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334話

古代文明の最下層、泥棒。


「……どうかしてるんじゃないか?」


泥棒だなんて……。


全くもって不満だった。


天下の財宝を全部持ってきて抱かせても不満を言っていた子を、泥棒? 泥棒だと?


ふざけるな、私がどれだけ大切に生きてきたのに。


必滅の枷に落ちたとはいえ、魂と結びついた名前の格は消えない。その結果、どんな生を生きてもジオの名前は残り、受け継がれるのが当然だった。


ところが、その宿命的な名前がつくことさえ、二度目の生では難しかった。いくら彼が遅れてやってきたとはいえ、そうだ。


「私だって輪廻の枷を通過するのが簡単だと思うのか! ちくしょう!」


そうだ、そうだ。


私のせいだ。


抜け出す穴がない。ジオの二度目の人生は、それほど取るに足らず、めちゃくちゃだった。


王だなんて。キョウルは今回の生をほとんど諦めていた。


ただ、どん底で人々と混ざって笑い、息を切らしながら激動的に生きていくジオを見物するのに時間を使った。


それもまあ……悪くはなかった。




しかし、三度目は何の余地もなく悲惨でみすぼらしかった。


科学が極度に発達した都市国家の、余命わずかな実験体だった。


生まれた途端に試験管に閉じ込められたあの子を、どうすれば助けられるのか、目の前が真っ暗になった。


格を高めるには、功績値を積むには、それだけジオは忙しく闘わなければならない。


幸い、人体実験によって爆発的な超能力が開花した今回の生のジオは、とても強力だった。


非の打ち所がないほど人格的でさえあるあの子は、仲間たちのために躊躇なく自由革命を主導したりもした。


だから我慢しよう。


我慢しよう。


長年の人体実験の後遺症と、仲間たちの相次ぐ死で苦しむジオを見て、彼もまた耐え難く苦しかったが、ぐっとこらえて我慢した。


彼女の欠格のない仲間としてそばに留まりながら、功績を積み重ねていった。


そして、革命は失敗した。


ジオが自殺した。


彼は未練なく世界を滅ぼした。




四度目は……美しかった。


輪廻にも慣れてきたので、彼は自分の格を膨らませ、彼女が生まれるはるか以前に万全の準備を整えておいた。


世間の人々が彼を千年公爵だの何だのと呼んで褒め称えたが、関心はなかった。


そうして、日に日に指折り数えて待つ中で、ついにジオが生まれた。



アドミヤ城主の娘。


豊かな夏の避暑地で生まれたジオは、いつにも増して輝いていた。


舞い散る花々の中で明るく笑うあの子が、まばゆいほど美しくて、どんな醜悪な単語もそのそばに置きたくなかった。


幸せだ。


すべてを忘れた。


彼は馬鹿みたいに、考えのない間抜けみたいに、夏の日の恋にどっぷり浸かった。


一枚の絵のように、まさしく完璧で純粋な幸福だった。


花びらが降り注ぐ日差しの中で、あえて永遠を口にして婚約を約束するほど。


そして、高くそびえ立った幸福ほど、墜落する落幅は深く険しかった。


世界が凍りついた。


唯一の恋人を失った彼の心臓が凍りついたように。


しかし今回、キョウルは完全に死ななかった。


すでに機会の半分を過ぎた。対策を立てておかなければならなかった。彼は万一に備え、分割された格を残し始めた。


少しずつ狂い始めたエゴを鎮めるためには、暴れる感情を去勢する必要もあった。



五度目の生は大魔法使いだった。


立派だった。


感嘆が自然と湧いてきた。


真理だけを追い求め、一生を燃やす。


魔法は運命として生まれ持った自分の専門分野であるだけに、ジオは恐ろしく没頭し、莫大な功績値を獲得した。


彼が魔法生物である竜として訪ねて行かなければ、塔に閉じこもって研究ばかりしていて、会ってくれなかったのではないだろうか?


ジオは彼が魔法研究を手伝ってくれる代わりに、一晩に一つずつ歌を歌ってあげることを約束した。


どう分け与えようかと悩みながら話をそらしているうちに、うっかり成立した取引だったし、歌の実力は正直言ってひどかったが……。


もう彼女の歌が聞こえなくなった時、彼は千日以上泣いた。


死ぬほど悲しかった。




六度目の生は、敗戦国の王女。


正気に戻るのに時間がかかり、少し遅れた。


野蛮族はすでに彼女の故郷の地を踏みにじっており、大陸全体で魔物の群れが猖獗を極めていた。


男装をしたまま戦場で転げ回ったジオは荒々しかったが、それでもやはり愛らしかった。


「なぜ私をそんなふうに見る?」


「計算を間違えた。よりによって敵国の皇帝だとは。しかし悪くない。私を斬れ。お前にはその資格があるのだから」


「一体何のことやら。言われなくてもそのつもりだ」


広い袖が揺れた。


剣が光る。


ジオの剣が彼を斬った。


一撃、即死だ。


一気に死ねるように、ジオが来る前にあらかじめ毒杯を飲んでおいたのだ。


大丈夫だ。これで功績値は積み上がった。たった一度の剣で最終ボスを処理したのだから、かなりおいしいだろう。


すべて計画通りだ。


しかし、ぼやける視界でジオの背中を襲う剣が見えた。


ジオは数万の魔物を斬り、悪の軸を斬り払った世界の救世主であり、人類の英雄だった。この恩知らずのろくでなしども……!


憎らしい。


憎らしい!


理性を失ったか?



[門]が一瞬開いたようだった。


記憶している六度目の最後は、火の海になった世界だった。


七度目はただただ悲しかった。



弱く留まるのが問題なのだろうか? 悩んだ末に、これまで以上に強大な力を手に入れてついてきた。


星たちが狂ったと囁いたが、知ったことではなかった。


軽く無視して、ジオの忠実で頼もしい風として戦場を疾走した。


竜の風に乗ったジオは、蒼天を駆け巡り、空中大陸の覇者となった。


不滅の高地が目前だ。


……引き裂いて殺しても気が済まない、魔竜王という予想外のライバルの出現さえなければ、そうだっただろう。


人魔大戦で帝国は敗北した。


悠久の勝敗の法則に従い、首長である皇帝もまた死んだ。


キョウルは魔竜王の驚愕と反発を無視し、その世界をバベルの塔の中に閉じ込めてしまった。


こうして孤立したあの世界は、これ以上先に進むことができず、バベルの試験場として使われるだろう。


格を剥奪された魔竜王が呪いを浴びせ、見捨てられた世界が悲鳴を上げたが、キョウルは顎を上げて笑った。長く。



八度目は、勝負手。


もはや見えるものがなかった。


その頃、ジオの功績値が莫大に積み上がると、有力な優勝候補としてバベルとも切っても切れない蜜月関係になっていた。


そういう意味で、八度目の生は星間ハブの芽が見える場所だったのだ。


ジオを通じて新たな星間ハブを得ようというバベルのそれとない抱負が垣間見えたが、まあ構わない。


バベルとはどうせ相生関係。


世界樹を生かして星間ハブを立てれば、功績値もそれだけ莫大になるだろう。彼もまたジオの安定的な成功のために、今回の勝負で必ず勝負に出るつもりだった。


そうして彼は今回の輪廻の枷から何も持ってこなかった。


今回の世界に降りてくる際、彼に割り当てられた分け前をすべてジオに譲渡した。


自分の骨と肉を削り、すべての力と可能性を譲り渡した。


その結果、彼のジオは世界になった。


「……ふざけるな」


エゴを切り取った。


理由は、ただ。


耐えられなくて。


絶望だけで満たされていた八度目が終わり、最後、最後の九度目。


「怒りだけが残ったか」


彼は意志を込めて自分の古い[真名]を呼んだ。



門が開いた。


九度目のラウンドは、すでに滅亡の軌道に乗った場所だった。地球。直前の生のジオが好きだった場所でもあった。


だから選んだ。


最初から最後まで。


お前だけのための世界を作ろうと。


[門]が開いた。


隙間から這い出てきた悪意的な深淵が、徐々に彼を蝕んでいった。しかしキョウルは止まらなかった。


このままでは終わらせられない。


約束したじゃないか。


死であろうと、生であろうと、私たち一緒にいると。


数百回、数千回、数万回以上も交わした約束を、今は一人で記憶していたが、彼が忘れていなければそれでよかった。


重要なのは、彼が忘れていなかったということ。


この長き歳月を超えても、今も私はお前がプレゼントしてくれたキョウルに留まり。


今もあのキョウルの小さくて寂しかったお前を愛しているという事実だから。


キョウルは目を閉じた。


付与された運命を読んだ。


私は、不滅の敗北者。


お前の長き闘争の永遠の目撃者であり、唯一の証人である。


覚めない夢に留まる。


私の必滅の恋人よ。


あえてお前を飲み込めない死を後にして……


愛するお前。


どうか永遠の勝利で立ち上がれ。


幕が下りる。


長き悲劇の叙事詩が終わった。


その場に残された観客、愛された勝利者は、ようやく悟る。


長き闘争の人生で、自分はただの一度も一人で闘っていなかったことを。


いつも彼がそこにいた。


ジオは記憶していない二人の約束を、一人でずっと続けてきて。


「キョウル••••••」


限りなく寂しかっただろう、


私の哀れな永遠。


声に出してその名前を叫ぼうとしたが、声が出なかった。水泡となって消えていく。ジオは濡れたまぶたを持ち上げた。


もうどこにも図書館はなかった。


ただ完全な深淵。


ただそうやって沈んでいく。



「急流が終了しました。」


「特異点反応なし。接続を見つけられませんでした。」


「軌道変更 - 強制消滅手順を再開します。」


『対象、超越者「ジオバンニ」の格が消滅します。』




涙が上に噴き出す。


果てしなく沈みながら、ジオはぼやけていく自分の指先を凝視した。


長い時間積み上げてきた格が剥がれ落ち、壊れ、最後には消えていく。


待ち望んでいた、確かに覚悟していた死なのに……。


「なぜこんなに悲しいのだろう?」


ないと思っていた未練が喉に引っかかる。すべて成し遂げたと思っていたが、そうではなかった。まだ知らなかったことが、彼女には数えきれないほどたくさんあった。


キョン・ジオはまだ幼かった。


その多くのことを学び、抱きしめるには、与えられた時間が足りなかった。


しかし……。


「もう遅いだろう」


届く場所はもう滅亡だけだ。ジオは目を閉じた。閉じ込められた意識が完全に閉じようとしたその時。



チジジ、チジジジ-!


[INTERRUPT OCCURRED!]


[INTERRUPT OCCURRED!]


《特殊割り込み信号が検出されました!》


《信号把握中……》


《接近したオブジェクト識別完了。》


《イワとの戒命(誠命) - シナリオ》


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