する」と言ってみろ。」
「……」
白鳥は沈黙した。
明らかに、これは拒否しがたい提案だ。
承諾すれば白鳥が人知れず抱いてきた心魔の解答が、渇望していた突破口になることが確実だったから。
しかし、
「果たして正しいのか?」決してそうではないだろう。
答えは自ら探さなければならない。
〈ヘタ〉の次期宗主に他人が与える解答など必要ないのだから。
少なくとも白鳥はそんな風に育ってきた。
煩悶は短く、決心はきれいだった。
決定を下すと同時に心もまた瞬く間に整理される。
すっきりした眼差しで白鳥が拒絶の言葉を口にしようとした瞬間。
「ちょっと待ったー!ここで幕間のクイズ。大韓民国国宝319号で天才医師ホ・ジュンが書いた医学書の名前は?」
「同意-」
「よし。判子終わり。私は行くぞ。」
「……!」
いや、なんだこれは?
白鳥が呆然と見ていると、童子僧ジオはもう遥か遠くへ、ドタドタ走っていく最中。
「このクソ芋野郎、お前のこと分かってないと思ってんのか?」
二度も拒絶されるもんか!
「こら、ちょっと待て!お前!止まれ!」
「会うことになるんだ!必ず会うことになるから物は受領したってことだぞ?受け取ったからには払い戻しはなし。オッケー?私は本当にいくぞ!」
「そこで止まれ!」
『マジかよ••••••。マジで詐欺じゃん......』
『元々二人は必然だから必ず会えるはずなのに、詐欺を働くにしてもこんなヤクザみたいな.... 』
「黙れ。あいつはそれを知らないんだから。」
どんな道を通ろうとソウルに着けばいいんだ。
うん。
(ソラクに響き渡る白鳥のこだまを聞きながら、ジオはそのまま座標を飛び越えた。
☆
3年後。
近年、〈ヘタ〉は仕事が多かった。
もちろん年末年始に忙しいのはどこもそうだろうが、ヘタは伝統的にそうだった。
遠い昔から寒くなると飢えたものが民家へ降りてくる。
その度に民族の守護者を自任する彼らは夏の間ずっと研ぎ澄ましていた剣を躊躇なく取り出して振り回した。
その風習が定着して受け継がれていくうちに、門徒たちも本格的な〈ヘタ〉の一年は9月7日、白露季節から始まると信じていた。
だから冬はその頂点というわけだ。
「わあ、、、、雪降るの見て。初雪ですよね?遅すぎて今年の冬は雪が降らないかと思ってたけど、降るには降るんですね。」
「雪も今日誰が帰ってくるか知ってるみたいですね。」
5長老、ヒョン・ソワンの重みのある言葉に門徒たちが小さく笑いをこぼした。
〈ヘタ〉の主が変わってからもう2年。
長い閉門の末に再び門を開け放った「悪夢の3月」追悼式。
そこで前例のない印象を世間に残した彼らの新しい主は、大小様々なことを処理するとすぐに閉関修練に入った。
宗主職にふさわしい実力を身につけて帰ってくるという言葉を残したまま。
今日はその約束した期限の最後の日だ。
修練館の前に整列した門徒たちの顔にときめきと期待が満ち溢れていた。
「果たしてまたどれほど強健になられたのか。もともと誠実な方だから結果もなく帰ってくることはないだろうし。」
「もう十分誠実でもいいのに。名ばかりの護法なのにやることがないくらいだ。」
「おや?開くぞ!お出ましです!」
ゴオオオオオ。
巨大な門が気配もなく開く。
その次、すぐに続くのは水墨画のようにゆっくりと一帯を染める蘭の香り。
5長老が小走りで一番先頭に立って門の前に立った。門徒たちが彼に続いて一斉に礼を尽くす。
「お帰りなさいませ!宗主!」
「出関を歓迎いたします!」
静かに踏み出す足取りに合わせて白い巻物の裾が雪に揺れる。
絹のような黒髪が共にひるがえり、山を揺るがす斉唱にも一点の動揺もない顔で白鳥が淡々と言った。
「ソワン。」
「はい、宗主。ご無事の出関、感謝いたします。」
「変わりはなかったか。」
この上なく恭順な姿勢で宗主を迎えていた5長老がいなかったと答えようとして言葉を詰まらせた。
彼の口元に困惑の色が浮かぶ。
それを見逃すはずのない白鳥が頷いた。
「衣冠から整えよう。茶室で聞く。整理して報告するように。」
「……仰せのままに。」
宗主専用修練館内部にある茶室は鍛錬室の次に白鳥がよく訪れる場所だった。
サラサラと、、、、、。
規則的に続く庭の水の音と静かなお茶の音を聞いていると訪問者は自然と姿勢が正された。
まるでこの部屋の主であるかのように。
「S級?二人目だと。」
白鳥の低い言葉に5長老が肯定した。
「はい。管理局の方から先にこちらへ、要請をしてきました。キム・シギュンが現在外部派遣中で手が足りないという理由でしたが、それは表面的です。それよりも対象が先天特殊能力である上に珍しい半神形であることが大きかったでしょう。」
「うむ。」
「どうせあちらは我々の専門ですから。それで最初捕獲する時から-」
「ソワン。」
「…. ?はい、宗主。」
「単語の選択にもっと慎重になる方がいい。人に捕獲という表現は聞き苦しい。」
「あ、申し訳ございません。注意いたします。」
「続けるように。」
乾いた唾を飲み込んだ5長老がより慎重に言葉を選んだ。
「ううむ、、、、。それで最初構造する時から3長老を筆頭に本山精鋭たちが管理局要員たちと同行しました。ところが現場を目撃した3長老の反応が良くありませんでした。」
「メファが?」
「宗主もご存知のように長老たちには現場即決定があるではありませんか?その場で必ず殺さなければならないと、、、、。」
長老たちの中で一番若い3長老、チャ・メファ。
彼女はソンジョンがややデリケートだが画級に行動する方ではなかった。
その上パムンされたハヌルビと幼い頃から苦楽を共にした仲なので、彼が本山を離れてからずっと沈んでいたのに、、、、、。
「私の考えでは、3長老は法力面では本山で宗主の次ではありませんか?感じるものが人並み外れていたのでしょう。それで現場での葛藤が相当でした。」
高等級覚醒者の確保が重要な管理局側では保護して連れて行かなければならない。
3長老側は今すぐ即決処分しなければならない。
お互いの主張が強硬に分かれたので摩擦は必然的。
「そうこうしているうちに結局発見された位置が位置だったため、ソウルに連れてきて検査するところまではどうにか合意ができたのですが、、、、。」
白鳥は視線をちらりと下げた。
卓上の文書を確認すると発見されたという位置の地名がやや見知らぬことである。
「韓国と中国の国境の方か。」
半神形覚醒者の本神が中国神話を基盤とした凶神が合っているなら確かに国家間の紛争に発展する危険があっただろう。
「管理局で焦ったのも無理はないな。」
白鳥は再び茶碗を持ちながら言った。
「測定の結果、S級だったということか。」
「はい。我が国の二人目のS級です。魔術師王以来初めて現れた。」
普通のことではない。
マスコミは本当に機敏に動いた。
毎日センター付近で待ち伏せしていた記者たちが素早く新しいS級の身元を暴き出し、すぐに全国的な視線が集まった。
処分しなければならないという一介のギルドの主張にはもう耳を傾けることができないほど。
管理局も態度がすぐに変わった。
内部実勢も同然だというチャン・イルヒョンチーム長が直接乗り出してヘタ側に脅しをかけた。
二人目のS級の身に何かあったらその場で〈ヘタ〉に責任を問うと。
しかしまたそれと同時に、、、、、。




