表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
352/501

352話

『ふむふむ!それで最高管理者、結論としてバベルが差し上げる提案はー』


「ああ、そうだな。それでいいよ」


…聞き間違いでしょうか?


「何を回りくどく言ってるんだ、菓子パンか?ただ逆賊と同じような真似はやめて、子供たちを探して同意書をもらってこいってことじゃないか」



『ま、まあ、そうですが…本当にそんなに簡単に?』


「ああ。進めて」


「…!」


「それにしても、ずいぶんと人間らしくなったな?一人でこんな考えを思いつくなんて。グッドアイデアだ。グッドグッド。とりあえず同意書を全部もらっておけば、後で文句を言ったりぐずぐず言うこともないだろう」


こいつ、ますます気に入ったぞ。


ジオが感心したように虚空を撫でた。


バベルはひどい良心の呵責を感じた。


だからリアルタイムでシャンパンをポンと開けている秘密のグループチャットを無視して、星の主にそっと言った。


『最高管理者、もう少し悩んでみられた方が…絶対に簡単なことではありません。バベルは心配です』


「何が心配なんだ?」



『探さなければならない定命の者たちのことです。三生輪廻をすべて終えて、功績アップデートも終わった者たちは、分類体系で後回しにされます。』


『そのため、システム的な補助も受けられません。一つ一つ手作業で探さなければならないでしょう。』


星系の時間線は、世界樹があるハブに連結される「メインストリーム」。そして、それ以外の平行世界のような「枝」。で構成される形です。


そして、太陽系地球は世界樹がちゃんと存在している星系のメインストリームの一つ。


それだけに付いている枝の数も膨大ですし、ネームド個体を探すと言って、そんなメインストリームをむやみにいじくり回したら…。


すぐに「外」から来た太古の古きものたちの中でも、そのボスである父王のメインアバターがどんなざまになったかを見てもわかる事実ではないですか?


見つけられないのは当然ですし、下手をすれば巨大な副作用まで抱え込むことになります。


バベルは知っている。


星の主の現在の人格は「非常に」不安定だ。


すべての道理に逆らう「世界復旧」は、決して起こってはならないことだ。


しかし、

星の主が人間だった頃の人生に、あれほど執着しているのに、もし関連して心が折れたりでもしたら…。


そこから生じる危険は?


それもまた、決して小さくない脅威ではないだろうか?


最悪の事態の代わりに次善の策を選んだのはバベルだが、バベルは砂粒のような知人たちを探しているうちに、星の主が狂ってしまうのではないかと憂慮した。



何もやらなければ失敗もない。バベルは星の主がじっとしていることを願った。


失敗すれば希望さえも消えてしまうから。


希望を失った人は危険で、すでに冬を探して、はるかな道を歩みながら多くのものを失ったのではないか。


もう失うものもないので、残されたのは破滅だけだろう。


『その過程は、お考えになっているよりもはるかに複雑でしょう。もっと慎重に悩んでから決定されても、、、、』


「いいって、いいって。複雑なことなんて何もないだろ?」


『最高管理者』


「どうしても心配なら、テストでもしてみるか。いや、違うな。賭けをすると言う方が正しいな」


『賭けですか?テスト?』


「私がこれから、うーん…今何日だ?とにかく今月中に、お前の助けなしに子供たちを見つけ出して同意書をもらってきたらどうする?試験的にテストしてみようってことだ。でも、もし私が成功したら、文句を言わずに素直に言うことを聞け」


星の主の時間基準は、太陽系の太陽時とグレゴリオ暦。したがって、今月の中であれば、残された時間は……


「5日?」


絶対的に有利だ。


気が急くバベルはすぐに同意した。



『最高管理者のご意思に従います!テストに成功されれば、バベルはどんな不満もなく星の主がおっしゃる通りに行動いたします。代わりに、バベルが勝てば「世界復旧」の件は諦めていただくということです』


「ああ」


『星の主は、本当に傲慢ですね』


「わかってる」


ジオが鼻で笑った。でもわかってるんだ?


「私の傲慢には、いつも理由があるってことをね。この身は、生まれてから負けた歴史がないんだよ」


そして王は、自身の歴史を誇らしげに再び証明してみせた。


宇宙暴君曰く、

世の中の万事、複雑なことというのは、そもそも他人がやれと言う通りにするからではないか?

皆が合意した合法通りに進むのが難しいなら?


「自分だけの不法で行けばいいジオ」


キョン・ジオは、自分より弱い奴の言うことなんか聞かない。


『あ、あいつ、クズ…!』


星の主は地上に現身が不可能だという、星系の誰もが知る不文律。


その他、ずらりと続く不文律リストをすべて無視した現任星の主、キョン・ジオは、探し回っていた時空間からターゲットを見つけ出すやいなや、そのまま地上に「現身」した。


あらゆる手続きを無視した星の主の威風堂々不法にめちゃくちゃに入場。

地域管理者たちがびっくり仰天、ひっくり返ったが、全く屈することなくブルドーザー直進。



その結果。

簡単に一番手としてウン・ソゴンの同意を得た後、現在はルンルン気分で次のターゲットを探しているところだ。


バベルは俗な言葉で魂が抜けた。


『これは、本当に詐欺ではありませんか?!』


「あらら、みっともなくごねるね。お客様、ゲームは終わりましたよ。どこで生意気にも場をひっくり返そうとしてるんですか?」



いや、あんたヤクザですか?


『こんなに手続きを無視して進めるなら、法は何のためにあるんですか?最高管理者が率先してこんなに手続きを無視すれば…!それより、ペナルティはどうするつもりで現身を、、、、いや、本当にそれより!決定的に、あのウン・ソゴンは星の主が知っているあの「ウン・ソゴン」ではないんですよ?』


『一体何度申し上げればお分かりになるんですか?同一のネームド個体の中でもメインの方ではなく、989番目の枝!厳然と異なる存在!多重宇宙、平行世界の概念を認知しては……いらっしゃるんですよね?』



どうかそう言ってくれ、どうか…。


「え、あいつがあいつじゃないのか?」


『このバカ、ちっ、ハハハハ…』


バベルは過呼吸症状を起こした。


呼吸器官のない彼としては異例のことだった。


「お、白いサツマイモも見つけた。行ってみよう」


「だから、あいつがあいつじゃないってば…!」


見た目と環境が同じだからといって、同一人物ではないと百回千回叫んでも聞く耳を持たない。


こいつ、もう狂ってしまったのか?



| Admin7 | バベル、あなた…


| Admin7 | まだ状況把握ができていませんか?


| Admin7 | 星の主は、真の意味での同意ではなく、ただ「名分」が必要なだけなんです…知人たちと再会した時、お前ら…


| Admin7 | あちゃ、申し訳ありません。下品な表現を、星の主に散々聞かされたので口癖になってしまって


| Admin7 | とにかく、後で彼らがもし星の主に文句を言ったり恨んだりしたら、お前たちが同意したとこれを見せつける形式的な証拠物ですよ。


| Admin7 | だから、結果的に顔さえ同じならokなんです……^^


| Admin99 | ま、まさか…!!


| Admin245 | 世の中に、人の人性がどうしてそんなことできるの?!


| Admin1004 | もう人ではないので、要求星系の一番の権座に上り詰められたので変わられても当然でしょうね…。


| Admin? | いいえ。1004号!!!



| Admin7 | 違います!


| Admin7 | あの方は「元々」ああでした…!


| Admin1004 | ……!!!



グループチャットの管理者たちの中で、星の主のキャラクター解釈を一番上手くやると評価されている7号の発言。


7号が担当するサーバーの一つが惑星地球、つまり星の主の故郷だからだ。


野球も上手い奴が上手いように、殴られ慣れている奴が一番よく知っているものだ。


キョン・ジオ被害専門家7号のメッセージに、バベルは強烈な目眩を感じた。


同時に悟った。

『やられた…!』


上位管理者さえ知っている事実を、あいつが知らないはずがない!


本人の言う通り、あいつは他の何でもなく「全知の悪魔」ではないか!


「惑星地球に戻りたいのは、星の主だけではなかったんだ!」


やられ、バベル…!


『イイッ!この宇宙の夫婦クズども…!これは詐欺だ!詐欺ですよ!100パーセント一致する個体でもないのに、バベルはこの賭け絶対認めません!』


「ちっ、静かにしろよ?条件をもう一度読み直してくるか、お客様。100パーセント一致する個体でなければならないという条項がどこにあるんだ?え?あったら持ってきてみろ!持ってきてみろって!」


『い、イイイッ!このクズ!』


「それとだな。見ていると、このチンパンジー野郎がもう思春期になったのか。内侍のくせに、どこで無礼にも宇宙天子の前で卑語を吐いているんだ?」



刺青アームカバーを両腕につけながら、ジオが顔をしかめて虚空を足で蹴った。蹴る形が、まるでカモ専門のチンピラそのものだ。


バベルは尻を押さえてオイオイ泣いた。


本当に理解できなくて悔しかった。


『私は体もないのに、なぜ痛いんだ?!』


今日も宇宙社会は過酷なばかりだ。






「ハハハ…愛妾だと?」


そうだろうがそうでなかろうが、星系の隅っこのどこか。

背を向けた。



睡眠眼帯をつけた悪魔が、歯をギリギリと噛み締めながら、


「私の地球に帰る…必ず、今度こそあの忌々しい男主人公候補たちの種を根絶やしにしてやる…」


もちろん、その目標を達成するためには絶対的に時間が必要だった。


完全な回復まではいかなくても、最低でも手足と腹筋くらいは回復しなければならないので。


「キョン・ジオの性格上、長くはかからないだろうが、同意書をもらいに歩き回っているうちに、それくらいの時間は十分に稼げるだろう」



残された時間はあまり多くない。


最終目標回復度は30%。


よく眠らなければならない。


睡眠は補薬であり、美男は寝坊助である。


キョウルは、おとなしく蔓の根を集めてきれいに覆った布団を整えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ